本の虫、中毒日記

読書感想文、乱発中。

About Me

Fujisaki

Author:Fujisaki

基本はシャーロッキアン。
でも雑食の本の虫。資格からマンガまでそこに文字がある限りっ。

紙魚、コナチャタテとはちょっと違う本の虫ですので、駆除はご容赦下さい。

最新入荷記事☆

本棚

カレンダー


07月 | 2017年08月 | 09月
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -


お勧め。


ポストで買取,eBook Off

年代別ブログ図鑑

皆様の感想文

トラックバック

ベストセラー

にほんブログ村 小説ブログ ミステリー・推理小説へ

横溝正史読本/小林信彦・編
金田一シリーズで知られる横溝正史さんと、小林信彦さんの対談集です。
以前はかなり貴重な本だったそうですが、文庫本で手軽に手に入るようになっていたのを知って読んでみました。

横溝正史さんと小林信彦さんのお話はとても楽しそうで、作品には重厚な雰囲気がある横溝正史さんがこんなに明るい調子の方だとは存じ上げなくて、凄く新鮮な驚きでした。
金田一シリーズは母が好きで、本棚から何冊か拝借して読んだ事があるだけなので、僕の知識が足りなかったせいもあるのかもしれませんが、凄く印象が変わりました。
今後、またシリーズを読んでいく際にも違った印象が味わえそうで、楽しみに思っています。

閑話休題。
対談は主に四部に分かれています。

□ 第一部・「新青年」編集長時代から喀血まで
横溝正史さんが新青年と言う雑誌の編集長をされていた時代から、ご病気で倒れられるまでのお話しです。
当時の比較的自由だった出版社のお話しがなかなか面白いです。
勤め人だった筈ですが、本当に自由に楽しめていたようです。
また同じように別の雑誌の編集長をされた方の名前などを見ても有名な作家さんが居られて、当時は出版社勤務~デビューと言う流れがあったのかな?と思いつつ読みました。
僕は知らない冊子の方が多かったのですが、当時の裏舞台のお話なども聞けて面白かったです。
対談の相手をされている小林信彦さん自身も同じような経歴を持たれていて、二人の共通の知人も良く出てくるのですが、僕が不勉強なのか、それとも単に二人の知人であると言う域を出ない人々なのか、知らない名前が多かったのですが、なかなか楽しいエピソードが多くて退屈せずに読めました。
第二部以降でも出てくるのですが、編集者時代を通して海外の作品に数多く触れられているのが印象的でした。
原文のままを読んだりされていたそうで、頭のいい方なんだなぁと感心しきりでした。

□ 第二部・自作を語る
多くの人はこの部分が楽しみで読んでいたのではないでしょうか。
作品が書かれた背景なども出てくるのと同時に、結構あけっぴろげに元ネタの話しが出てきます。
第一部の際にも出てくるのですが、横溝正史さんはクリスティを始めとする海外の作家さんからの影響を強く受けています。
横溝正史さんの凄いところはそれを認めてしまう…というか、自分から話しています。
例えば『本陣殺人事件』のトリックについては『ソア橋』ではなく『エンジェル家の殺人』だとしたり、自身の作品以外でも、『不連続殺人事件』に関しては『ABC殺人事件』の複数化と、『スタイルズの事件』と話して居られたり、懐の深さですよね。
勿論両名ともにただトリックを模倣しただけではなくて、それ以上に難解だったり不可解な形に昇華させているわけですから、それが素晴らしいのです。

ちなみに岡山県で起こった実際の事件をモデルとしたと言われる作品についても、肯定していました。
ただリアルタイムでは報道規制がされていたのか知らなかったそうで、後に警察関係者の方とお会いした際に聞き、写真は別の機会にそういった犯罪事件などの写真を展示したイベントで白黒ながらもかなりリアルなお写真を見られたそうです。

□ 第三部・同世代作家の回想
ここで僕のテンションが一番上がりました(笑)。
僕は日本の古い推理小説も好きなので、横溝正史さんが同世代の作家の回想として挙げた名前は非常にヒットしました。
最近の作家さんのエッセイなどを読んだことがないのですが、作家さんの横のつながりと言うのも面白いですね。
横溝正史さんが特別にお付き合いの広い方だったのかは判りませんが、良くお話しもされているし、詳しいです。
江戸川乱歩さんとの交流の深さは、倉敷市にある疎開地へ訪れたこともあって知っていましたが、例えば小栗虫太郎さんとのご関係や、甲賀三郎さん、木下宇陀児さん、坂口安吾さん、海野十三さん、翻訳で著名な延原 謙さんなども登場。
小酒井不木さんに関しては、お亡くなりになった事情に関連している(勿論笑い話として)とも話されていました。
夢野久作さんの『ドグラ・マグラ』も読んでいたそうで、なんと対談の前に読み返していて、感想は『真夜中に気が変になっちゃってね』でした。書庫にあったガラスを割ってしまい、自殺しようとしてしまったとか。
ドグラ・マグラ…さすがの破壊力ですね!
交友の広さも勿論ですが、とにかく詳しい。
話の節々に全集が出ているとか、送られてきて読んだ…とか、この人は本当に推理小説が好きなんだなと感じました。

□ 第四部・クリスティーの死と英米の作家たち
対談の前日(1976年1月12日)にアガサ・クリスティーさんがお亡くなりになったと言うことで、追悼のような対談になっています。
クリスティのファンの方にも興味深い内容ではないでしょうか。
カーテンという作品を持ってポアロを死なせるわけですが、その辺りに対する考察であったり、作品群へ対する話であったり…。
素直に尊敬していることが良く伝わってくる対談です。
ところで横溝正史さんも病院坂の首縊りの家事件で、金田一耕介シリーズに一応の幕引きをしています。
これはもしかしてクリスティのカーテンの手法(クリスティはカーテンという作品を持ってポアロを引退、逝去させた)を模倣したのかな、なんて思うのです。
ただ金田一シリーズには横溝正史さんの死去に伴って消えた構想のみの作品も存在するので、本当のところは闇の中になってしまいましたね。

□ その他
元々の作品には横溝正史さんの日記がついていたそうですが、文庫版では割愛されています。
対談以外で収録されているのは、横溝正史さんの手による推理小説などに関するエッセイ、そして本陣殺人事件へ対する江戸川乱歩さんの書評と、蝶々殺人事件に対する坂口安吾さんの書評、そして2007年までが追加された詳細な年表です。
あとがきは当時のままの小林信彦さんのものがそのまま掲載され、追加の解説は権田萬治さんが書いています。

横溝正史さんご自身の事は勿論、横溝さんが活躍された当時の推理小説やそれに関わる人々の歴史自体を読める、非常に読み応えのある作品でした。
横溝正史さんのファンは勿論、当時の作品群が好きな方にもお勧めしたい、貴重な一冊です。
今の内にゲットしておかないと、また高騰し始めるんじゃないですか、これ(笑)。




もしお役に立てましたら、クリックして下さい。喜びます、きっと。












管理者にだけ表示を許可する


トラックバックURL:

ブログ内検索

amazonさんで探す

本の虫を管理する!

copyright 2007 本の虫、中毒日記 all rights reserved. powered by FC2ブログ.