本の虫、中毒日記

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Fujisaki

Author:Fujisaki

基本はシャーロッキアン。
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萩原朔太郎詩集/現代詩文庫
昭和から大正へかけて活躍した詩人、萩原朔太郎。
小説『世界の中心で愛を叫ぶ』の主人公の名前、『松本朔太郎』の由来として知った人も少なくないでしょう。

萩原朔太郎詩集は彼が残した『詩』を集めて収録したアンソロジーです。
主に『詩作品』に注目している為、初期の短歌や晩年に発表された散文の作品を読みたいという方には余りお勧めできませんが、詩人としての萩原朔太郎の全盛期を彩る『青猫』や、処女作にして彼自身の代表作となった『月に吠える』などに重点を置いて収録されていると思えば、それは随分と贅沢な話だと思う。
しかも『月に吠える』と、初期との対比によく用いられる『氷島』は完全収録です。

飯島耕一さんが解説で仰られていますが、彼は前橋に住みながら前橋のような田舎を嫌っていました。これは意外と独特な感じ…特に現在を生きる僕達にとっては、そうみえる部分だと思います。
彼は『厭らしい景物』という作品の中で、『かれらは馬のやうに暮らしてゐた。』と人々を表現し、そして『精神さへも梅雨じみて居る』と綴るのです。
詩人は自然を、そして田舎をロマンティックに語る生き物なのではなかったのか!?そんなカルチャーショックを受けてしまうのでした。

また、タイトルもそのまま『田舎を恐る』では、そこに住む人間の群れを恐れる、田舎の空気は陰鬱で重苦しいとまで描いた挙句に『田舎は熱病の青じろい夢である』とまで切り捨てています。
萩原朔太郎さんの正当な愛好家の方々からはお叱りを受けるかもしれませんが、この『そこまで言うか!』的な表現を見つけるのも楽しみ方の一つ、そう思います。

僕がこの作品集で最も好きなのは『日本への回帰』。
そういえば少し話題はそれますが、彼は『新しい日本語を発見しようとして、絶望的に悶え悩んだあげくの果て、遂に古き日本語の文章語に帰ってしまった』(『詩人の使命』)と記しています。
『日本への回帰』の中で、彼は『僕等の住むべき真の家郷は、世界の隅々を探し廻って、結局やはり祖国の日本より外にはない』とするが、その日本はには『幻滅した西洋の図が、その拙劣な模写の形で』はびこっていた。
『僕らは一切の物を喪失した』と記しているのですが、こういう情勢を見たからこそ、彼は『帰ってしまった』のかなぁ、そんな風に思うのです。

西洋かぶれは、現在まで続いています。
なんの危機感もなく。

しかし、それでも『和』という物が文化から決して消えないのは僕達も心のどこかで真の家郷は、世界の隅々を探し廻って、結局やはり祖国の日本より外にはない…そんな風に思った萩原朔太郎さんと同じく、日本人の血が流れているから、なのでしょうか。



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