本の虫、中毒日記

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Fujisaki

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限界集落 吾の村なれば/曽根英二
郷土関連の本を多く読んでいると、周囲の方から何かしらの本を薦められる事があります。
その中でちょっと異色だったのが『限界集落 吾の村なれば』でした。
タイトルだけを見ると、岡山との関係が見えてこないのですが、舞台の中心となるのが岡山県新見市なんですね。
限界集落という状態への興味もあったので、読んでみました。

□ 舞台は岡山県
限界集落というのは、人口の半数以上が65歳の方が占める地域の事です。
日本の中でも中国地方は限界集落が多く存在する地域で、その中国地方の中でも岡山県は一番多い県なのです。

この本でも中心となる舞台は前述の通り新見市の新郷釜村という地域です。
岡山県の北部、鳥取県の県境近くにある地域です。
ここで暮らす人々にスポットライトを当てたのがこの作品です。

□ 岡山県の南北について考える
話を進める前に少し新見市や、岡山県の県北について書いてみます。
お隣の広島県も限界集落が非常に多い(岡山県より僅かに少ない程度で、ほぼ同じくらいの割合です)のですが、そこには土地柄の問題があるのかもしれません。
中国地方は山陽と山陰の地方に分けられますが、この境目となるのが中国山地です。
気候面についてもこの中国山地周辺を境目に、北は豪雪地域、南は温暖で雨の少ない、まさに県のキャッチフレーズにある『晴れの国』です。
この本で取り上げられている新見市は中山間地域と呼ばれる場所です。
土地の形状や気候でも厳しい中で、農業などを営んで暮らしていたのが当該地域の方々なんですね。
個人的にはこれが問題の一つなのだと思うのですが、県南へ行くと製造業が非常に盛んな地域になります。
倉敷市には水島臨海工業地帯があり、鉄や化学の企業が立ち並び、そして三菱自動車の工場もあります。
また玉野市に行けば自衛隊の船から豪華客船まで手がける三井造船の事業所があります。
地元からそれほど離れないままに仕事は沢山ある。
こういった環境も多少影響しているのではないかと思います。

□ 限界地域の問題とは
限界地域の定義となるのが高齢者の人口です。
じゃぁ若い人が戻ってきて人口が増えれば問題解決だね!…というわけにもいかないのが、この問題の真相です。
なぜ若い人が居ないのか。
そこには産業=仕事が無いという問題があります。
元々の農家で食べてきた人々にとっても農業で上がる利益は少なく、効率化の為に機械を導入すればお金が必要になり、JAから機械を借りても費用がかかる。
著者が取材に訪れた地域は農業が中心だったと思われる地域にもかかわらず、多くの田畑が放置されている様子が描かれています。
人を戻すためには、戻ってくる人が安定した収入を得る必要があります。
しかしその環境が整わない。人が少なくなれば学校やお店も無くなっていく。
どんどんと人が戻ってくるためにいい環境ではなくなってしまう、悪循環の中にあるのです。

本書ではこうした問題を暮らす人々の様子や発言から示しています。

もちろん絶望だけではありません。
県の支援も受けられない『蔓牛』の復活を産業の柱にと頑張る方、ピオーネの栽培で人口を+へ転じた豊永地区、人々に地域へ訪れてもらうための様々な取り組みなどが行われていることも同時に描かれています。
こうした問題は先延ばしにする事が出来ません。
今、かろうじて地域を支えている人たちもやがて歳をとっていきます。
何かしらの目的を持ってきた若い人たちが地域に住んでも、状況が改善されなければその子供たちは、また歴史を繰り返すように地域から出て行ってしまうかもしれません。
何か手を打つのであれば、今しかないのです。

□ 豊島の産廃問題
本の最後に登場する豊島は、著者にとっては世に名を知らしめる事となった、長年にわたって取り組んでいる問題でもあります。
だから登場した…というわけでもないでしょうが、この豊島も高齢が進んでいます。
そういえば余談ですが、本文中で香川県の役人さんが『離島振興という命題があるのですよ、香川県には』と、岡山県側が難色を示した展望タワーの問題の際に答えていますが、四国新聞の記事によると、離島に対する取り組みが最も弱い県になっているのが、先の発言をしたはずの香川県です。
そういった経緯もあってか、島の人たちの発言を見ていると、自分たちで頑張る、どうにかするという意識が非常に強いのです。
ここまでの本のテーマからすると、少し毛色の異なる集落ですが、取り組みをしようという意欲、そして何かをしなければ集落を守れないかもしれないという危惧が良く伝わってくる事例でした。




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