本の虫、中毒日記

読書感想文、乱発中。

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Fujisaki

Author:Fujisaki

基本はシャーロッキアン。
でも雑食の本の虫。資格からマンガまでそこに文字がある限りっ。

紙魚、コナチャタテとはちょっと違う本の虫ですので、駆除はご容赦下さい。

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魚返一真写真集『プラットホーム』
女の子がホームに立つ時、彼女たちの周囲が少し華やいで見えることがある

駅好きな少年だったと自称する魚返一真さんの駅に居る女性に注目した写真集です。

判る、凄く判る。

マジで。
駅に居る女の子にときめかない男子なんて男じゃない。
ミラーマンとかそういう意味じゃなくって。
駅に居る女性の、少し時間を気にした仕草が愛しい。
仕事帰りのOLさんの少し崩れた表情が愛しい。

まーじーでー。
最高なんです、僕は魚返一真さんの味方です

魚返一真(読み方はおがえり かずま)さんといえば素人モデルさんを中心に、独特のフェチズムのような、女の子が普段と少し違って見えるような空間を追求した写真を撮影される方です。
この一冊は僕が珍しく共鳴した写真集で、駅のホームにたたずむ女性の姿を撮影したものです。
上では少し取り乱しましたが、駅で出会う女性は街角で見かけるのとはまた少し違った雰囲気があります。
いつも出会う少女とはお互いの姿を見て日常を再確認するような存在だし、同じように参考書を開きながら電車に乗り込む少女は、戦友だ。
同じ目的地へ向かう好みの女性は運命を感じさせるし、ちょっと疲れた表情のOLさんは守ってあげたいような衝動に駆られる。ホームというのは実に興味深い感情を抱かせる場所だ。

僕は社会人になって電車は使わなくなってしまったが、この本を眺めながらときめきに溢れた自らの通学を思い出したものです。電車で通勤/通学をした人には、ぜひ目を通していただきたい一冊です。

今回は電子書籍で楽しく拝読しました。




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勘平の死(半七捕物帳3)/岡本綺堂
岡本綺堂さんの書く半七捕物帳は時代小説としては読みやすい感じを受けます。
それは基本的な設定として、明治に育った主人公に対して年老いた半七老人が自分の若かりし頃の事件を話して聞かせるというところに起因するのかもしれません。

しかしそんな半七捕物帳もやはり舞台は江戸時代。
この『勘平の死』のように、時代柄を感じさせる結末に至る作品もあります。

舞台は京橋の和泉屋。
この家のものは皆が芝居好きで、年末になると自分達が主催をして素人芝居を開催していた。
しかしこの年、その楽しいはずの舞台はとんでもない悲劇の舞台となってしまう。
忠臣蔵を演目の中で、早野勘平(萱野重実をモデルとする仮名手本忠臣蔵の登場人物。仇討ちをしたいという忠義の心と、仕官を勧めてくれた父親の気持ちに板ばさみになり、討ち入り前に切腹をして果てた赤穂浪士のメンバー)を演じていた和泉屋の若旦那は見せ場の切腹へ差し掛かった。
そこで力いっぱい自らの腹を割く演技をするはずだったのだが、鞘の中に本物の刀が仕込まれていたが為に、まさに萱野重実と同様に死に果ててしまったのである。

さて、半七はこの事件の捜査の依頼を受けるのだった…。

少し補足をすると、江戸時代はまだまだ忠臣蔵がおおっぴらに演じられていたわけではなく、あくまでも実在の話に似た物語である『仮名手本忠臣蔵』として演じられていました。登場人物の名前をもじったり、当時の人々の好きそうなエピソードを織り込んだりして作られた作品です。
ちなみに現在伝わる忠臣蔵にも史実とは異なる、仮名手本忠臣蔵で盛り込まれたエピソードが残されていたりもします。
娯楽が少ない時代だけにこうした芝居は好まれ、この和泉屋の素人芝居でも『女の白粉や油の匂いが咽(む)せるようによどんでいた』との事。
あー、あー、いつの時代でも変わらないのね。はい。

ネタバレ等は続き以降で。
続きを読む…


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リアル鬼ごっこ
独特の文体やありえないような世界観で注目を集めた山田悠介さんのデビュー作、『リアル鬼ごっこ』。
文体が独特すぎてちょっと読みづらい部分もあったので映画とあわせて戴きました。
ちなみに後から出版された幻冬舎文庫の方は文体がすっきりさせられているので、どちらを取るのかは好みで判断してみてください。

国家の独裁者となった『王』。
彼は自分の苗字と同じである佐藤という苗字が多すぎると感じていた。
そして或る日、全国の佐藤という苗字を捕獲して殺してしまう事を決めた。
舞台となる時代において全ての人間は生まれると、管理の目的で体内へマイクロチップを埋め込まれる。
その中から佐藤のチップのみを抽出する佐藤探知ゴーグルを持った鬼が追いかけていくという、命がけのゲームの始まりだった…。

設定のみを見れば突拍子も無い設定だなぁと思うものの、でも確かに僕の友人の佐藤や鈴木といった苗字の方の中にはその多さに多少辟易とした部分を持っているのも事実のようで、どことなく人のありふれた感情を増幅させて、もしかしたら一部の佐藤さんは冗談半分に思い描いた事のあるような世界観なのかもしれません。
突飛な…と思うのではなく、身近な感情として読んでみても面白いかもしれません。

