本の虫、中毒日記

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Fujisaki

Author:Fujisaki

基本はシャーロッキアン。
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死国/坂東眞砂子
少し前にとある事件で妙な脚光を浴びる形になった映画、『死国』。
あの頃は話題性だけで内容の特殊な部分ばかりピックアップして紹介されていたので、今更ながらなのですが原作を読んでみました。
田舎にありがちな伝聞などが本当だったら…?
ちょっと背筋が冷えるような物語です。

□ あらすじ
主人公のイラストレーターの女性は、高知の僻地にある故郷の矢狗村へ戻っていた。
一家で故郷を離れて以降、実家の家は人に貸していたが、今回その借り主の退去が決まり、家の状態を確認して処分するかどうかを決めるための行程であり、また東京での暮らしから離れるための時間をとるための行程でもあった。
彼女はそこで久しぶりに会う近所の人々、同級生たちと旧友を深めることになるのだが、残念なことに彼女が一番の親友だと思っていた少女は中学生の頃に事故死をしていたことが判った。
主人公は田舎での暮らしの中、かつて憧れた青年との再会を果たし、仄かな恋心を抱くのだが、そこにはかつて同じく青年に恋をしていた死んだ少女の影がちらついていた。
それは、そう―。
比喩の意味ではなく、本当の意味で、死んだはずの少女の影がちらついていたのだった。


□ 田舎の信仰
僕もこの作品の舞台になっているところほどではないにせよ、それなりに田舎の出身なので子供の頃に、地域の長老のような方から出入りしない方が言いといわれたような場所があったり、超科学的な信仰めいたものがあったりというのは何となく判ります。
この本が目指すのは、それが本当だったら?という事でしょうか。
物語の中では逆打ちという習慣が出てきます。
逆打ちとは四国八十八箇所の巡礼を本来のルートとは逆に回ることで、ルート通りに回る(逆打ちに対して順打ちと呼ぶことも)際よりも厳しい道のりになることから多大なご利益があるといわれています。また今尚弘法大師が巡礼を続けていると信じている人たちからは逆から回っていけば弘法大師に会うことができるともいわれています。
しかし今回はその意味ではなく、死んだ人を生き返らせようと願ってその人の年齢分逆打ちを行えば死者がよみがえるというおまじないとして登場します。


ネタバレ等は続き以降で。


□ さぁみんな蘇れ!
映画との最大の違いとして、原作では逆打ちの余波で蘇る人がいます。
映像化の際には蘇るのは、死んだ友人の母の願っていた娘だけなのですが、直前に死んだ父親や、無縁の男性やらと、なんだかゾロゾロ生き返っています
っていうか、四国を死国にとか、やけに大きな話になっていたりします。
映画作品を先に見ていた為かもしれませんが、なんだか飛躍しすぎというか、率直に生き返りすぎだろうと思いました。
映画では友人だけが生き返るという設定で、シンプルだったんですよね。

□ 田舎独特の人間関係
時代設定としては『現在』ではないものの、この作品には確かにかつて田舎にありがちだった人間関係が根付いています。ただ伝承などの部分も含めて少し古めかしいきらいがあるのは否定できません。
作品中においては完全に脇役となるシゲという女性の恋愛物語や、東京への憧れや不倫など…。
昔の田舎にあったその雰囲気がよく残されています。
都会暮らしの方にとってはそういう雰囲気が異世界的に見えて面白いのかも知れません。
色々な意味で生々しい作品だと思います。

□ 感想
昔はよくホラー作品も読んでいたのですが、いつの頃からか無味乾燥というか、現実主義になってしまったのか余り怖さを楽しみながら読むということができなくなっています。
今回久しぶりにホラーといえる作品を読んでみたものの、余り症状は改善されていなかったのか、結局のところこの作品が怖い作品なのかどうかは判断つきかねました。
後半に行くにつれて問題が一人の少女が生き返るかどうかから、四国が死国になるかどうかという大きな問題に変わって行ってしまうので、作品の展開を早く追いたくって…と焦って読んでいると急に話が大きくなっている!?と驚いてしまう人もいそうです。

僕はやっぱり映画の刷り込みが強いのでしょうか…。
映画の方がすんなりして思えるのです。ラストシーンを要約するとこんな感じ。
・映画
生き返るのは一人、主人公が恋した青年の死は女の子を成仏させるため
・原作
色々と生き返り、主人公が恋した青年は全てが終わったのに女の子に連れられ死んでしまう。

結局のところ、なんだかんだあったけど三角関係で主人公の負けだった…ということでしょうか。
最後の最後で三人の人間が死んでしまうわけなのですが、内二人が死ぬ描写をする理由が判らなかったです。
僕の読解力不足なのか、作品のテーマがつかめなかったようです。
また時間を置いて再挑戦したいと思います。




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