本の虫、中毒日記

読書感想文、乱発中。

プロフィール

Author:とんとんみ

基本はシャーロッキアン。
でも雑食の本の虫。資格からマンガまでそこに文字がある限りっ。

WHAT'S NEWS!?

本棚

月別アーカイブ

お勧め。


ポストで買取,eBook Off

年代別ブログ図鑑

コメント

トラックバック

ベストセラー

にほんブログ村 小説ブログ ミステリー・推理小説へ

旗本退屈男 第二話『続旗本退屈男』/佐々木味津三

第一話で妹の思い人との関係を許した主水之介。二巻では既に同居している模様で、「な、京弥さま。あのう……お分りになりましたでござりましょう?」などと、非常に暑苦しい状態で中むつまじく過ごしている様子。
いつの時代も恋愛は素敵です。

一方、刀のメンテナンスをしている主水之介…と、そこへ妹の菊路と、若き天才剣士でもある京弥が飛び込んでくる。主水之介の家の庭に、血まみれの遊び人風の男がもぐりこんできたのである。
事情を聞けば濡れ衣で役人に追われており、かくまってほしいという。

この第二話は旗本退屈男らしさという意味では第一話よりも成熟した感じで、男を追いかけてきた役人の無礼に『この眉間の三日月形が分らぬかッ』と一喝、追い払ってしまいます。
そうかと思えば、本当に怪しい奴だったら困ると、かくまった男のあごを切りつけて目印としてしまいます。

さてはて…。
ネタバレ等は続き以降で。
猿/芥川龍之介
ある軍艦で起こった窃盗事件を描いた作品です。

船内で多発した盗難事件の犯人を捜すべく、人々が動き出します。
まず全員を裸にして身体検査を行いますが、総勢600人もの軍艦。主人公はこの風景を表現して曰く『奇観』。
さて、主人公はこの身体検査から離れて別の調査を始めます。

この時点で、僕はもう『あぁ、猿ね』と思い、なるほど芥川でもモルグ街の殺人の影響を受けるんだなぁなどと妙な新説を打ち立てかけていたのですが、猿が犯人の事件は既に追憶の中で登場してしまいます。
艦長の時計を持って逃げ回った猿のエピソードですが、猿に限らず色々と購入したり譲られたりした動物が船内には居たようで、猿を探し回っている間にも『犬が足にからまるやら、ペリカンが啼き出すやら、ロオプに吊つてある籠の中で、鸚哥(いんこ)が、気のちがつたやうに、羽搏きをするやら』と、実に大騒ぎになったそうです。

ちなみに猿は無事に捕まり、飼い主の手によって『満二日、絶食の懲罰』を受けたのでした。
うぉ、可愛らしいエピソードだな、それ。

さて調査の段階で既に犯人は判明します。
最初はその盗人猿と同様に『猿は猿』などと称して探していた主人公ですが、犯人を目の前にすると不思議な感覚にとらわれます。

この男を罪人にしようとしてゐるのだ―

猿は二日の絶食で許された。
しかし人間はそうは行かない。過酷なことで知られる浦賀の海軍監獄へ送られる。
正しいことをしているとはいえ、人の人生にそれだけの重みをつける事になる。
それは猿を捕まえるのとはまったく異質なものだった…。

この物語を軍艦という特殊な舞台で表現した芥川龍之介さんの意図もまた興味深い。

風車小屋だより/作・ドーデー 訳・桜田 佐
ドーテーが自らプロヴァンスの片田舎へ移り住んだ際に聞いた話や、その地域に伝わっていた伝聞をオムニバス形式で一冊にまとめたのが、この『風車小屋だより』です。

タイトルにある通り、ドーテーが移り住んだ家は既に使われなくなり破棄されていた風車小屋。
かつては小麦を作るのに一日中働いていたこの風車小屋も、ドーテーが訪れた際には動物たちが先住民として暮らしていたために、彼はうさぎ軍を追い立ててしまうことになり、また思索家のふくろうとは部屋の上下を社エアする賃貸契約を新たに結びなおさなければならなかったほどだった。
実はドーデーは胸を患って、この地へ療養へ来ています。それだけに自然豊かなのどかな場所を選んだのでしょう。

簡素な農村での暮らしの中で、出会った人々や伝わってくる話。
それがこの物語の核です。
時にはちょっとした噂話であったり、神話のような物語であったり、そして時にはドーデーが移り住んだ風車の元の持ち主である『コルニーユ親方の秘密』といったエピソードまで紹介されています。
これは風車で小麦粉を作っていた親方が機械化の波に押されて段々と仕事を失っていく中でも、プライドを守って風車にこだわり続けていたことに賛同した周囲の人々が、やはり親方の作るのが良い!と、親方の気持ちを汲んで仕事を回したという物語です。
この地にはそんな合理的に染まりきれない人々が暮らし続けています。

コルニーユ親方のように、のどかな農村にもやがて訪れた時代の変化と向き合わざるを得なかった人もいれば、『星』で紹介されているエピソードでは、急な増水で家に帰れなくなった憧れのお嬢さんとすごした一夜を『この星の中で一番きれいな一番輝いた一つの星が道に迷って、私の肩にとまりに着て眠っているのだ』と満ち足りた気持ちになる羊飼いの話…そして、自由を求めたがゆえに命を落としてしまったやぎ…のエピソードも紹介されています。
この地に暮らす一人一人がそれぞれの物語の主人公として登場するのです。
少し街から離れ、少し文明から離れるだけで、生活はずいぶんと違って見えてきます。

また少し遠出をしたドーデーについて、アルジェリアの町での一日をすごしたり、カマルグへ狩猟へ行ったり…。

一冊の本で色々な日常に触れることが出来ます。

そしてその一つ一つが本当に些細なことで、だけど現在の日本では決して体験できないようなことばかりで、時間旅行に旅立ったような気持ちにさせてくれる、心の療養が出来る一冊です。

ブログ内検索

amazonで探す

RSSフィード

copyright 2007 本の虫、中毒日記 all rights reserved. powered by FC2ブログ.
ホームページ アフィリエイト レンタルサーバー中古車ディーラー