さて映画と一緒に見たのですが、意外と内容は違います。
原作は西暦3000年で、映画はパラレルワールドとする事で王様を存在させています。
個人的にはいきなり西暦3000年だから王様が居ます…という感じよりは、映画のパラレルワールドへ迷い込んでしまった為にリアル鬼ごっこに加わることになった…という流れのほうが入り込みやすかったかな?と思いました。
また人間関係なども大きく異なるんですよね。
似て非なるとまではいえないまでも、結構印象が違う作品です。

映画の方が『鬼ごっこ』の部分はスリル満点。
ただ残酷な描写も多いので気の弱い人には原作のほうがオススメ。
映画では一週間というリアル鬼ごっこの期間の後半戦で主人公がパラレルワールドに迷い込むという設定ですが、原作のほうは7日全てであり、行動範囲も広くて心理面はじっくり楽しめます。
そして、まぁ、あの独特の文法なども割り切ってしまえば面白いです。

ただ人間が古風なのか、最近の一部の携帯小説などに代表されるような新しい文法のようなものになかなかなじめなかったので、僕と同じような旧世代の方にはやっぱり映画がいいのかもしれませんよ




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おやじのための自炊講座/ジミヘン
おやじ流シンプルライフのすすめ

タイトルから直球のグルメ本です。
最近、いわゆる『おやじ』たちに自分達で簡単に用意できるつまみの本が人気だそうです。
外で飲むのも景気が悪いし、じゃぁ家でちょっと贅沢を…ってな感じらしいですが、この本は更におやじたちの隠れた需要に応えた一冊で、単身赴任や昨今はやっているバツイチ、まだまだこれから!と意気込むオヤジ…事情はそれぞれでしょうが、一人暮らしをする男性でも手軽に作ることが出来る料理を指南したメルマガをまとめたものです。

目指すはシンプルそのもの。
仕事で疲れて帰ってきて、ちょっとの買い物袋を増やすだけでこなせる料理のレシピです。

そのコンセプトは徹底しており、冒頭で『3アイテムの法則』たる聞きなれない言葉が登場しますが、これはずばり皿の数
男の料理は片づけが大変!と嘆く奥さんも多いでしょう?
たまにやると妙に気合が入っちゃって頑張っちゃうんです。気分だけは一流シェフなんです。
あまりに一流すぎて片付けを担当しないほど。
そこで最初から三皿程度にして、無理なく料理を続けていきましょうよという提案です。

さ、寂しいな…。

建設的な提案ながら、出口の見えない一人暮らしのわびしさが詰め込まれた提案です。
そこの既婚者の人っ。奥様は大事にしましょーね、お互いにっ。

でもこの本は既婚の男性、ちょっと家族サービスしようかな?とか、女の人でも料理が大変で…という方にはオススメ。
まずレシピがいたってシンプル。なんたっておやじ向けですから。
そして材料もフランク。なんたっておやじ向けですから。

でもこれって大切。
僕は料理は上さん任せな悪いヤツですが、たとえばブログの更新にしてもそう。
最初の一ヶ月の更新数が50~100といったブログは案外早く放置状態になります。
無理なく継続できる範囲で頑張りましょう。
月に10件程度更新できればOKかな?程度のマイペースではじめたブログも、今年の年末で早丸二年。ハードルを下げれば、案外続けられるものですよネ。


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岡山たべある記 瀬戸内の食材と郷土料理/柳瀬和之
郷土料理といわれると、ちょっと誇らしげにばら寿司やままかりを紹介しようとしてしまいますが、今回たまたま東京出身の柳瀬さんの著作を手にするにあたって、意外と郷土料理というのは地元に住んでいると見えづらいものなのではないか?と思うようになりました。

著者の柳瀬さんは仕事の都合で東京から岡山へやってきた方で、元々食べることが好きだったのでしょう、岡山で様々な料理を紹介されたり見つけたりして食べたその記録がこの一冊の本を作り上げました。

この柳瀬さんという方、トマト銀行の取締役を務めた後に関連会社の社長に就任するなど素晴らしい経歴の持ち主ではありますが、決して岡山の郷土料理や、様々な食べ物の専門家ではなく、たとえば桃太郎トマトの欄では散々紹介した挙句に桃太郎トマトの定義が岡山県産であるかどうかは知らないが『岡山らしい名前のトマト』ではないかと流してみたり、、牡蠣の欄では岡山から脱線してしまうほどです。
トマト銀行グループの方なんだからトマトぐらいは把握しておいてほしかった(笑)。


彼自身も郷土料理は郷土の人ならわかっているという先入観があったのではないでしょうか、この作品の中では、見聞きした郷土料理の事を岡山の人間に話しかけたのに相手が判らないというシチュエーションもいくつか登場します。
でもこうしてみていると、郷土料理というのは良く知っているつもりで、自分の近所の郷土料理を全てだと思い込みがちで、更に自分の郷土に伝わる郷土料理をそれ以上掘り下げていこうという気持ちが余り無いのではないでしょうか。
だから食いしん坊(失礼!)の他都道府県出身者が訪れて、見慣れない郷土料理に舌鼓を打っている内に地元の人よりも郷土料理に詳しくなる…というのはあるのではないかと思うのです。

