本の虫、中毒日記

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Fujisaki

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ガリデブが三人/シャーロック・ホームズの事件簿
この作品を始めて読んだとき、タイトルからガリとデブが三人ずつ出てくるのかと思っていました。
今でもこの作品を読むたびにその頃の無邪気な自分が思い出されます。

閑話休題。
ワトソン自身が『喜劇だったとも言える』と語っているとおり、少し風変わりな事件です。
トリックとしては『赤毛トリック』の範疇に入るものなのではないでしょうか。

ホームズの下へ風変わりな依頼が舞い込んできた。
ガリデブという名前の人物を見つけるとね、金になるんだとさ
ある財産家が残した遺産を相続する条件…それはガリデブという名前の人物(男性限定)を三人揃える事だった。
依頼主はその話を持ち込まれた二番目のガリデブで、最初のガリデブも既に自身の仕事を休業状態にしてアメリカからイギリスへと訪れていた。
依頼主はそこで顔の広いであろうホームズに頼ってきたというのだった…。
しかしこの話は自然と終わってしまう。
最初のガリデブが第三のガリデブを見つけ出してきたのである。
そこで二番目のガリデブが三人目のところを訪れて全ては完結する筈だった…。


この作品の冒頭で、ホームズがナイトの爵を辞去している描写があります。
実は著者であるドイル自身は、戦争の記録を残した功績でナイトの爵を受けています。
意外とホームズという国民的な作品を作った事への功績だと思われている節もあるみたいですね。
この描写はもしかして、『ホームズのお陰でナイトもらったんじゃないけんねっ!』という意思表示なのかも?なんて邪推したりしました。

戦争の話題が出てきたり、ホームズが電話で話している様子が描かれていたりと、時代の変化に気づかされる作品ですね。

ネタバレ等は続き以降で。



この作品の主たるトリックは赤毛トリックのようなものだと思います。
赤毛組合のトリックも、トンネルを秘密裏に掘るために家主を家の外へ出すために、その人物にぴったりと当てはまる偶然を作り出してしまうというものでしたが、この作品も同様です。
赤毛組合における赤毛の人間を手厚く保護する団体というのが、この作品で言うところの『ガリデブ』という姓なんですね。
なので作品自体はとても面白いものですが、トリックとしては真新しい部分は余り見られません。
ただ一点、イギリスとアメリカの違いという点が加えられています。
言語や衣服などの点から、イギリスへ最近になって来たばかりのアメリカ人という嘘を見抜いています。
シリーズが後半に進むに連れてアメリカ人の登場する機会が増えてきたのは、戦争を経てアメリカがどんどんと強大化してきている影響なのかもしれません。

さて、この作品でワトソンは負傷をしてしまいます。
犯人からの銃撃を受けてしまったもので、銃弾がかすった程度の傷だったようですが、ホームズは非常に慌てふためいてしまいます。
まず銃撃をした犯人の顔面を拳銃で鮮血で染まるほど殴りつけてノックダウンさせてしまいます。
挙句に『(ワトソンに何かがあったら)お前は生きてこの部屋からは出られなかったところだ』と威嚇しています。
怖いなー、ホームズ。こんなに感情的なホームズの描写は始めてだったのではないでしょうか。
ちなみにワトソンに対しては『後生だ、大した怪我じゃないといってくれ!』と接しており、このときの反応を見たワトソンは、動揺して心配するホームズの様子を見て『多年にわたる私のささやかな、だがひたむきな奉仕の全ては、まさしくこの啓示の一瞬の為に積み重ねられてきたのである』と、銃撃されて寧ろ嬉しそうな様子を見せています。
ちなみにワトソンにとってここまで人間的で友情を持って接してくれるホームズを見たのは初めてだったようで、『このとき一度だけ、私は偉大な頭脳のみならず、偉大な心の存在をも垣間見たのだ』と語っています。
嬉しかったんだろうなぁ、ワトソン。
なんだか、泣けてきた。(ワトソンが余りにも哀れで)

余談ですが、この作品では結局誰も得をしていません。
裁判の結果に関しては余り詳しく語られていないのですが、犯人の罪自体はそれほど重たくないようですし、ワトソンが怪我をしてしまったホームズも、依頼主からの報酬が入りそうな雰囲気でもないですし、何よりも依頼主は落胆のあまり、余生は老人ホームに入って過ごしたそうです。
…って、この時代からそういった施設が整っていたんですね。




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