■ どんな本?
タイトルの「歴史の嘘と真実」というのは、やや誇張気味のように思えます。
恐らく相応しいのはサブタイトルの「誤解だらけの」の部分でしょう。
タイトルがキャッチ―な方が売れるという算段などからつけられたものだと思いますが、よくある「日本の歴史は米軍によって書き換えられていた!」というような過激な論調の本のように見えてしまって勿体ないなと思います。
柔軟な視線で歴史について考え、その矛盾点について考える内容です。
何かを突き詰めるのではなく、こういう見方、考え方の方が自然じゃない?と語り書けるような一冊です。
■ 感想
端的に言えば史料至上主義への批判でしょうか。
現在の歴史の定説の多くは資料で立証されていて、それが真実のように見えます。
もちろん史料の無い事を「こっちが事実だ!」と闇雲の言うのはあり得ない話です。
しかし当時の人々の人間的な立場になって考えてみると、必ずしも全ての事が史料通りというのは、逆に引っかかる部分もあります。
史料の中には時の権力者によって改変された物もあれば、いつしか美化されてしまった物もあるでしょう。
時代は違えど同じ人間が歩いてきた道のりです。
もっと人間的に考える余地が歴史学の中にあっても良いのかもしれません。