本の虫、中毒日記

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Fujisaki

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トヨタ・GM 巨人たちの握手/佐藤正明
トヨタ・GMが提携した際の舞台裏を描いた本を読んでみました。

貿易摩擦が問題になった頃というと、僕はまだ幼稚園にも行っていないくらいの年齢でした。
そんな時代に起こったGMとトヨタの提携に関する物語は非常に興味深い内容です。

この本はいくつもの側面から興味深く読めます。
個人的に感じたものを幾つか紹介します。

□ アメリカの高コスト体質
まずGMがトヨタとの提携を模索し始めた理由は、消費者の関心が小型車へシフトし始めた事に対応するためでした。
単純に考えればGMが自発的に小さい車を作れば良いと思いますし、GM自体も最初のバリエーションは自社で対処しています。
しかしGMには体質的にコストが割高になる問題を抱えていました。
この状況では小型の車を開発していても、小型車を得意とする日本との競争には勝てない。
そこでGMが元々提携していたいすゞとの間で小型車を融通するようにしますが、GMの想定する台数を満たすにはまだ足りません。
更にいすゞの紹介でスズキとも提携するものの、もう一声欲しい。
そこで浮上してきたのが、時期を同じくしてフォードとの提携に失敗してアメリカへの本格的な進出に躓いていたトヨタとの提携でした。

□ 政治との絡み
この本の中には幾つかの障壁として、自動車会社に対する政治的な圧力が登場します。
まず有名なのは自動車の輸出の台数制限です。
当時もアメリカのビッグ3と呼ばれる自動車会社は非常に苦しい状況に追い込まれていて、その一方で躍進を続ける日本の自動車会社への反発が高まっていました。
そこでアメリカへ入っていく日本車の台数を減らすことでアメリカの自動車産業を保護しようとしていたのです。
更にフォードとトヨタ、そして最終的なトヨタとGMの提携において問題になったのは独禁法の問題です。
当時でもGMは世界一、そしてトヨタは既に世界第二位の自動車会社でした。この二者が手を組むと成ると、独禁法は避けられない問題です。
残念ながらこの本では余り独禁法へ対する対処に関しては書かれていませんが、単純に利害関係が一致するから一緒にやりましょう!というわけにはいないようです。
トヨタの米国進出に関しても、政治的な思惑がかなり動いています。
貿易摩擦の解消として、トヨタがGMの工場を買い取る形での米国進出というシナリオを願う役人も多かったようです。
会社の規模が大きいだけに、一企業の思惑だけでは動ききれない、そんなジレンマもこの本の見所です。

□ トップ会談の演出
この本で一番印象的だったのはチャイさんという方です。
この方はトヨタの豊田英二さんを持ってしても理解に苦しむ、独特な立場の方で、伊藤忠商事の人間でありながらGMの代表として提携に関する下準備を纏め上げた人で、いすゞやスズキとの提携の際にも暗躍していると言う、GMの日本大使のような人物です。
この人を初めとして、様々な人々がGMのジョン・スミス、そしてトヨタの豊田英二のトップ会談へ向けての準備を進めています。
繊細で難解な舞台を整えていく、歴史上は表舞台に名前を残さない人々の活躍は非常に参考になります。
米国進出に梃子摺っていたトヨタ、そして上手く状況を乗り越えないと本当に会社の危機に直面しかねないGMという、それぞれに苦しい部分を持ちながらの交渉を、上手く纏め上げる為に、様々に動き回っています。
大きな舞台というのは、舞台があって主役が登場すれば成り立つものではない。
そんな事を感じさせられます。
最終判断を二人が下したと言うだけで、本当の交渉は彼らが執念深く続けてきた結果だったのではないでしょうか。


…と、こういった具合で歴史的な大事業の裏にある様々なエピソードを読む事が出来ます。
政治であったり、交渉ごとであったり…。
世界に名だたる企業だけに、一つ一つの事象に感嘆させられました。

ちなみに。
この本に登場しGMとトヨタの合弁会社New United Motor Manufacturing, IncですがGMの破産の際に新生GMからは手放されており、トヨタはこの工場を閉鎖しています。
後日談としてはテスラ・モーターズがこの工場跡を買い取り、トヨタも出資の上で電気自動車の開発に当たると報道されています。(2012年1月現在)




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