本の虫、中毒日記

読書感想文、乱発中。

About Me

Fujisaki

Author:Fujisaki

基本はシャーロッキアン。
でも雑食の本の虫。資格からマンガまでそこに文字がある限りっ。

紙魚、コナチャタテとはちょっと違う本の虫ですので、駆除はご容赦下さい。

最新入荷記事☆

本棚

カレンダー


07月 | 2017年08月 | 09月
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -


お勧め。


ポストで買取,eBook Off

年代別ブログ図鑑

皆様の感想文

トラックバック

ベストセラー

にほんブログ村 小説ブログ ミステリー・推理小説へ

トヨタはいかにして「最強の社員」をつくったか/片山 修
雇用が過剰であるにしても、その雇用を新しいビジネスにいかすことを考えるのが、経営者の役割だ

この本はトヨタの構造改革を解説した本です。
しかしこのように書くと違和感を感じられる方も居られるかもしれません。

僕はまさにその一人でした。

トヨタの経営には非常に穏健なイメージが強いです。
車にしても80点主義と呼ばれた時代も長く、海外企業との資本提携による経営の安定化を目指すわけでもなく、日産でカルロス・ゴーンが行ったような大きなリストラを決行するわけでもない。
事実、トヨタの元社長である奥田 碩さんは『リストラを行った責任者がハラを切らないのはおかしい』と発言していますし、世間に衝撃を与えるような経営を好む体質では無いように思います。
尚、この話は奥田さんの考えであると同時に、トヨタがかつて経営難から希望退職を募った際に、創業者である豊田喜一郎さんは辞任したというエピソードにもつながっています。

しかし世間から気づかれず、そして既存の社員達に必要以上に動揺を与えずトヨタの革命は行われていたのです。
その期間は10年という長期間にもおよびます。
自分達が目指す理想に会社の体質を合わせていくのに、これだけの時間を費やしていたのです。だからこそ私達…もしかするとその従業員でさえ行われた改革の大きさに気づけなかったのかもしれません。

トヨタが構造改革を目指したきっかけとなったのは1990年代前半の『ハンコ事件』と呼ばれる出来事です。
これは今は亡きトヨタの副会長である磯村 巌さんがある施設の建設にゴーサインを出した事に端を発します。自分がゴーサインを出しているから、それで全てが動き出したものだと思っていたら、半年たっても関係部署のハンコを貰うだけで前進していないままだったのである。

大企業病と呼ばれる言葉があります。
企業が大きくなる弊害として生じる組織の肥大化です。
磯村さんはこの出来事に危機感を感じ、組織のフラット化の必要性を打ち出すのです。
そしてやがてその動きは年功序列や終身雇用、そして役職といったものまでも排して新しいトヨタを産み出していくのです。

ネタバレ等は続き以降で。


ただ大きな改革を行ったとはいえ、やはりトヨタが穏健派であるというのは事実のような気がします。
それは人の気持ちが変化に対応できるように緩やかな変化とした事にも言えるでしょうし、給与一つをとっても従来の給与体制に近い形を取りながら、その上で努力を評価するシステムを作ることで上がる可能性を見出させます。
給料の体質が変わり、年功は除去されても真面目に仕事に取り組めば従来どおり評価してもらえる。能力がないと給料がもらえないというのではなく、もしかしたら今以上の評価がもらえるかもしれない
そう思わせれば実力主義の採用も、なんだかチャンス到来のようにさえ感じられる…それがトヨタの狙いです。

また役職の撤廃に関しても社内での資格制度を充実させて、それぞれが年功で上がるのではなく個々の努力次第で年齢をすっ飛ばしてでも上がれる形とすることで向上心を高めるようにしています。
しかも興味深いのは、この資格や評価の形は多くの実力主義の企業が取るような数字や結果のみを見たものでは無くプロセス評価とし、たとえば未経験の事象でも適切に処理をしていたり、組織をきちんと管理している能力であったり、人望(リーダーシップ)であったり…。
一過性の結果だけでは評価されないというシステムです。

また技術職に置いては高度な機械のメンテナンスが出来ることではなく、技術の大切さを知ることを資格の形で推奨しています。
つまり会社が求める社員の理想像を資格という形に置き換えることで、必要なスキルを取得させていくシステムを作り上げたのです。

また若い組織に依存したがらない世代に対して作成した組織や事業を引っ張っていける能力を持つ『プロ人材開発プログラム』など、個々に自らの持ち味を出すことの大切さが評価される形になっています。
これからは、自分のキャリアは自分で計画し、自己責任のもとに形成していかなければならない』という著者の片山 修さんの言葉はまさにトヨタの社員に求められていることであり、これからの日本のサラリーマンが目指していかなければならない方向性なのでしょう。
そして驚くべきことに、穏健派のイメージが強いトヨタは既にそのシステムを構築している。

木下光男さんは急激な変化を行うことを、こんな風に語っています。
『外部向けのパフォーマンスとして、改革を行うのは愚の骨頂ですし、自分が担当する期間だけ取り組むような姿勢だと怪我をします』
うーん、どこかの誰かさんに語りかけてるような発言です(笑)。

組織のフラット化、役職の撤廃、給与体制の見直し―。
またトヨタでは相手が社長でも『さん』づけで呼ぶそうです。
未だ創業者一族が多く残る為に豊田一族にいたっては、驚くべき事に下の名前で呼ばれるそうです。会社内で出来るだけ下が意見を言いやすい形を徹底しているのです。
こうした動きを見ていると、トヨタという企業が非常に中小企業に近い形を目指しているような気がしてきます。もちろん仕事の内容や規模、挙げる利益やかかわる人々の数というのは世界トップクラスの企業であることに間違いないのですが、その中の評価システムや人同士の係わり合いは、小さな企業が持つスリムな体制です。

そういえば同じ車メーカーのスズキは、自らの企業を中小企業であると誇らしげに語ります。
その分だけ風通りがいい、会社内が良く見える、意見が良く届く―。
不思議なもので、トヨタの構造改革を見れば見るほど、こんな中小企業の形が見えてくるのです。
大きくなりすぎた企業のスリム化…それは、まるで成長まっさなかの状態に企業のシステムを戻すような作業なのかもしれません。そして、その通りにトヨタの快進撃は続きます。

中にいる人は、きっと小さな企業であるように自分の仕事が努力すればするだけ評価されていく実感を感じているのでしょう。トヨタが構造改革で達成した実力主義のフラットな組織は、頑張ろう!という意欲を沸かせる構造に仕上がっているのだから。




もしお役に立てましたら、クリックして下さい。喜びます、きっと。












管理者にだけ表示を許可する


トラックバックURL:

ブログ内検索

amazonさんで探す

本の虫を管理する!

copyright 2007 本の虫、中毒日記 all rights reserved. powered by FC2ブログ.