しかし彼の残した等身大の思春期を映し出した作品の数々は、彼の死にうよって掻き消される事無く、人々の胸に届いた。
本作はそうした山田かまちの幼少期の頃の作品を掲載している物です。
あとがきによると、丁度小学校3年生の頃に当時の担任だった竹内先生によって、その才能を見出され、有名な先生の下へ連れて行かれるなど、その才能がまさに開花していた時期の作品の数々です。
彼の作風は段々と抽象的な表現へとシフトしていきますが、この10歳のポケットの時期が判り易さという面では非常に秀でていると思います。
後の作品と比べると深さや凄みではやや劣る物の、その才能を見出される理由の説明が不要なほど、言葉も絵も生き生きとしています。
幼い年齢からか、動物の絵が目立ちますが、竹内先生がアルタミラの壁画にも例えたその動物達は、子供の絵にありがちな制止した絵ではなく、躍動感に溢れる絵です。
また教師との交換日記から生まれたガブちゃんのぼうけんも収録、母親が語っていた当時の山田かまちを例えた表現…『24時間では足りないよ』という言葉が、まさに文面からあふれ出るような、そんな彼の幼少期を収録した一冊です。
作品のほかに幼い頃の写真や、山田かまちにとって一番最初の読者であったであろう弟とのツーショットも見られます。
ちなみに、このポケットのシリーズは三部作。
順に逝去した17歳、15歳、10歳で出版されています。
僕は山田かまちの『ねなけりゃだめだ』という作品に感銘を受けて、これらのシリーズを手にしたのですが、その完成度の高さから、恐らく死ぬ直前くらいではなかったのかと思い、17歳、15歳と購入したのですが、なんとその作品は10歳のポケット、本作への収録でした。
まさかと思いつつ、二冊も購入したので三部作を揃えておくかという気持ちで手に取った、表紙に幼い山田かまちの写真の載るこの一冊に掲載されていたときの驚きは、今でも忘れられません。
※『ねなけりゃだめだ』は山田かまちのノート〈上〉
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