本の虫、中毒日記

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消えた臨急/コナン・ドイル
ホームズのような人物が登場するということでホームズシリーズの外典として挙げられる事も多い、ドイルのホームズ物ではない推理小説です。

ロンドンを訪れていたカラタールという人物は急にパリへ戻らなければならなかったのだが、急行に乗り遅れてしまった。
『問題はお金ではなく、時間が全てなんだ』と語った彼は、臨時急行列車を用意してパリへ急いで帰る事を決めた。
そしてその急行は先に走る列車と問題がないことを確認するとすぐに二両の客車をつけた臨急は発車できる手はずが整い、二名の客を乗せて走り出したのだった。

本文中に説明がありますが、二両用意されているのは一両目が振動を少なくする目的なんだそうです。ドイルってホームズ物語でも速度の計算をして見せたりしていますが、意外と列車マニアだったのでしょうか。
ちなみに費用は1マイル5シリングで、支払総額50ポンド5シリング。手配も45分以内という事で、なかなかのサービスだといえそうです。

さてパリへ向けて走り始めた臨急ですが、6時15分を過ぎた頃にマンチェスターの駅から臨急の列車が通過してこないという連絡が入るのです。そこで調べなおしてみると、ケニヨン駅を17時20分に通過した臨急は、次の駅であるバートン・モスに到着していないのです。
この両駅間には支線はなく、本線を走っていかなければならないはずだった。
しかし一緒の本線を走っているはずの短距離列車は事故などの異変を確認できていない。
必死の調査で見つかったのは走行中の機関車より墜落して死亡したと見られる機関手の死体だけだった。

そう、臨時急行列車はその車両と4名の人間を乗せたまま忽然とその姿を消してしまったのだ―。

ネタバレ等は続き以降で。
無惨/黒岩涙香
日本における探偵小説の始祖とされる黒岩涙香さん。
その最初の探偵小説がこの『無情』です。
舞台は明治22年、夏の東京です。

物語はかなりきわどい死体描写から始まります。

ある夏の日、築地の川に死体が投げ込まれていた。
それは35歳くらいの男の死体で、全身傷だらけの状態で発見された。
この死体の状況から、世の中には無惨な話がいくつもあるが、これほど無惨な状態の死体は珍しいだろう…というもので、確かに怪奇小説顔負けの詳細且つ凄惨な死体の表現は無惨そのものです。
そしてその傷を作った犯人への手がかりも見つからない…。

暑い盛りで、まだ有効な死体の保存技術を持たなかったので、区役所はとりあえず死体を仮に埋葬して新聞へ情報提供を呼びかける記事を掲載した。

さて、そこでこの事件の調査をする刑事が登場します。
刑事巡査、下世話に謂う探偵』。
ここへ近代日本の探偵物語が幕を開けるのでした…。

ネタバレ等は続き以降で。
マイアミ沖殺人事件
ここに、従来の常識を打ち破る、まったく新しい形式の推理小説をお届けできることは、筆者の大きな喜びである

デニス・ホイートリー、ジョー・リンクスが自信を持って世に放つ『まったく新しい形式の推理小説』とは、5つの報告書と現場となったゴールデン・ガル号で得られた物証の数々のみを与えられ、それを元に犯人を推理するというもの。
そう、それはまるでイギリスにいたかの有名な探偵が名乗った諮問探偵の仕事のようなものである。

フロリダ警察へゴールデン・ガル号から無線が届いた。
ボライソ・ブレーンという会社社長が投身自殺したというのだった。
会社の経営難…社運をかけた面談の為に乗り込んだ船での自殺。
当初は会社の再建を断念、絶望した上での自殺かと思われたのだが、どうやらこの事件には自殺に見せかけようとしていた犯人がいるらしい。
刑事達は現場で聞き込みをしながら調査を続け、逐次報告書や物証の写真を送ってくるが、彼らは結果的には事件の真相に行き着くことは出来なかった。

しかし彼らの上司は与えられた情報―報告書と物証のみから真犯人を言い当てて見せた。

読者なら誰を逮捕されるだろうか。はたして、この上司と同じ結論に達することができるだろうか

ミステリー好きに、フロリダ警察からの挑戦状。
与えられた情報を全て活用し、隠された真実を暴き出す事が出来るだろうか?
画期的かつ、挑戦的な一冊です。
推理小説とはいえど、物証の写真や警察が乗り合わせた乗客へ行った尋問の内容を詰め込んだ調査ファイルそのもの。
最後のページを開くまでがこの本の醍醐味。

もし最後まで必死に考えて犯人が違えば…。
それはそう、この本の最大の喜びを落としてしまうこと。
読む側も必死にならなければいけない、犯罪調査の仮想体験です。

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