本の虫、中毒日記

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環礁(南洋通信)/中島 敦
中島 敦さんが南洋庁の官吏としてパラオに赴任した際に見て回った島々での出会いや、目を引いた出来事などを紹介した紀行文です。

冒頭、いきなり『寂しい島だ』というフレーズから始まり、中島 敦さんが見てきた島の中でも特異な寂しさを持つ島の紹介でした。
その理由は子供が居ない事―。
神がその島を滅ぼそうと考えている他に理由が見当たらないが、五才になる子供が最後の一人としているのみで、もはやその島には二十歳を超える成人しか居なかった。

ちなみに中島さんはそんな最後の一人だからたいそう可愛らしいのだろうと期待して、その子供を見にいったそうですが、その時に抱いた感想は以下。

そして、すっかり失望した。

こんな調子で中島さんは色々な島を見て回っています。
最初の記録が上記のようなくらい感じだったので、全体的にそういった雰囲気になるのかと思ったものの、読み進めていると、中島さんの叙情的な表現と、独特のユーモア溢れる文章は、パラオの島々に住む人の生活を如実に表現させてくれ、行ったみたいなーと思わせてくれます。

ただところどころ歴史を感じさせることもあり、たとえば来訪の理由の一つとして中島 敦さんは『近く来るべき戦争に当然戦場として選ばれることを予想しての冒険』とつづっています。

前半は特定の人物…最も印象に残った中では中島 敦さんを『トンちゃん』という謎のニックネームで呼ぶ島の才女『マリヤン』などを紹介しているのですが、後半では島自体の紹介が増えてきます。
それぞれの島にそれぞれの個性があり、たとえばマーシャルの島民は家は簡素そのものなのにミシンとアイロンは各家庭に普及しており、非常におしゃれで中島 敦さんは『宣教師と結託したミシン会社の辣腕に呆れる』と感想を残しています。

この本で興味深いのは、もちろん中島 敦さんが見てきた島々でのそれぞれの生活や文化、そこに暮らす人々の性格などといったことを知る事が出来るという点と、もう一つ当時の日本人から見た島に住む人々の暮らしに対する気持ちというものが垣間見えることです。
『真昼』にはそういった感想が如実につづられており、島での日々に対して、『未開は決して健康ではない』と自分を戒めているような場面も見られます。













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