本の虫、中毒日記

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Fujisaki

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ケータイを持ったサル/正高信男
凄いタイトルだな…と思って気になっていた本を読んでみました。

まずタイトルから説明すると、『ケータイを持ったサル』というのは、著者が実験を通してサルに携帯電話の操作を教え込みました!という意味ではなく、『ケータイを持った』のは当然人間のことであり、『サル』というのは、現代はびこりつつあるコミュニケーション能力などの水準を差した比ゆ的な表現です。

社会交流やコミュニケーションのあり方に関して、霊長類のコミュニケーションなどを研究されている著者が、携帯電話のような機器の登場が人間のそうした活動を退化させ、サルに近づけているのではないかとの仮説を解説した本です。
携帯電話の登場と霊長類の原始的なコミュニケーションを繋げて考えていく発想はなかなか面白く、やはり人間と言うのはサルから進化したものなんだなと納得させられます。
それは遺伝子単位にコミュニケーションとはこういうもの…という事が刻まれているのでしょうか。

それはさておき。
この本は若者文化が余り好きではない著者の仮説に基づく風刺の効いた話だと割り切って読んだほうが良いのかもしれません。
まず結論として、若者の文化、コミュニケーション能力はサルに近づいているに違いないといったものがあり、そこに若者文化を当てはめていきながら実証していく…ような、そんな部分が所々に見られます。

まず著書の中で大きなポイントとなるルーズソックス=家の中感覚という考え方があります。
ルーズソックスは靴を履いているという感覚を希薄にさせる効果があり、それは『私的空間から公共の場に出る事の拒否』であり、その事が地べたに座ったり、電車内で化粧をしたりと言う行為に繋がっていること、そしてその原因として家庭内での子供中心主義であったり、母親が物を豊富に与えることで心を繋ぎとめるという行為に走らせていることで子供の自立した考えを持つことの阻害に繋がっている…といった問題へと話題がつながって生きます。

しかしそのそもそもの成り立ちが、
・渋谷でカウントした人の内、靴の踵を潰して履いていた人の98%がルーズソックス
(靴の踵を潰して歩くのはスリッパ感覚であり、家のなか主義へと繋がっている)
・ルーズソックスを履くと靴を履いているのが判らなくなるのは著者の感想
…となっています。
なんと、正高さんは実際にルーズソックスを履いて試したそうです
その資料が実に欲しかったです。

その上で言葉の乱れを説明するときに『すでに書いたように、ルーズソックスは、靴の踵を踏みつぶして「べた靴」にして歩くことや、平気で地べたに座ることや、屋外で平然とものを食べることとリンクしているのだ』としているので、根本にあるものが本当に確かなのかどうかという点に疑問符が浮かんだまま全体が進められていることは否めません。
対比実験でも、携帯電話を持っていない25名と、なんと300人以上のメル友がいる25名で行われています。この二者は両極端すぎて行動パターンが違っても全く不思議ではないのではないでしょうか。
等等、本当に実証されているのだろうかと思わされる部分が多少見られます。
せめてルーズソックスを履いている人の98%が踵を潰しているのであれば、説得力があると思うのですが…。

僕は基本的にブログで本の悪口は書かないことを自分の中の約束事にしています。しかしブログの趣旨に反して否定的な感想を書くのには一つ、理由があります。

この本でそうした若者を生み出す家庭的な要因として40代主婦層が挙げられます。
40代で専業主婦…という方は、子供が思春期でコミュニケーションのとり方が難しい時期に、社会的な賢さを一番失いつつある時期に差し掛かってしまうそうです。その為に物を(子供の必要以上に)豊富に買い与えることで気持ちを繋ぎとめようとし、その事が自立できない子供を生み出すというものでした。

この本を見てショックを受けた方がおられれば、そんなに気にしなくても良いと思うし、きっとこの本は著者の風刺を利かせたブラックジョークなんだろうなと思います。
そういう立場で読んでみると、普段は見ていて余り気持ちの良くない若者たちの所作も微笑ましく見えてきます。
そしてもちろんそうした若者文化を容認してしまったり、生んでしまった社会や家庭の環境に問題があるのも事実だと思いますし、この本の中でもそうした部分への言及があります。

ある程度割り切って読めば、なかなか面白い作品に仕上がっていると思いました。



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