『アルセーヌ・ルパンは自分が気に入る間しか刑務所には居ない、それ以外は一分間だって待ちはしない』
アルセーヌ・ルパンと言えば予告を突きつけ、その予告どおりに盗みを行う大胆不敵な犯行が代名詞。それをシリーズ最初に披露して見せたのは、なんと彼自身が刑務所に入っているとき、まさに『獄中のアルセーヌ・ルパン』がそれをやってのけたのです。
歴史深い古城を入手したナサン・カオルン男爵はその城内へ貴重な絵画や家具、彫刻などを持ち込んだ。しかしこのすばらしいコレクションは他者へ披露される事はなかった。
男爵は恐れていたからだ…これらのコレクションが他人に奪われてしまう事を。
そしてその為に城は日没と同時に閉ざされ、少しでも衝撃が加わればすぐに電鈴が鳴り響くようになっていたのだった。
そんな古城へ、ある日珍しく手紙が届いた。
住所は『パリ・ラ・サンテ刑務所』。そして差出人は『アルセーヌ・ルパン』。
ご丁寧にも盗む芸術品の目録を送り、盗みに行く日程さえも指定していたのである。
更には一部の品物については偽者だという理由で『所望いたさぬことにします』とご丁寧に鑑定まで行ってみせたのである。
男爵は慌てて地方検事局宛に助けを求めたが、ルパンが獄中で外部と連絡が取れない状況であること、そして筆跡判断で多少の類似はあるものの別人のものであるという結果が出たことから思うような保護は得られなかった。
それから三日が過ぎ、新聞を読んでいた男爵は希望の光明となる記事を発見した。ルパンを捕まえたガニマール主任警部が休暇で近所に滞在していると言うのだ。
男爵は早速ガニマールの元を訪れ、高額な報酬を提示し、それでも『どぶへ捨てるも同じ』と渋る彼に、世間には内密である事を条件に警備を依頼した。
そして彼が信頼できる友人二人を呼び寄せ、当日の警備に当たる事となった。
何事もなく夜明けを迎え、彼らが警備二人を配置したフロアに入ったとき、既にルパンは予告どおりの犯行に及んでいたのだった。
最後まで読めば、読者もルパンのニヤリと微笑む顔が浮かぶ、そんな意外なトリックでした。
第一作目では一人称の主人公が犯人…では、二作目は!?
お孫さんも得意なトリックのネタバレ等は続き以降で。
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