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Fujisaki

Author:Fujisaki

基本はシャーロッキアン。
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本の虫、中毒日記
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バスカヴィル家の犬 -The hound of the Baskervilles
シャーロック・ホームズが滝つぼに消えてから現実では8年が経った頃に出版されたシャーロック・ホームズの長編物語です。長編としては唯一、前編と後編に分かれない純然たる長編ですが、ホームズの復活というわけではなく、ホームズの存命中の時期の物語として発表されました。

この作品で注目は、なんと言っても名探偵ワトソンの冴え渡る推理でしょう!
バスカヴィル家の犬』の物語において、ワトソンはついに主役の座を射止めたのである。物語の中盤まではワトソンの活動と推理が満載、しかも(意外と)外れてない
ワトソンファン垂涎の展開となった経緯は以下の通り。

ある朝、ワトソンは昨晩訪れたものの面会できないまま立ち去った依頼主が置き忘れたステッキを手に取っていた。そこには依頼主の名前であろうと思われる名前と、ステッキの贈り主と思われる頭文字が刻まれていた。
ホームズに求められるまま、ステッキから推理を始めるワトソン。
その推理を聴いたホームズはシャーロッキアンの間ではよく知られる名言を残します。
きみは習慣的に自分自身の才能を見くびりすぎているきらいがあるよ。君自身は輝かないまでも、少なくとも光るを伝える能力はあるんだ。(中略)天才を刺激し、発揮させる異常な力を備えているものだ
こんな言葉と共に謝辞を伝えられたワトソンは『ひどくうれしかった』と感想を漏らすのだが、一瞬の後には『君の下した結論は大部分まちがっているよ』との返答をくらい、撃沈されてしまいました。

その依頼主が再訪してホームズへ伝えた事件とは…。

ある地方に住む富豪、バスカヴィルが急逝したのだ。習慣にしていた夜の散歩に出たまま、戻ってこず、主人を探しに出た執事が、恐怖に歪んで人相の変わり果てたチャールズ卿の死体を発見したのだった。
世間的には心臓麻痺とされたその死だったが、依頼主であり、チャールズ・バスカヴィルの友人、主治医だったジェームズ・モーティマは一つだれにも言わずにいた事実を打ち明けた。
死体のすぐそばに、巨大な犬の足跡が残ったいたのだ。
それはまるで、バスカヴィル家に伝わる魔犬の伝説を彷彿とさせるようだった。

そして子供の居なかったチャールズ卿の正当な相続者として、ヘンリー・バスカヴィルが見つかったのだが、巨万の富があること、バスカヴィルの後継者がいないとチャールズ卿の手がけてきた公共事業が水泡に帰してしまう事と、バスカヴィル家に伝わる悲劇の歴史のどちらを重視すべきかを判断付きかねていたのだった。
事実、ヘンリーの元には新聞を切り抜いた文字で来ないようにと警告を促す手紙が届けられていたし、ベーカー街の下宿を出た二人を尾行する影があった。

そこで、ホームズは提案したのだ。
自分が事件の調査をしている間、いつでもヘンリーを守れるようにバスカヴィルの館へワトソンを同行させることにした。そしてワトソンはその間に起こった出来事をホームズへ伝えるという大役を担ったのだ。

頑張れワトソン、普段の屈辱を晴らすときはいまだ!

ネタバレ等は続き以降で。



物語としてはシャーロック・ホームズの中でも最も本格派らしい作品の一つです。
冒頭で靴が二度無くなるエピソード辺りなど、最後まで読むと唸らされます。
ところどころにヒントがちりばめられ、きちんと咀嚼されていく辺りはさすがです。

ワトソンはバスカヴィル家に到着するや否や、地元の調査に走る。
どこからともなく聞こえてくる、地元の人間が魔犬の声と恐れる声や、馬さえ沈んでしまう底なし沼、新石器時代の住居跡、訴訟好きの老人や博物学者のステープルトン兄妹、脱走したという死刑囚の噂…。

ところでワトソンは物語中、妙なところで毒を吐いています。
まず魔犬の声だと噂されるどこからともなく聞こえてくる獣の咆哮について、博物学者ステープルトンに尋ねた際、『あなたがたは無教育な百姓どもとちがって…』と、さり気に百姓を卑下した発言をし、始めてその咆哮を聴いて怯えるヘンリー卿に対して説明するときも魔犬の声だとうわさされる事を伝えるのに、『このへんの百姓どもはまったく無教育ですからね』とチクリ。
ワトソン、こんなに嫌な奴だったっけかなぁ…。

物語は途中まで、ホームズへの報告書と当時の日記といった記録で綴られます。
報告書の方はワトソンが調べた事や気になった事などをホームズへ語りかける口調で、なかなか興味深いものの、『夜余り熟睡しない男であるのは、君も良く知っている通りだが』など、ちょっと微妙な描写も。
こういう事を書くから、あんたらは妙な疑惑を持たれる…ゴニョゴニョ。

ちなみにホームズは早い段階でバスカヴィル家近くに上がってきていました。
犯人一味かと想い、銃を持っていたワトソンに対して、『ワトソン君、夕焼けが美しいね』。
…ホームズが最も得意とする登場の仕方でした。この茶目っ気が、数年後にワトソンを生涯初の失神に追いやるのは、この段階では神のみぞ知る事実。

ワトソンはこのことからてっきり、自分の報告は無駄だったと想い、ブチブチとホームズへ不平を言うので、これはまずいと思ったのか、ホームズは報告書が役に立った事を強調、『繰り返し読んだからずいぶん手あかで汚れている』と、随分とわざとらしいフォローを入れています。

尚、この事件でホームズはワトソンの知る限り最高速度を出しています。
魔犬の正体を暴き、新たな被害者を出さないようにと駆け出したホームズは『このときのホームズほど速く駆けた男を私は見た事が無い』とワトソンに言わしめたほど。
ちなみにレストレードがかけっこが苦手という新事実も発覚。

小説としてはドイルが得意とする叙情的な風景の描写が美しい秀作です。他の長編の二部構成を上手く一つの形で出してきた、そんな感じです。
一つ一つの符号が繋がっていく、心地のいい本格派推理小説。
今回は新潮文庫、延原 謙さんの翻訳で美味しく頂きました。

テーマ:ミステリ - ジャンル:小説・文学


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