本の虫、中毒日記

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Fujisaki

Author:Fujisaki

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日光殺人事件/内田康夫
最近、休みの度に天候が悪く、外出できない鬱憤を浅見光彦シリーズの旅情で紛らわせようと、読んでみました。

まず。
一つだけ言っておきたいこと。

天海僧正どこいった?

この作品、そもそもは天海僧正と明智光秀が同一人物であるという説の立証の為に出かけた筈の日光で、たまたま遭遇した事件がメインに置き換わるという展開を見せます。
作品の冒頭ではメインに据えられ、色々と情報や説が飛び出すのですが、序盤で早くも話題から消え、結局次に登場してくるのはラストシーンです。
それも事件が終わって歩いていたら、最初の頃に取材に行っていた人に再会したというなんだかとってつけたようなシーンです。
僕は春日一行や浅見光彦と同じく、明智光秀は生存していたのではないかという説が結構好きなんですよ。
それだけにこの展開には軽いショックを受けてしまいました。

閑話休題。

華厳の滝で自殺の死体を引き上げている際に、もう一体の白骨化した遺体が見つかった。
それは地元で牧場を経営するほか、不動産やレジャーなど多岐に亘って展開する智秋グループの次男である事が判った。
彼は三年前、突然山形県へ車だけを残して行方不明になっていたのである。
それが華厳の滝で見つかった…。
葬儀の際に集まった短歌の仲間の口から、彼が死の直前に『日光で面白いものを発見した』と話していたことが判った。
この事件へ興味を抱いた浅見光彦は事件の調査へと乗り出すのだった…。


キーワードとなる日光とはなんぞや?という謎から、その誤解と真実によって引き起こされた事件です。
後、謎の編集長春日一行が登場する作品でもありますね。
若いくせにだみ声で喋るというこの男は当たり前のように旅と歴史の編集長になっていますが、実は登場はこの一家のみです。旅と歴史の編集長といえば、やっぱり藤田編集長ですが、レアな作品になりましたね(笑)。

後、非常に余談ですが…作品中に自宅でのシーンが少ない割りに、きっちり雪江と須美子に叱られていますね~。
やっぱりこれが無いと浅見光彦じゃない!?

ネタバレ等は続き以降で。



序盤の天海僧正の件もそうですが、肩透かしの多い作品でした。
こういう作品だと複数の殺人があれば、関連性があって犯人は一人という形を思ってしまいますが、事件が二つに犯人が二人という(笑)。
一応、日光というキーワードで二つの事件はつながるのですが、一方は少し動機薄弱かな…なんて思ってしまいます。
不倫の為に…ねぇ?なんていう疑問も抱きつつ。

ところでこの事件のキーワードとなる日光の正体である短歌雑誌の『日光』ですが、これは実在なんですね。
終盤で新しい方の事件の犯人をおびき出すのに用いた北原白秋が実際に創刊した同人誌です。
色々な短歌作品も出てきますし、いつもどおり進展はしないものの朝子との恋心もじっくり楽しめる作品だと思います。


ちなみに登場する短歌も実際の作品を引用しているそうで、死んだ智秋次郎の時勢の句かとも推測されていた作品も出頭寛一さんの作品なんだそうですよ。


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