本の虫、中毒日記

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Fujisaki

Author:Fujisaki

基本はシャーロッキアン。
でも雑食の本の虫。資格からマンガまでそこに文字がある限りっ。

紙魚、コナチャタテとはちょっと違う本の虫ですので、駆除はご容赦下さい。

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北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜粋/コナン・ドイル
コナン・ドイルの作品の中から、心霊的な現象に傾倒していたドイルの一面が色濃く出ている『北極星号の船長』を読んでみました。

ある船が航行中に氷で立ち尽くすハメになってしまった。
食料もギリギリという状況だが、どうにか乗りきれる算段はあった。
しかしこの船では動けなくなってしまったという以上に別の問題が浮上していた。
それは幽霊騒ぎだった…。
主人公は比較的冷静にその事実を受け止めていたが、船長は精神的に不安定に陥っていった。
そして彼はだんだんと自らの死を予見するような発言を残し、船から消えてしまうのだった。


物語としてはコナン・ドイルが得意そうな美しい描写が栄える冒険物といった様子。
風景や人の心理状態の描写はドイルの得意とするところですね。
シャーロッキアンとしては怪奇を怪奇として終わらせるドイルに違和感を覚えてしまう部分もあるのですが、この物語に登場する怪奇現象の用い方はとても綺麗です。
ホームズが見ていたら何ていうか判ったもんじゃないですが。

シチュエーションホラーというか、限られた空間での描写というのは興味深いですね。
またオカルト的な要素ばかりではなく、物語序盤で見せた主人公の妻の写真へ対する船長の謎の怒りと後日談がうまく交差するあたりは思わず『あぁ、そういうことか』と唸らされ、さすがに本格派ミステリーの始祖的な存在であるドイルらしい技術でしょう。
ミステリー作品ではないという頭で見ていたので完全に読み手に回ってしまったのですが、なるほど作品中に出てくるヒントを少しずつ組み合わせてみれば、実は答えが見えてくるようになっていたんですね。



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