本の虫、中毒日記

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Fujisaki

Author:Fujisaki

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覆面の下宿人/シャーロック・ホームズの事件簿
あなたの命は、あなた一人のものではありませんよ。それをおもちゃにすることは許されません

ホームズシリーズの中でも異色な作品、『覆面の下宿人』。
ワトソンが言うところの『彼にはほとんど個人的な出番が無かった事件』なのです。

ホームズの下を訪れた依頼人から聞かされたのは、依頼人のところへ下宿している一人の女性の話だった。
依頼人をしてもって『人の顔ではない』と言われる風貌の彼女は、うっかり見せた一度きり以外は全く顔のヴェールをはずそうとしなかった。
しかし下宿人としては支払いも含めておても優良だったのだが、夜中になると急に人殺しや人でなしといった言葉で騒ぎ出すという。
何か心に病んでいることがあるようで、しかしその相談相手は警察でも牧師でもだめだという。
そこで選ばれたのがホームズだったのである。
彼女は依頼人にホームズを呼んできて欲しいと懇願した。
そして彼女はもし断られたら『猛獣ショーのロンダーの妻』と伝えるように口ぞえしていた。
それはかつてホームズが依頼こそされなかったものの興味を持っていた、猛獣にまつわる凄惨な事件の被害者の名前だったのである…。


この作品、ホームズは事件パートを回想するのみの役割です。
いつも餌を与えていたライオンに攻撃され、夫は死に、妻は顔に食いつかれて大怪我を負ってしまった。
何故ライオンが檻から出ていたのか、生き残っていた妻が当時うわごとのように繰り返していた『卑怯者』という言葉の真相は…?

ネタバレ等は続き以降で。



独白を聞かされているような作品なんですね。
ホームズシリーズには長編に緋色の研究、恐怖の谷などの二部構成の作品が存在しますが、第二部のみを切り取って持ってきたような感じです。

そもそもは不倫相手と共に強暴だった夫を殺害した責任をライオンに擦り付けるはずの計画でした。
しかし血のにおいに興奮したのか、ライオンは妻に襲い掛かってしまう。
共犯だった不倫相手はそれにおびえて逃げてしまいます。

…という真相を覆面の下宿人が淡々と語るのがこの作品です。
もちろん推理小説として成り立たせる為に、ホームズはライオンの事件について興味を持っていても答えは持っていませんでした。
その上で不可解な点をいくつか指摘しており、当事者がその穴埋めをしていくので、推理というパートは存在しないものの、事件を解決する点についての楽しみは残されています。
ライオンに責任を擦り付ける為の手口、そして死んでいたであろう夫としか思えない謎の悲鳴。

ただ、なんだろう。
推理が無いというのは、退屈なものなんだなーと思ってしまいましt。

ところでこの事件の冒頭で、ワトソンはホームズの事件簿を盗み出そうとした人物を指摘しています。
これはドイルにそういった出来事があったわけではなさそうなので、おそらくホームズの実在にリアリティを持たせる為の演出だったのではないかと思います。
ホームズの引退後、一人称、そしてこの事件のような独白形式…。
シャーロック・ホームズの事件簿というのは最後の作品集でありながら、様々なことへ挑戦しています。
マンネリ打破を目指していたのか、それとも最後の挨拶できちんと決着をつけたから、従来のホームズの形へこだわらずに書いたのか…。
真相は判りませんが、犯人による犯罪の告白というのは、当時としてはなかなか斬新だったのではないでしょうか。

また、珍しくホームズの感情豊かな言葉が聴ける作品です。
女性が真相を話してから自殺をしようとしていることに気付いたホームズは冒頭のせりふを口にして、続けてこう語りかけます。

例えば、辛抱強く苦しみに耐えている人が、ここに一人いるとなれば、辛抱の足りない世間には、またとない教訓になりはしませんか?




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