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Fujisaki

Author:Fujisaki

基本はシャーロッキアン。
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本の虫、中毒日記
読書感想文、乱発中。
獄門島/横溝正史
きちがいじゃが仕方がない

□ 概要
金田一耕助シリーズとしては第二作目に当たる作品ですが、この二作の間には大きな隔たりがあります。
前作からの期間は6年ほど開いており、その間は戦争に召集されていたのです。
この作品の舞台となる獄門島へ向かう事になったのも、戦地で知り合った鬼頭千万太の為でした。
この戦友は無事に戦争を生き抜きながらも、引き揚げ船の中で息を引き取ってしまったのですが、金田一耕助に自分が戻らないと三人の妹が殺されるという謎めいたメッセージと、ふるさとである獄門島へ手紙を届けて欲しいという願いを伝えていたからというものでした。
作品の中でも復員便りといわれるラジオ番組や、復員詐欺という言葉が登場するなど、時代を感じさせるものになっています。
そして磯貝警部とも再会を果たし、お互いの労をねぎらうシーンもあり、当時を偲ばせる場面になっています。
※ちなみに金田一耕助シリーズ自体は戦中を挟まずに全て戦後に出ています。

□ あらすじ
金田一耕助は戦友の手紙を届けるために獄門島へ向かった。
死んだ鬼頭千万太は、獄門島の漁師の元締めである鬼頭家の本家筋(本鬼頭)の跡継ぎになるはずの男だった。
というのも、彼の父である鬼頭与三松は精神疾患を患い、ほかに男の兄弟もいなかったためである。
彼亡き今、鬼頭家の後を継ぐのは彼の三人の妹か、くしくも金田一耕助が訃報を伝えたその日に復員が知らされた分家である分鬼頭の跡継ぎである鬼頭 一となるはずだった。
金田一耕助は役目を終えると、戦時中の疲れを癒すために島にある寺に世話になっていたのだが、鬼頭千万太の葬儀の途中から一番下の妹である花子が行方不明になっている事が判った。
そして、死んだ鬼頭千万太の予言の通り次々に殺人が起こってしまうのだった…。


□ 現在との規制の違いの中で
この作品の中へ登場する鬼頭千万太と三姉妹の父親である鬼頭与三松は精神疾患を患っています。
彼は作品中でとても重要な役割を果たすのですが、彼の呼称が『きちがい』でした。
この言葉は、現在はマスコミ関連では自主規制が行われている表現です。
なのでテレビなどでも流すのは難しい言葉ですし、こういったブログででも使うのは好ましくない言葉です…が、この言葉は実は事件の全てを解明するとまでは行かないまでも、かなり重要なキーワードになっています。
新しい時代の映像化作品などではこの辺りの表現が改変されているそうです。
金田一耕助の推理をミスリードしてしまいながらも、一連の殺人の背後にあるものを解き明かすヒントであるキーワードですが、時代の変化の中で非常に惜しい事です。
美しくない不適切な言葉になっている事を否定するものでは有りませんが、何とか小説の方の方言はそのまま残していって欲しいと願うのです。

ネタバレ等は続き以降で。



□ 和製・僧正殺人事件
この作品はヴァン=ダインの僧正殺人事件でマザーグースのクックロビン(パタリロ!で登場するあのクックロビン♪です)になぞらえながら殺人が起こったものにインスピレーションを受けた作品です。
そしてマザーグースの代用となるのが和歌で、宝井其角と松尾芭蕉の作品になぞらえて殺人が起こります。
ただマザーグースのようにここの作品に連続性が無い為に、なんと金田一耕助が宿泊していた寺の部屋に屏風として存在しています。
なので、その都合上で積極的には描かれていないものの、犯人からの金田一耕助への挑戦状!といった趣を持つ作品でもあります。
ちなみに、この俳句三作を無理に関係を持たせてなぞらえるという作りは、著者自身余り満足していなかったそうで、後により理想に近い形で再現されたのが『悪魔の手毬唄』でした。

□ 金田一耕助の恋?
獄門島には有名なキャラクターが登場します。
それは鬼頭早苗です。
金田一耕助は島を出る際に、一緒に来ないかとプロポーズとも取れる発言をしています。
残念ながら、死人を沢山出した鬼頭家を立て直すという彼女の信念の為に、この恋は実ることはありませんでしたが…。
ちなみに鬼頭早苗は実は復員せずに死んでいた分鬼頭の跡継ぎだった鬼頭 一の妹です。
この名前から、『金田一少年の事件簿』におけるじっちゃん(金田一耕助)と結婚した女性は鬼頭早苗で、死んだ兄の名前を孫に付けたのではないか?等と推測されています。(ちなみに、鬼頭 一はヒトシ、金田一 一はハジメです)
ただ映像化作品では結構なロマンスになっているものの、原作ではそれほどロマンスめいた雰囲気ではないんですよねー。
そこらへんが金田一耕助らしいといえば、らしいのですが…。

□ きちがい
冒頭でも紹介している、事件のキーワードとなる『きちがい』。
金田一耕助は世話になっていた寺の住職が何かを隠そうとするような素振りをしたこと、そして彼が『きちがいじゃが仕方ない』と言葉を残しています。
『じゃが』は岡山弁で言えば『だが』ですね。岡山弁では~だとか、~だろうなどの『だ』を『じゃ』で発音します。
でも、これは『季違いだが、仕方が無い』という意味で、俳句になぞらえた殺人をしたものの、俳句の季節と異なってしまうのは、仕方ないだろうと言う独白なんですね。
しかし金田一耕助はそうではなく、精神疾患を患い『きちがいさん』などと呼ばれていた鬼頭与三松を疑ってしまう。
この辺りの巧みな手法は、さすが横溝正史さんといった趣ですね。

□ 感想
映像作品の方を先に見ていたのですが、原作の方が読みやすかったです。
金田一耕助シリーズの映像化作品は結構描写がえぐいところがあるので、文字の方が読みやすい(笑)。
鬼頭与三松に容疑が掛かるような方向に持っていきつつ、実は犯人はそれぞれの事件で別など、伝統的なトリックに二重、三重の罠を張ってあるので、意外と読みながら犯人が掴めないので、中盤以降は必死になって読みました♪
個人的には戦後の日本の描き方のリアリティも興味深かったですね。
復員詐欺なんてあった事は知らなかったですし、戦後の日本の混乱期を思わせる、読み応えのある一作です。


テーマ:ミステリ - ジャンル:小説・文学


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