原田宗典さんが開いている公式サイト、『はらだしき村』。原田宗典さんは、この中では尊重という役回り、そしてお父さんは図書館の館長という役回りを勤める、ちょっとしたバーチャルリアリティ空間を作って楽しませてくれるサイトです。
現在、このサイトは原田宗典さんの写真付き日記が読める他、書評や掲示板への書き込み、また先述の日記へのコメントが出来るなど、非常にコミュニケーションを重視した内容になっています。
このサイト内で掲載されていたWeb限定のエッセイを、一冊の文庫本としてまとめたのが、サイトの名前をそのまま受け継いだこの本です。
内容は、原田宗典さんの普段のエッセイと余り違いはありません。
幼少期〜青年期のエピソード、好きな物について、日常に潜む些細な疑問など多彩です。
ただ、単純に面白さだけを問うと、原田宗典さんのエッセイにありがちな、本を抱えたまま噴出してしまうような感じではなく、もっと淡々と思いをなぞっていくような書き方です。
商用向けと、思ったことを書き綴れるWebとの自由さの違いなのでしょうか?
落ち着いた文面の原田宗典さんも良いです。サイトオープン記念の特別エッセイの、妙に肩が張った感じも要注目ですっ。
そして、普段どおり雑誌に連載したエッセイも収録されています。
『思い出の風景と風景の思い出』では、旅行やら故郷やら、風景という言葉をキーワードにしたエッセイ、『耳よりな話ばかり』は有線関連の雑誌に連載されていたようで、原田宗典さんの音楽的趣向が良く判るエッセイです。
『遠景および近景』は、これもまた真面目なエッセイ。
近景の部分で語れる家族への想い―。
エッセイの中で度々登場した有名なお父さんへの思いも綴られています。
そして、原田宗典さんの当時の特徴だった長髪。これが切り落とされた日の出来事もこのエッセイ集の中で語られています。
ところで、この本の中には偶然にも『美しい日本とは何か?』というタイトルのエッセイが登場します。
『本当に美しいものは、目には見えない。だから失ってしまい易くもある』
このフレーズを読むと、今の日本は無理に美しいものを見ようと、見える形にしてしまおうとしている…そんな気がしました。
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