ガザミ、ベガ、乙島のシャク…。
存在さえ知らなかった!という方は、僕も含めて多いはず。

そうした食材や食べ方を玄人的な口調ではなく同じような食いしん坊としての目線で出会ったエピソードも交えながらユニークに語る文章を読んでいると、郷土料理の勉強と共に、さながら柳瀬のおっちゃんと一緒に食べ歩きに出ているような楽しい時間が体験できます。
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ドラえもん のび太と銀河超特急/藤子・F・不二雄
大長編ドラえもんの中でこの『のび太と銀河超特急』は特別な意味合いを持つ作品です。

それはこの作品が藤子・F・不二雄先生が結末まで書き上げた最後の大長編だからです。
もちろん先生は次回作である『のび太のねじ巻き都市冒険記』を執筆中にお亡くなりになられているので、この作品が遺作というわけではないのですが、僕はこの作品以降に線を引いてみてしまいます。
そして漫画では武田鉄矢さんの詩、映画では海援隊の歌が添えられた最後の作品でもあります。
この作品が公開された頃には僕にもいい年だったので、ドラえもんを卒業する一つのきっかけになったことを覚えています。

アニメでは声優も変わり、藤子・F・不二雄先生の遺志を継いだ方々の手によって新しい作品が産み出されていますが、この『のび太と銀河超特急』を見るたびに郷愁に似た感情を抱いてしまうのです。

奇しくもこの『のび太と銀河超特急』はドラえもんらしさがあふれる、宇宙旅行がテーマになっている作品です。
ドラえもんが徹夜をして手に入れた22世紀で人気の『ミステリー列車』のチケット。これはちょうど時を同じくしてスネ夫が入手した『ミステリー列車』の未来版ともいえるもので、行き先を不明にして旅行の行程そのものをイベントとする企画です。
のび太たちはミステリートレインに乗車して、ドリーマーズランドという宇宙の最果ての辺りに位置する巨大な遊園地を訪れる。そこではのび太のガンマンとしての腕を活かせる西部の星や、しずかちゃんのロマンチックな思いを満たすメルヘンの星、そしてジャイアンの好奇心を掻き立てる忍者の星、恐竜の星などがあり、それぞれに精巧なロボットが配置されていた…。

先述の通り遺作となるのは次回作ですが、妙に集大成のような物語なのが印象的です。
久しぶりにガンマンのび太の大活躍が見られるのも興味深いところ。ラストのシーンはのび太ファンはしびれまくりでしょう。この作品ではそんなところを揶揄して「のび太…、大長編になるとかっこいい事を言う」という、スネ夫の発言が出てきます。

物語は終盤、ヤドリという何かに寄生して完全にコントロールをする生命体に惑星や人間達が則られかける…という展開を見せます。
他作品で見られるほど社会的なメッセージがこめられている作品だとは思わないのですが、この当時の我々が描いていた宇宙へ進出することに対する夢ばかりのビジョンに、ドラえもんという形であるにせよ、宇宙の他の生物との衝突、侵略を受ける…という展開は、今になって思えば結構現実的な流れだよなーと思ったりするのでした。
そしてやっぱり…ドラえもんと海援隊は抜群の相性なんじゃないかなぁ…。



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人のセックスを笑うな/山崎 ナオコーラ
かつて大ヒットした作品に『失楽園』という不倫の物語がある。

この『人のセックスを笑うな』も扱っているテーマにはそれに近いものがある。
教師×生徒、39歳の人妻×19歳の学生…。
紛れも無く『禁断の愛』なんていう、ドキドキするようなフレーズで呼ばれる類のものだ。

しかしこの物語で主人公と、自由奔放で何事にもとらわれずに主人公とも接するユリの関係を見ていると、失楽園などで扱われる『禁断の愛』とは全く別物である事に気づかされる。
ユリは少年を『触ってみたい』と思い、そして19歳のオレは20歳も年上の女性を『カワイイ』と思い、それぞれの思いに忠実に抱き合った。

さて、この作品は映画化された。
人気の若手俳優である松山ケンイチ、そして未だに少女のようにしか見えないベテラン女優永作博美が主人公二人を演じる。
この作品においては明確に台本通りに進めるのではなく、その場の雰囲気で台本からそのまま即興で演じられた部分が多数盛り込まれているという。そこには本当に20歳の年の差を越えた二人の会話が生々しく収録されている。
自然に笑い合う二人の姿に禁断のにおいは感じられない。

第三者的な立場にたって、倫理的な観点から何かを否定することはたやすい。
しかしこの作品を見ていると、『判る』のだ。
それが特に映画で見ていると顕著で、年の差というものがやけに小さな価値観に思えてくる。

もちろんそこにはユリのありえないほど奔放な性格や、それを受容できてしまう旦那というフィクションらしい特性があることは否めない。

しかし、こうも楽しそうに見せられるとこういう形もアリなんじゃないか。そんな風に思えてくるから不思議だ。

人のセックスを笑うな。
言いえて妙。
出来れば原作、映画共に見てこのタイトルを感じてみてほしい。


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ライフイズビューティフル/ロベルト・ベニーニ
普段、当たり前のように『暑い』とか『寒い』と、意識せず口にしてしまうことがあります。
苦しい時に苦しいといってしまうのは、ひどくたやすいことです。

でもたとえば『夏だからこの暑さを楽しんでやろう』と思えたら?
『冬のこの寒さは春までしか味わえないからじっくり寒がろう!』と思えたら?

