本の虫、中毒日記

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Fujisaki

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基本はシャーロッキアン。
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サセックスの吸血鬼/シャーロック・ホームズの事件簿
当機関は、しっかりと地に足をつけて立ってるんであって、また今後もそうでなくちゃならない

コナン・ドイルは晩年、戦争で無くなった息子への慕情から、超科学的な世界への関心を強めていったといわれていますが、そんなドイルがホームズの後期に与えた『吸血鬼』へ関する事件です。

ホームズへモリソン・モリソン&ドット法律事務所というところから仕事の依頼が舞い込んできた。
その会社の顧客からの相談ですが、その事件は吸血鬼に関するもので、『この種の問題は専門外』として投げています。
ちなみにこの会社は機械類の評価・査定を行うのが主たる仕事だったようで、依頼をされたというわけではなくて、相談をされたが判らないからそちらを紹介しましたよというものだったようです。
グリム童話の世界のようだといいながら、吸血鬼に関して調べていたホームズですが、最終的に吸血鬼というものの詳細を調べて『くずだよ、ワトソン!』といい、その設定(殺すのに杭を心臓に打ち付けるなど)を見て『呆れて物も言えない。狂気の沙汰としか言い様が無いね』でした。
ちょっとファンは安心しますよね、ホームズはいつだって科学的だった…!!
そしてホームズはこう続けます。
世の中は広いんだ。幽霊まで相手にしちゃいられないよ

しかし依頼人から届いた手紙は、やはり吸血鬼の存在を思わせるものだった。
依頼人は先妻との間に出来た障害のある息子、そして新しく迎えた妻との間に出来た赤子がいる家庭だった。
この先妻が自分の赤子の首に食いつき、血を吸っている姿が目撃されたという。
更には先妻との間に出来た息子にまで暴力を振るっていたのだった…。
妻に事情を聞いても答えようとせず、更には夫と会うことさえ拒否するようになってしまった。
依頼人は自分の妻が吸血鬼だったのではないかと、混乱しきっているのであった…。


後にはコティングリー妖精事件で自らのキャリアに瑕をつけてしまうことになるドイルですが、この事件ではしっかりと吸血鬼の謎を解いてみせています。
またこの作品では二つ、ホームズの癖が登場します。
まず一つは笑い方です。
依頼の手紙を読みながら『乾いたくすくす笑い』を漏らすのですが、ワトソンによるとこれはホームズにとって『いちばん声を立てて笑うのに近い』んだそうです。
要するに「あっはっは」な状態だったわけですね。
依頼の手紙は、ホームズにとって、今の言葉なら『ツボった』状態ですね。
もう一つは知ったかぶりです。
ホームズはランバリーという知識についてよく知らなかったようで、ワトソンに教えてもらっていたくせに、最後には『その通りだ』と、いきなり流れをぶった切りにする返答をしてみせます。
ワトソン曰く『彼独特の自尊心と負けず嫌いの性格からくる傾向』で、教えてくれた相手に感謝したりはしないそうなのです。
ちょっと嫌なヤツですね。

ネタバレ等は続き以降で。


先入観による事件ですね。
人が赤子の首に食いついている=危害を加えている、という。
そんな風景を見れば誰でもそう思いますよね。

しかし、真相は逆でした。
犯人によって与えられた毒を吸い出すための行為だった…。

犯人が先妻との間に生まれた長男というのも、少し驚きの展開ですね。
この作品はまさにホームズとしては最後期に位置する作品ですが、犯人に子供が選ばれるという辺り、初期の作品の雰囲気と並べて、時代の変化を感じてみたりするのです。
母親と幼くして別れ、障害の残る少年にとって父親への異常な愛情が仇となった事件です。

その異常な愛情がきっかけとなり、異母弟の命を狙うようになり、後妻は耐え切れずに先妻との息子に暴力を振るうことになった。しかし、その事実は息子ほどではないものの、わが子を大切に思う夫には言い出せずにいた…。
ちょっと家庭問題が浮上する辺り、時代を感じる作品でした。

ホームズの事件への関与は、その息子を精神的な鍛錬の為に『一年ほど海へでもおやりになること』というアドバイスまででした。
後日談として元々の紹介主へ宛てた(珍しいらしい)ホームズの手紙によって、無事に解決した事が知らされています。




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