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Fujisaki

Author:Fujisaki

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本の虫、中毒日記
読書感想文、乱発中。
ソア橋の怪事件-The Problem of Thor Bridge-/シャーロック・ホームズの事件簿
真実ですよ

この物語で一番特筆すべきは、後のパスティッシュ作品を生み出す原動力となったワトソンの『ブリキ製文書箱』の存在なのではないでしょうか。
ワトソンが記録した事件の中で、事件の関係者の都合で発表できないものや、解答らしい解答が導き出されなかった事件など、発表することが出来なかった記録が詰め込まれているものです。

チャリング・クロスにあるコックス銀行の金庫室に『医学博士ジョン・H・ワトソン』という名前をペンキで書いた状態で収められているというこの箱から見つかったという設定で発表された贋作ホームズの作品は数多く存在します。

ホームズのパスティッシュ、パロディというのは早い段階から行われていたと聞きますが、まさかドイル自身がその後の展開を予想していたのでしょうか?

閑話休題。


金山王のニール・ギブスンの妻が非業の死を遂げた。
そしてその容疑者として睨まれていたのは、彼の家に家庭教師の仕事できている女性だった。
死体には彼女と待ち合わせる旨を書いた手紙、そして部屋からは妻を殺したのと同じ拳銃が見つかった。
しかし依頼人であるニール・ギブスンは彼女は無実であると主張しているのだった…。
また依頼人に先立ってホームズの元を訪れた屋敷の管理人によると、既に依頼人の気持ちは妻に無く、残忍とも言える仕打ちをしていたという。
そして彼の気持ちが向けられているのは、まさに容疑を向けられている家庭教師の女性その人だったのである。



この事件の依頼が舞い込んだとき、ワトソンはホームズの様子からそのことを言い当ててみせます。
ホームズは嬉しそうに『推理能力というのは、どうやら伝染するらしいね』と答えて見せるのですが、ワトソン曰く普段より明るく上機嫌で快活な様子が『薄気味悪いものさえあった』くらいだったそうです。

ホームズ、どれだけ嬉しかったんだよ!
っていうか、ワトソンも親友というなら薄気味悪いは駄目でしょうっ。

また、ホームズが食事に関してコメントをしている風景も見られます。
新しく来たという料理人の女性が作ったゆで卵の茹で加減について、ホールのテーブルで見かけたという雑誌に掲載されているラブ・ロマンスとの因果関係を推理しつつコメントしています。
また、依頼人が全てを語ろうとしない際には『朝食の直後は、ちょっとした議論をするだけでも、消化には宜しくない』という挑発的な言葉で、依頼人へ対して全てを話すか依頼を取り下げるかの選択を求めています。

なんだかホームズにしては珍しく、食事関係の発言が目立つ作品でした。

ネタバレ等は続き以降で。



後期の作品としては久し振りに面白いトリックです。

銃で撃たれて死んだ死体、そしてその場に凶器が無い。
この二つから殺人と思われていた事件ですが、重石をつけた拳銃で自分を撃ち、死後に拳銃が喪失するように仕向けた、妻の策略だったのですね。
このトリックは金田一耕助の本陣殺人事件でも使われています。
そして夫の愛情を奪い去った憎い女の部屋へ、自分が自殺に使ったのと同じ型の拳銃を忍ばせておいた。

でもこんな奇抜な作品でも本格なんですよね。
きちんと作品中に橋に残された傷(自分を撃った拳銃が川へ飛び込むようにした際に、橋に激突した)、そして『弾は至近距離から発射された』、傷口は『こめかみのすぐ後ろ』という自殺をほのめかすキーワードが登場しています。
正直、僕はシャーロック・ホームズの事件簿は、ドイルにとってはマンネリ化が進んでいた作品というイメージが強いのですが、ソア橋の事件については、初期の作品にも劣らない鮮烈な出来栄えだと思います。

ところでこのトリックを明かす際に、ホームズはワトソンの銃を使おうと思い立ったのか、移動中の汽車の中でワトソンに銃を持っているかどうかを聞き出します。
ワトソンはホームズが事件に熱中し始めると身の安全を省みなくなってしまうから、その為に持ち歩いているんだという事を伝えたところ、『うん、うん、そうだね。そういうことになると、ぼくは少々うっかり屋なんだ。』と、妙に可愛らしい反応をして見せます。
そして首尾よく拳銃を手に入れたホームズは、ワトソンに許可を求める事無く事件を再現して見せ、ワトソンの拳銃を川底へ水没させます
文面によると、小さいながらもしっかりした拳銃のようなのですが、まさかまさかの水没です。
そして悪びれる事無くホームズは言い放つのです。
見たまえ、ワトソン!君の拳銃が難問を解決してくれたぞ!
そして、ホームズは落とした拳銃を自ら拾い上げることも無く、『今夜は村の宿屋に泊まります』と、立ち去ってしまうのだった…。

なんだか、純真で忠実なワトソンが可哀想になる事件でしたとさ。

テーマ:ミステリ - ジャンル:小説・文学


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