自分の気持ちの持ちようで、今いる状況を辛く思うのではなく『life is beatuiful!』と思えるようになるのではなる。そしてそれこそが人生を無駄なく生きていくことなのではないでしょうか。
人生の中に辛くて気分が落ちている時間ばかりが増えていくのであれば、同じ時間でも、命というのはなんて刹那なものなのでしょう。しかしその全てを楽しもうとすれば、長くてもせいぜい100年足らずの人生も長く充実したものに感じられるのではないでしょうか。

この物語の主人公、グイドは戦争に人生を狂わされ、幸せの絶頂の中で死を迎えざるを得ない境遇にあります。しかしこの物語を読み終えたとき、他の戦争の悲劇を語るどの物語よりも、グイドの人生は満たされていたように思えるのです。

イタリアのトスカーナ地方にあるアレッツォという町へやってきたグイドは小学校の教師を勤めるドーラに恋をする。そしてあらゆる、他の誰も思いつかないような方法で自分の思いを伝えていった二人はやがて結ばれ、人の息子を作り幸せな日常を過ごしていた。
しかし、時代は世界を巻き込んだ戦争が人々の生活にまで忍び寄ってくるような状況に差し掛かっており、彼らも強制収容所に入らされることになった―。

そんな中でもグイドは息子を絶望させないため『ライフイズビューティフル』なのだと思わせるために、彼に嘘をついてみせる。それは強制収容所をまるで一つのゲームのように思わせるフレーズだった。
息子の笑顔を守るため―。
グイドは最後の最後までやさしい嘘で息子を包み込むのだった…。

子供が相手だから…という見方はあるかもしれない。
でもグイドは考え方一つで、戦争の悲しい現実の中で息子の笑顔を守り続けて見せた。

僕らも気持ちの持ち方さえ前向きにすれば、今日の天気や上司の機嫌やちょっとの失敗くらい、気持ちを上に向けて乗り切っていけるのではないでしょうか。



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天地無用真夏のイヴ/長谷川菜穂子
柾木天地が墓参りの途中でであった少女、麻由華。
ふと見ればかわいらしいこの少女の口から、妙な言葉が飛び出してくる。
『パパ』

ノベライズから映画化された天地無用シリーズの人気作。
長谷川菜穂子さんの手による感動的な作品です。

麻由華は天地の事を父親と呼ぶが、天地にはもちろんその覚えが無い。
しかしDNAを調べてみるとその父親が天地であることは間違いないようだった。
プロテクトをかけられた母親のDNAを探す鷲羽だったが…?

一方、麻由華の奇妙な行動に気づいた魎呼はその正体を暴こうと突っかかっていく。
他方、明るく幼さを残す麻由華は柾木家に溶け込んでいく…。

ネタバレ等は続き以降で。
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わらいねこ/相澤秀仁、相澤京子
猫を嫌う人の中に無表情で何を考えてるか判らないから怖いという人がいます。

表面上、何気ない顔をしていたのが急に吼えてきたり噛み付こうとしたり…。
何を考えているのか判らないから怖い…。
それは人間でも同じかもしれません

しかし、この本を見てもう一度考え直して欲しいのです。
動物達は決して無表情ではありません。
何かを訴えようとする顔、嬉しそうな顔、起こっている顔…。
よく見てみればそれなりに表情豊かなのです。

この本は著者である夫婦が全国各地の猫の写真を撮影して歩いた中から、笑っているように見える猫の写真を集めた企画です。
もちろん猫がニヤニヤしているわけでもなければ、おなかを抱えて爆笑しているわけでもありません。顔つきがたまたま笑っているように見える写真です。

しかしこの本を見ていると、猫というのはなんと表情豊かな動物なのだろうと思わされるのです。
単に目を細めているだけではこんなに笑っているようには見えません。
やはりそこには『楽しい』という感情があり、そして感情があり、笑っているように見えるのではないでしょうか。

ちなみに笑っているだけではなく、人間的な別の動作をしているように見える写真なども掲載。
写真に添えられたコメント共に、猫と一緒に大笑いしてみてはいかがでしょう。




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頭文字D Extra Stage インパクトブルーの彼方に…
頭文字Dの番外編です。
碓氷のインパクトブルーことシルエイティの真子&沙雪コンビにスポットを当てたもので、ヤングマガジンで読みきりとして連載され、後に映像化された作品です。

物語の時系列は表題作でもある『インパクトブルーの彼方に…』は、池谷先輩との行き違いの失恋の直後を描き、『センチメンタルホワイト』はまたそのすぐ後です。
また、この後に別に発売されるのですが、二人の恋の結論を描いた『旅立ちのグリーン』という作品も存在します。

一言で表現するとやっぱ女の子は得だよなぁ~という作品です。
プロジェクトDが始まって以降、初期メンバーが徐々に影が薄くなりがちなのに対して、後期では殆ど登場していない茂木なつきは忘れられないという、ありがちな傾向です。
この作品は完全に碓氷の峠でバトルをした青いシルエイティ乗りの女の子二人に特化したものです。
この両名はインパクトブルーとして良く知られていますが、実は本編でその名称は登場せず、この番外編で与えられた名称だったそうです。
やっぱり女の子は…(ry

