本の虫、中毒日記

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Fujisaki

Author:Fujisaki

基本はシャーロッキアン。
でも雑食の本の虫。資格からマンガまでそこに文字がある限りっ。

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或る日の大石内蔵之助/芥川龍之介 (或日の大石内蔵之助)
芥川龍之介が赤穂浪士の物語を書いていたというと少し意外なような気もしますが、この『或る日の大石内蔵之助』は芥川龍之介らしい描写で、人間としての大石内蔵之助の討ち入り後の心理を描写した作品です。

自らの本懐を果たし、細川家に預かりの身となりながらも満たされた気持ちで残された日々を過ごし大石。全ては達成され、後は沙汰を待つばかりだった。
もうすべては行く処へ行きついた
敵の目を欺き、荒ぶる仲間達を抑え、そして討ち入りの計画を立てる。
二年近くにも及んだ激動の日々から開放された大石の気持ちは穏やかだった。

そんな時、早水藤左衛門が訪れて彼らの討ち入りの影響で江戸の町ではあだ討ちじみた事が流行っているという話をした。その場にいた浪士たちは自分達の忠義からの行動が江戸の町で高く評価されていた事の結果として、それを快く思っていた。

しかし、大石内蔵之助の心中はそうではなかった。
彼の満たされた気持ちが曇ったのである。

そこで話題をそらすために、討ち入りまでに脱落していった仲間の話をするが、それは逆効果で残った四十七士を讃える結果となってしまう。しかし大石の本心は脱落したメンバーを責め立てるような気持ちは無く、それこそが人間らしいものであると思っていたのである。
そして自らの行動の陰で、その守り立て役として世間から卑下される宿命にある彼らを憂うのだった。

芥川龍之介さんはこの複雑な感情を『一切の誤解に対する反感と、その誤解を予想しなかった彼自身の愚に対する反感』と表現しています。
生きながら神格化されていく自分の姿、そしてそれと現実のギャップを目にする大石。
これは様々な形や分野で神格化された人々へ対する、芥川龍之介さんなりの答えなのかもしれません。

またこの作品で印象的なのは大石内蔵之助が話題をそらそう、そらそうとする姿です。
そしてついにはトイレを理由に席を外してしまう。
その姿はまるで、自らの満足感のみに逃げ込み、異なる価値観を持ち込まれる事で満たされた気持ちで最期を迎えることが出来なくなることを拒むような、そんな、まさに人間臭い普通の人間としての大石の姿といえるのではないでしょうか。



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