本の虫、中毒日記

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Fujisaki

Author:Fujisaki

基本はシャーロッキアン。
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悪魔が来りて笛を吹く/作・横溝正史 画・影丸穣也
人の営みの中には法律で裁けないこともあるんじゃないでしょうか

横溝正史の代表作の一つである『悪魔が来りて笛を吹く』のマンガ版で、イラストは影丸穣也さんが担当しました。
450ページ強で、マンガとしては厚いページ数ですが、原作も450ページ近いボリュームのある内容なので、ところどころはしょられています。
しかしこの作品の核となる戦後混乱時の没落貴族の生活や、近親間での乱れた性などはしっかりと再現されています。

□ あらすじ
天銀堂事件の容疑者として逮捕されていた元子爵の椿 英輔が、釈放された直後に信州・霧ケ峰の地で死体となって発見された。
家名に疵をつけた事を恥じてか?それとも取り調べに行き過ぎた点があったのではないのか?世間はセンセーショナルに報道していた。
そんな時、金田一耕助は警視庁の等々力大志 に呼び出され、事件の粗筋を聞かされていた。
実は事件はこれだけでは終わらず、元子爵の未亡人や、身の回りの者が死んだ筈の夫の姿を見たというのである
椿元子爵の生死の真偽を占ってみようという事になり、金田一耕助はその場に立ち会うように要請されたのだった…。

□ 漫画と原作の違い
この時点で依頼人となる美禰子(原作ではシメス偏は旧字、示)から遺書を見せられますが、少し内容が違っています。
原作での遺書は
美禰子よ。
 父を責めないでくれ。父はこれ以上の屈辱、不名誉に耐えていくことは出来ないのだ。由緒ある椿の家名も、これが曝露されると、泥沼のなかへ落ちてしまう。ああ、悪魔が来りて笛を吹く。父はとてもその日まで生きていることは出来ない。
 美禰子よ、父を許せ

というものでした。
マンガの方の遺書は以下。
この家には悪魔がいる。
 奴が笛を吹き私たちは踊る
 美禰子よ
 父はこれ以上の屈辱に耐えて生きていくことは出来ない
 先立つ父を許せ


原作の方が内容が本格派に傾倒しているような感じでしょうか。
マンガの方がホラー的な要素があり、これはこれで面白かったです。


占いで出てくる『悪魔の紋章』、そして名家で続く謎の変死…。
金田一耕助は死を目前にした椿元子爵の動きを追い、名家の影に隠れたおぞましい事実へと直面していく。
椿元子爵が娘に託したウイルヘルム・マイステルの本、そして『悪魔が来りて笛を吹く』の旋律…。

全ての符号が重なり合う時、悲しい定めを追った男女の姿が浮かび上がる。

ネタバレ等は続き以降で。


僕がマンガ版の中で残念だったのは『悪魔が来りて笛を吹く』という曲に託された椿元子爵のメッセージが割愛され、ただ物語の要所ごとでのアクセントくらいに抑えられている事でした。
原作では『金田一先生。あなたはなぜ、『悪魔が来りて笛を吹く』のあの曲を誰かに― 一彦にでも吹いてもらわなかったのですか。もし、それを吹奏するところをご覧になったら、椿子爵のいう悪魔とはなにびとであったか、一目瞭然だったはずなんです』として、そこに隠されている…三島東太郎の本来の設定、右手の薬指と中指が失われているという事実から椿元子爵が悪魔の素性を知らせる為に右手の薬指と中指抜きで吹奏出来るメロディを作っていたという事実が判明するというシーンがあるのですが、これが割愛されているのは横溝正史さんの作品の美味しいところが損なわれているような、少し寂しい感じがしました。

ただマンガが物足りなかったのか?というと、そうでもなく、また違った魅力があるのも事実です。
自分達の母親が自殺した事を知らず、服毒して死を目前にしながら金田一耕助に淡路島にいる母の事を尋ねる東太郎。
金田一耕助は事実を伏せ、元気にしていると伝え、それを聞いて満足そうな笑みを浮かべて崩れ落ちる東太郎。こんなシーンは漫画だからこそ映えるのかもしれません。

冒頭での一文は犯人がわかりつつも、犯人の名前を告げることを拒み続けた金田一耕助が最後に呟いた一言です。

戦後混乱期の闇市や旅行など歴史的な観点からも楽しめる一作でした。
巻末の解説は有栖川有栖さん。




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金田一耕介→×
金田一耕助→○
2009/01/18(日) 20:01:07 | URL | [ 編集]












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