インパクトブルーの彼方へ…』は失恋のショックを引きずる真子が、後にハチロクとバトルをすることになるランエボ軍団の下見組とのバトルを通じて立ち直るという内容。ハチロクと出会ってからの走りの変化などが描かれている後日談です。
また本編では上手く理解できなかったコンビである理由が良く判る設定になっています。
助手席のナビゲーターがコーナーなどの抜け方を決め、運転手はその指示通りに運転へ集中するというのが二人のコンビとしてのメリットです。

ちなみにこちらの作品はサービスカット満載ご期待ください

もう一遍は殆ど車からは離れ、完全に恋愛に振った物語です。
こちらも真子が主人公で、相方から紹介された男性に走り屋はやめて欲しいという提案を受け、その事をきっかけに自分にとって走るとは何か?を追求した、乙女チックな恋愛とは程遠いストーリー展開です。
それにしても本編では余り注目されなかったシルエイティですが、やはり走っている姿は格好いいですね。
実車を見たことが無いので、CG化に少し感激してしまいました。

バトル後に消えていく者もあるなかで、やっぱり女の子って得だなぁ。
しつこいくらい同じ感想が胸をよぎります。

同じく人気キャラクターの岩瀬恭子もそうですがこの作品に登場する女キャラクターはこだわりますね。
岩瀬恭子のRX-7は地元の峠の道に合わせてシングルタービンという選択をしていますが、FD型のRX-7には純正の状態でシングルタービンの車は存在しないので、きちんと換装させている事になりますし、インパクトブルーのシルエイティにしても、市販された車体(シルエイティ、シルビアS13、180SX)の中に青が存在しないので、オールペンを施している筈です。
意外と解説されていない部分でのこだわりの多さもみどころかな、と。
なぜか特に女性陣で(笑)



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Linuxザウルスの壁 SL-C860/760/750/700 武井一巳
Linuxザウルス(通称リナザウ)の人気を確立したSL-Cの三桁シリーズのカスタマイズ本を読んでみました。

現行機種に比べると低スペックだっただけに、カスタマイズをしながら使い勝手を向上させていくのが一つの楽しみ方でもあった初期のリナザウたち。

この本では大きく標準アプリのカスタマイズ定番フリーソフトを用いてのカスタマイズの両面からカスタマイズを考えます。
Linuxを搭載することで利便性を向上させた機種だけに、個人単位で開発されたフリーソフトからのカスタマイズに力が入っているのが特徴的です。

標準アプリでのカスタマイズは主に日常の使い勝手についてです。
意外と触れないテーマ(画面のデザイン)の作り方や、ホーム画面の整理の仕方が挙げられます。
基本中の基本なのですが、この欄が意外と役に立ちます。
タブを用いての仕分けの仕方辺りは参考程度でしたが、僕がこの本で初めて知ったのがホーム画面とキーボードの連携です。
アイコンが大きかったこの頃のZAURUSではホーム画面に多くのソフトが居ると、いちいちスタイラスでスライドさせてソフトのアイコンを探して…という作業が必要になりますが、ソフトの名称(本当の名前ではなく、ホーム画面で表示させている名称)を英数字に変更しておけば、その頭文字(MUSIC PLAYERならM)に対応したボタンを押すとそのソフトが選択されるという機能が存在します。
この機能を知らなかったので、ホーム画面ごとの表示数を減らそうとタブを増やして対応していたのですが、わかってしまえばこちらの方が便利。見栄えが悪いかもしれませんが、ソフト名の頭に何かしら英数字をつけておけばいいのです。たとえばアドレスでもAdressにしなくても『Aアドレス』や、もっとショートカットキーだと割り切って『1アドレス』『2カレンダー』といった具合に変更してもいいわけです。

定番アプリはPDA人気の停滞の影響もあるのでしょうが、現在でもほぼ同じ。
著者の一押しはKeyhelper
Keyhelperの利便性に関して、これを導入していない『SL-C7X0/860など二度と使えない』とまで言い放っています。思わぬところで毒が('д'*)
そこまでオススメするだけに、少し難易度の高いKeyhelperの設定の仕方を徹底的に紹介しています。設定にXmlファイルの編集を必要とするだけに苦手な人には助かるはずです。
ちなみにランチャー機能の設定(confファイルの編集)も紹介されています。
二度と使えないとまでは思いませんが、一通り設定しておけば便利なのは確かです。色々な機能を使う環境下では便利です。

後、swapの作成も重宝します。
これは当時の…というよりはSL-C700辺りでの問題で、SDRAMの容量が少ないためにメモリ不足に陥ってしまう症状が頻出していました。これは750以降で徐々に解決され、インターネットを使う時以外はおおむね問題のない水準になりましたが、700は普通に使う際でも苦しくなったものです。
そこで本来は外部記憶装置として分けられているSDカードやコンパクトフラッシュをメモリの一部として使う事で対処していたのです。
そのためのQswapというソフトの使い方が紹介されています。
750以降でもOperaを導入するなどの使い方を検討している方にはお勧めですね。

