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Author:Fujisaki

基本はシャーロッキアン。
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本の虫、中毒日記
読書感想文、乱発中。
悪魔のような機械/ジョン・ラッツ(シャーロック・ホームズの新冒険 上)
ジョン・ラッツさんはシャーロック・ホームズに少しいつもとは違う近代的な事件を解決させています。文章自体はかなり正統なパスティーシュであるものの、登場する単語や事件の核となる部分に多少の違和感を覚えるかもしれません。

舞台は、一ヶ月ばかり仕事が途切れて陰鬱にバイオリンをかき鳴らしているホームズから始まる。
ワトソンに文句を言われてようやくバイオリンを止めたホームズの元へ久しぶりの依頼人がやってきた。
なかなかの美男子で、寡黙な(登場しないだけ?)ハドソン夫人とも冗談を言い合いながら部屋を訪れています。

最初、椅子を勧めたワトソンをホームズだと勘違いした依頼人にワトソンはそのままいつものホームズのやり方をまねて靴の泥や指輪をしていないことから来た場所や、依頼内容を言い当てて見せた。

…が、見事に撃沈した。

ワトソンは依頼人の反応を『私の明敏な洞察でめんくらっている様子』と表現したが、実際には『何言うとんねん、こいつ』と戸惑っていたようです。

依頼内容は彼の弟へかけられた殺人の容疑を払うこと…でした。
彼ら兄弟はガットリング砲(以下、ガトリング砲で統一)の開発者であるリチャード・ガットリング(実在の人物)の英国代理人として訪れていました。その仕事内容は英国に対してガトリング砲の製造の権利を販売するというもので、既に契約寸前の段階にまで進んでいた。
そして彼の弟はその契約が上手くいけばその軍需会社の令嬢と結婚する事が決まっていたのだった。

そんな時に契約相手だったクライヴ卿が銃殺されているのが発見された。
依頼人やその弟に殺人の動機があるはずはない…それどころか、被害者の死は彼らのビジネスにも悪い影響を及ぼしかねないのだから…。
しかし、一つだけ絶対的な証拠があった。
それはガトリング砲…彼らしかもっていないはずの悪魔のような機械独特の発射音を聞いたという人物が何名もいたのだった…。

ネタバレ等は続き以降で。


事件としては比較的簡単に解決しています。
到着してウロウロしている内にホームズは犯人を特定し、後半は証拠を固めるだけために動き回っています。

さてこの事件で特徴的なのは事件の核となる部分です。
まずガトリング砲。ここでは正典では余り見られない戦争の兵器に精通しているホームズとワトソンというシーンが見られます。よく考えれば殺人事件の研究家たるホームズ、そして元々は軍医だったワトソンという二人が詳しくてもおかしいわけではないのですが、多少の違和感がありました。
またガトリング砲の発射音と聞き間違えられた『馬無しで走る車』こと、自動車も登場。車のパーツを外したり、オイルについて語ったりするホームズが見られます。
ちなみに開発者がそう遠くない未来に車があらゆる人が運転するほど普及するだろうという話をした際に驚きを隠しきれない様子だったワトソンに対して、ホームズは『きみはべつだよ、ワトソン。賭けてもいい』と、妙に毒のある突込みを受けています。

こうした違和感はあるものの、ジョン・ラッツさんの小説の作りもなかなか秀逸。ところどころにキーワードをちりばめた本格派の推理小説に仕上がっています。
人が銃殺されて、銃の発射音のような音がしたから、それはその人を殺した銃だろう…。
日本人には銃の音の種類なんて余りなじみがありませんが、これは上手いトリックだなーと思いました。

テーマ:こんな本を読んだ - ジャンル:本・雑誌

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