本の虫、中毒日記

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Fujisaki

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鼻/芥川龍之介
『―人間の心には互に矛盾した二つの感情がある。勿論、誰でも他人の不幸に同情しない者はない。所がその人がその不幸を、どうにかして切りぬける事が出来ると、今度はこっちで何となく物足りないような心もちがする。』

僕のイメージでは芥川龍之介さんといえば教科書に出てくるような…もちろん、実際に芥川龍之介さんの作品を教材に用いることは多々あるのですが、どことなく道徳の教科書に通じるような世界を感じてしまいます。
おそらくそのイメージは初期の代表作である『』に由来しているのだと思います。

禅智内供の長い鼻を題材にした作品で、今昔物語や宇治拾遺物語にも同様の出来事を扱った作品がある有名な物語です。

□ あらすじ
禅智内供という人物は5~6寸という非常に長い鼻をコンプレックスに感じていた。
この鼻は実生活でも邪魔になっており、普通にご飯を食べれば鼻がお茶碗の中に入ってしまうほどで、普段は弟子に木の棒で鼻を持ち上げさせて食事をするほどでした。
この弟子がくしゃみをしてしまい、その拍子に鼻が粥の中に落ちたという話は池の尾から遥か京都にまで届いたという。

しかし禅智内供が自分の鼻にコンプレックスを持ったのは、そういった実用面での悩みからではなく、周囲からの目が気になったのでした。
いつも来客の鼻を見ては、自分と同じような大きな鼻はいないのかを探したり、はたまた劉玄徳の耳が長かったという話を聞けば、それが鼻が大きいという話なら…!と切望したり、時には鏡の前でポーズを取って鼻の目立たない角度の研究をしたりと涙ぐましい努力をしていたのでした…。

…この僧侶、修行が足りてないんじゃないのか。

そんなある日、弟子が鼻を短くする方法を聞いてきたのだった…。

ネタバレ等は続き以降で。


最初は興味を示さず、やがてスムーズに怪しまれないようにその方法を試す禅智内供。
その方法は鼻を茹でて人が踏むというもの。

この方法で人並みの鼻を手に入れた禅智内供…。
しかし、結局は短くなった鼻を陰で笑われることに気づきます。
このあたり、解釈の仕方によってはすごく教訓的というか…昨今、プチ整形と呼ばれる簡単な美容整形手術が流行っている状況を見透かしたような文章だなぁと思います。昔から人というのは同じような悩みを抱えて生きてきたのかもしれませんね。
現状なんて自分が気にするほど誰も気にしてないのに、無理に変えようとするからその変化こそが誰かの目に留まる。今のまま、ありのままが受け入れられている事には、はなかなか気づけないものなのかもしれません。
意外と美容整形を受けた方でも、同じような感想を抱いている人は多いのではないでしょうか。

さて、一方短い鼻を手に入れたのに陰口をたたかれ、『人は誰かがある不幸を乗り越えれば、もう一度その人を同じ不幸におとしいれてみたいような気にさえなる』…そんな風に悟った禅智内供はある日、あれほど願望していた短い鼻が元に戻ってしまった時に、『―こうなれば、もう誰も哂うものはないにちがいない』と安堵さえ覚えるのでした。




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