このような具合で様々に利便性を向上させる方法が紹介されているのがこの本です。
フリーソフトが中心となっているLinuxはWINDOWSなどのOSにはないカスタマイズ性が魅力ですが、開発者の方には申し訳ないのですが、意外と操作方法が判りづらいのもフリーソフトの難点です。
特にZAURUSをはじめとするPDA市場は縮小傾向で、こうしたソフトの導入方法を細かく解説したようなサイトが消えつつあるのも事実。
そういう時にこういう本が一冊あれば非常に便利。

型落ちのSL-C三桁シリーズなら、オークションでかなりお買い得価格で購入可能です。
それでも徹底的にカスタマイズして、スペシャルカーネルを導入するなどすればストレスフリーで使用することが出来ます。
特にZAURUSを使うような人には、こういう作業自体を好む人も多いはず。
面倒だなーとか言いながら、カスタマイズを楽しんでほしい。

ちなみにZAURUSに標準搭載/フリーで入手可能な文庫ビューアは販売されている電子書籍のみならず青空文庫などの形式も見ることが出来るものです。
ビュースタイルにすれば電子書籍ビューアに早変わり。本の虫ライフも変わるはず!?
ちなみにこのブログでちょこちょこ登場する『電子書籍で美味しくいただきました』の際に使っているのは、リナザウです。



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赤外線男/海野十三
最近の映画を見ていると、そのCG技術に驚かされるという人も多いはず。
僕を含めての虫な皆さんは、まさか文章で書き綴られたような夢がここまで忠実に再現されるようになる時代が来るとは思いもよらなかった…という人も多いはず。
そしてその設定などもどんどんとリアリティを増し、まるでもう実現可能な技術かのように解説が施されている様子は、何が現実で何がSFなのかさっぱりわからない…といった気持ちになってきます。

しかし僕はSFは昔ながらの、少し無理があるくらいの物の方が好きだなーと思ってしまいます。

そんなSFのいいにおいを残した作品を最近読んだのでご紹介します。
海野十三さんの『赤外線男』というSFチックなミステリーです。

彼の生み出した探偵、帆村荘六を主人公とした作品ですが、帆村が登場するのは物語の後半以降。
前半はまさに古いSFの世界です。

ある大学で研究を続けていた深山楢彦が学生の助手と共に完成させた機械―それは赤外線テレヴィジョン装置と名づけられた機械で、赤外線以外の可視光線を一切カットしてしまうもので、それにより赤外線やそれに照らし出された物のみが見えるという発明だった。
そして深山博士はその装置である発見を公言する。
赤外線でしか見えない男…赤外線男の存在である。

いいなーって思う。
この辺りの細かい仕組みをぶっ飛ばした辺りが、良い。
SFが好きな同士でもSFに何を求めるのか?は意外と分かれるのではないでしょうか。
たとえばそこに科学の進歩の可能性を見出す人…彼らはきっと実現可能性を楽しむのでしょう。しかし僕は思い切り文系なので、SFにもファンタジーに似たような夢を求めます。
きっと柳田理科雄さんの本でメタメタにやられるどころかスルーされてしまうようなSFこそ、僕の憧れです。

そんな古きよき時代のSFがこの本には息づいています。

ネタバレ等は続き以降で。
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ドラえもん のび太と雲の王国/藤子不二雄
歴史を学ぶとき、僕達は多くの財産を祖先から無条件に、ただ未来を生きる者として受け取っている事に気づかされます。それは舗装された道であったり、技術であったり、もっと立ち戻れば火を使う事、そして言葉を使う事…。

しかし今の時代を生きる僕達は次なる世代に大変な者を渡そうとしているのではないでしょうか。
汚れた空、死に絶えた大地、陸地を飲み込まんとする海面…。

もう今の時代だけでは抱えきれなくなった不の遺産たちです。

そんな環境問題に対してドラえもんが現代社会に送り出したメッセージ。
それがこの『のび太と雲の王国』です。

この物語はドラえもんシリーズの中でも社会派のイメージが色濃い作品です。
そのほかの大長編や短編の作品でも幾分か社会問題に触れる要素はあったものの、かなり直接的に描かれているのが特徴的です。

のび太の天国の雲はどこにあるのか?という小学生らしい素朴な疑問から始まった雲の王国建国。
しかしその王国を完成させようとする中で、彼らは22世紀の道具にはよらずに作られている雲の上の国家があることを知るのだった…。
そして、彼らは『ノア計画』を阻止するため地上人代表として天上人に立ち向かうことになるのだった。

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ジェイソン・ベッカー・トリビュート Warmth in the wilderness/Various Artists
あなたは神を信じますか―?

僕は時として神の救いを受けたような奇跡的な喜びに満ち溢れる事もあれば、神がもしもいるとしたら何も見えていないのではないか!?と未熟な心に不満を溢れさせてしまう事もあります。

このジェイソン・ベッカーの運命を知った時は、僕は後者の気持ちになりました。

Cacophony~元VAN HALENのデビット・リー・ロスのギタリスト…。
順調とも言えるキャリアを歩んでいたのは、1980年代に隆盛を極めた早弾きギタリストの中でも高い技術と幼い頃に培ったクラシックの技術を活かした芸術的なまでのメロディを引っさげてシーンへ登場した彼は、甘いルックスも相俟って一躍次世代のギターヒーローとなる存在だと思われていました。
そんなジェイソン・ベッカーの体に異変が起こったのは、彼にとって大きなステップとなるはずだったデビット・リー・ロスとのアルバム制作の時期だったといいます。
彼の体を蝕んだ病―それはLASと呼ばれる、現在に至るまで不治の病として知られるものです。
この病の影響でアルバム制作の後のツアーに参加しなかった彼は、現在に至るまで病と闘い続けながらアーティストとしての活動を続けています。

