本の虫、中毒日記

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Fujisaki

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無人島に生きる十六人/須川邦彦
先日、十五少年漂流記を読んだ後に紹介していただいた本が、この『無人島に生きる十六人』でした。
前者がフィクションによる作品であるのに対し、本作はノンフィクションです。
著者の教官であった中川倉吉さんが実際に漂流した際のエピソードを纏めて本にしたのがこの一冊です。
本の冒頭では中川倉吉さんが当時を懐かしみながら言葉を寄せておられるのも、『あぁ、本当にあったことなんだなぁ』という重みを感じさせてくれます。

今回はフィクションである十五少年漂流記との比較も交えながら読んでみました。

まず、島の規模を考えると十五少年漂流記のそこそこ大きな島との差は歴然としています。
表紙の次のページへ島の地図が掲載されているのですが、凹凸にも乏しい小さな島なので、川なども無く、飲み水は井戸を掘って採取するしかないのですが、その井戸も掘りすぎると塩水が出てくるので浅く掘ることしか出来ず、この事は長く十六人の腹の具合を崩し、病人を出してしまうという結果に繋がりました。

十五少年漂流記では少年たちの統率がなかなか取れないという設定の下、そこから少年同士の友情物語のような展開を見せていくのですが、この本へ登場する『十六人』は、元々それなりの覚悟を持った上で船を出していた漁師達(冬の間は船が出せなくなる地域の漁師で、冬の間だけ南方で新たな漁場を開発しようと出発していたメンバーたちです)で、船長をトップに年功序列など、きちんと立場が定まっています。
そして島へ移動してからもそれは崩れることなく動いています。
明治時代の日本人の感覚がそういうものだったのか、それともこの船に乗っていた方々が特別にきちんとしていた方だったのかは判りませんが、全員が統制の取れた動きをとったこと、そしてプロフェッショナルが揃っていたことなど、読んでいる側へ無人島での暮らしの苦慮を伝えないほど、しっかりとした生活を送っています。
統制の大切さを知り、良くも悪くも個人主義が進んだ現在の日本人には出来ない事だと思います。

食事に関しては、十五少年たちがたどり着いた島は豊富に食べ物があったわけですが、十六人がたどり着いた島は、本当に小さな島で草の根っこをわさび代わりに、自分たちで獲った魚や亀や、島へ大量に産み落とされる鳥の卵のみが主食で、途中から草ブドウと呼ばれる果実が登場するのみでした。
その草ブドウも動物が食べても問題が無いのを何度も試した末に食べています。
海の事に関してはプロで、網などで大量の魚を確保するなど安定していましたが、なかなか陸地の事となると同じようには行かなかったのでしょう。
ノンフィクションのエピソードを読むと、逆に十五少年の出来すぎな部分が目立ってしまいますね。

しかし逆に…という部分もあります。
十六人はアザラシとの交友をとても上手く深めています。
嘘か本当か本についていた地図では、アザラシを抱きしめているようなイラストまであるのですから…!
こちらの方が十五少年に登場しそうなエピソードですよね。

そして最終的には幸運にも日本の船に発見され無事生還…なのですが、この辺りも意外と淡白な感じで、最後はちょっとドラマティックな展開で終わらせた十五少年との違いは大きいですね。
でもどちらが面白かったといわれると、読み物としては全体的に淡白なしあがりなのですが、やっぱり十六人の方が良かったです。
頭のどこかでフィクションとノンフィクションを仕切っていたのと、生々しく生活感のある描写がなされていたためでしょうか。
しかしどちらも、気持ちのどこかで「こういう暮らしもいいよなぁ」なんて思わせる魅力があるのは間違いありません。



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