そんな彼を知る人や、影響を受けた人間が集まって一枚の公式なアルバムを作る―。
それがこのWarmth in the wildenessです。
カコフォニー~デビット・リー・ロス~その後の病に冒されながらのソロから満遍なく選出された楽曲のほかに、彼の影響を受けたミュージシャン達が本人へ捧げたオリジナルの楽曲たちになります。
その参加者にはカコフォニーでの同僚であり、今や日本でも人気のギタリストとなったマーティー・フリードマンやポール・ギルバート達も含まれます。

一つ彼を知る人に必ず見てほしい写真があります。
それは楽曲と参加者のリストを挙げたブックレットの中へ掲載されたジェイソン・ベッカーの写真です。
見開きで、左側には病気に冒される前の彼、そして右側には2001年の彼…。

幾分か細くなり、管に繋がれた様子はショッキングなものですが不思議と衰えたような印象を受けません。それは瞳にみなぎる力ゆえではないでしょうか。
なかなか日本まで近況の聞こえてこない彼なので、正直子のページを開いた時には目を背けたくなるような気持ちもあったのですが、なぜかこの写真を見て、僕はホッとしました。
そこには現役のアーティストであるジェイソン・ベッカーが居るのだから。

もう一度考えたい。
この世に神はいるのだろうか。
もしいるのであれば、どうして彼にこんな病を?

不思議と、僕は彼の初期の楽曲よりも病と闘いながら作られた楽曲が好きです。
ジェイソン・ベッカーにほれ込んだのとは全く違う音楽であり、もはやギターを演奏しているのも彼ではない。
しかし彼の新しい楽曲たちはやけに心に気持ちのいい物ばかりです。

もし神がいるのなら―。
彼にこの美しい旋律を与える為だったのだろうか?
だとすればなんと過酷な試練であり、それに立ち向かったジェイソン・ベッカーはなんと強いのだろう。



※日本の限定版にはボーナスCDがあります。
 そこに彼の代表曲でもあるスピード・メタル・シンフォニーも含まれます。



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ドラえもん のび太の大魔境/藤子不二雄
子供の頃、冒険家を夢見なかった少年がいるだろうか?

家からちょっと離れた山での冒険、秘密基地―。
胸をときめかせた少年は、誰もが一度は秘境での冒険を夢見たのではないだろうか。

それはスタンドバイミーのようなドキドキするものであったり、インディジョーンズのように未知なる宝物との遭遇であったり、もしかすると吉村先生のような歴史と対峙する事だったり…人は一度はそういったものへの憧れを抱いているものだと思う。

そんな子供が抱く夢を、そして大人の忘れかけていた夢を一つの形にしたのが『ドラえもん のび太の大魔境』だった。

ドラえもん、のび太、スネ夫、しずかはジャイアンの思いつきで急にアフリカの秘境へ冒険に出ることになる。それは春休みのちょっとしたイベント、いつもの冒険ごっこを少し発展させたもの…そうなる筈だった。
捨て犬ペコ、そしてドラえもんの衛星写真に偶然写った巨大な犬の石像―。

彼らはその謎を解くべく冒険の旅に出る。



この物語で一番印象的なのは、ドラえもんの道具の出現頻度が非常に低く、その重要度が終盤までかなり抑えられている事だ。

表面上は雰囲気が出ないといったジャイアンの意見で便利な道具の多くを置いてきてしまい、それがどこでもドアの破損によって取り戻せなくなってしまうというものだが、僕はここに藤子不二雄さんのメッセージを感じる。

おそらく、きっと藤子不二雄さんもこんな冒険を夢見た少年の一人だったのだろう。
だからこそ自らの子供であり、そして分身でもあるのび太達に自分達の力で歩いて石像を目指させたのではないだろうか。自分ができなかった大冒険を託すように―。

ただの冒険ごっこのつもりが、一つの国の一大事に関わる事になってしまった一行。
痛いほどの真剣さが伝わる一言があります。
出発前には冒険をして宝物を見つけて…と夢見ていたジャイアンですが、物語の最終章で実際に光り輝く宝物を目にした時、『何だ、こんな物に用はないやい!』と吐き捨てて先に進んでいってしまいます。
数日間の秘境での冒険の間に、彼もまた少し大人に近づいたのでしょう。

子供達の成長は、ひどく早い。
川原で夢を見ていた少年達も、いつの間にかスーツに身を包んで未来の世界を支えて行く事でしょう。
でも忘れないで欲しい。
冒険を夢見たあの頃を。そして忘れそうな時にはのび太の冒険を見て欲しい。
そこには夢を見ていた頃の自分が居る筈だから。



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テーブルの脚事件/ゼロ(アラン・ラムジー) (シャーロック・ホームズの災難 下)
探偵:シンロック・ボーンズ 語り手:ワトソネイム

ここからが第四部で研究家その他篇ですが、なぜか初っ端のゼロさんがユーモア作家さん顔負けの激しい一発をかましてくれています。

パロディとしては最初期の一つにあたる作品です。
やはりホームズと同時に出されるとこういう傾向になるのでしょうか…。

肝心の依頼内容はなかなかスパイシー。
依頼人の父親はある年寄りの未亡人と親密な関係を保っていた。
もちろんその狙いは未亡人の持つ膨大な財産―。
父親も独身になっていたが、もう八十を過ぎた老婆と再婚するのには抵抗がある。
親しく付き合う中で、自分を遺産相続人にはしてくれないだろうか?
そう思うようになっていったのである。

ホームズシリーズにも遺産を狙った作品は多いですが、ここまで図々しいのは無かったですね…。
僕は冗談の設定なのかどうかの判断がつきかねます。

そこで、親子は思いついたのだ。
依頼人が遺産をどうするつもりなのかを聞き出し、その結果遺憾では我慢して結婚しよう、と―。
しかし依頼人の父親は何をせずとも遺産相続人になれるというのに、未亡人にプロポーズしてしまうのだった…。

ネタバレ等は続き以降で。
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資格の抜け道/鈴木浩一
資格の抜け道なんて怪しいタイトルで登場したのが鈴木浩一さんの資格取得のガイドブックです。
たいていの人は資格の本というと勉強方法であったり、取得後の就職などに絡んだ内容を想像しがちですが、この本は資格をより簡単に取得するための道筋から考え直そうという一冊です。

調べてみると資格には無試験や試験科目を免除して取れる条件があるものがあります。
たとえば第二章で紹介されている『測量士を経由して土地家屋調査士へ』で紹介されているように、測量士補の資格を有していれば土地家屋調査士の資格を取得する際に筆記試験から午前試験が免除されるようなものがあります。
なので合格率が(ここ数年の平均で)20%以上ある測量士補の資格を有することで、より難関となる土地家屋調査士の試験の一部を免除することができるのです。
ちなみに測量士補には大学での勉強内容によっては無試験での取得もあるようです。

…といった具合に、資格をより簡単に取得するための抜け道がこの本では紹介されています。

ただ無試験の部分に関しては社会人にはしんどい内容だと思います。
内容には大学や専門学校での単位の取り方による無試験取得~試験の部分的な免除などが目立つので、将来の目標がはっきりしているのであれば、進路をこれから決める事のできる高校生くらいで読んでおくと非常に有利になるでしょう。

ただもちろんこういった抜け道が盛んになることによって、時には改定されていく部分も出るでしょう。
それに関しては、もう運が悪かったと思うしかないというのも抜け道の怖さかもしれません。



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爬虫館事件/海野十三 
○○館とついたミステリーを見つけるとついつい小栗虫太郎さんの黒死館殺人事件を連想してしまい気が進まなくなってしまいますが、さすが海野十三さんは安心のブランド、楽しく拝読しました。

ある動物園の園長が突然行方不明になってしまったことが事件の発端です。

そういえば助手の須永さんが登場してますね、この作品
来客で起こされた帆村荘六はあわてて出る用意をするのですが、湯船の中でオットセイのようなしぐさをする事でさっぱりと仕上がってお客様の前に出て行きます。
文章から推測するに寝汗や眠気はさっぱりしているものの、髪はびしょ濡れでお客さんの前に出て行ったご様子。依頼人もさぞかし驚いたことでしょう

来客は行方不明になった動物園長である父親を心配して訪れた、彼の娘だった。
まだ居なくなったばかりとあって警察ももう少し待ってみようという姿勢である為に相談に訪れたのだった。
帆村荘六はその依頼を受け、動物園での調査を始めるのだった―。

ネタバレ等は続き以降で。
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芝生の影―シャーロック・ホームズのある冒険/バリー・ジョーンズ(シャーロック・ホームズの新冒険)
正統派の贋作ホームズです。
トリックもコナン・ドイルが好きそうな感じです。
ちなみにこの作品、本格的なのもその筈、ジューン・トムスンが作品化されなかった事件を再現しているのと同様に、ムア・エイガーとの出会いのきっかけとなった事件を描いた…という設定になっています。

ムア・エイガー医師が美しい農村であるバックレーで請け負っている患者でただ一人農家ではない家があった。
五年前にこの村へ越してきた牧師の家で、そこの息子はもう四年も前から進行性筋萎縮症を患っていた。既に初期の症状が出始めている彼が、ここ最近毎日午後になると大きな鉤鼻をした背の高い、シルクハットをかぶった男がやってくる…正確に言うと、彼の部屋から見える庭にその影が伸びているというのだった。
その話を聞いた父親の牧師はばかげた妄想と決め付け、そんな話に付き合って息子の妄想を助長させようとしているとして意思を追い払ってしまったのだった。
しかし話はそれだけでは終わらない。
その晩、たまたま急患の元へ行っていた医師が帰りに牧師の屋敷の前を通ったところ、話に出てきた男性の影がつけていたのと全く同じようなシルクハットや衣装を燃やしている牧師を見つけてしまうのだった。

いったい『影』の持ち主とは…?

ネタバレ等は続き以降で。
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美味んぼ11 香港味勝負/作:雁屋 哲、画:花咲アキラ
名作、問題作と様々に揃った美味しんぼの作品の中で僕が一番印象的だったのは、この『香港味勝負』でした。

なんたってエピソード満載!
まだこの頃は山岡&海原親子も毒々しくて名言満載です。

ではいくつかこの11巻で見れる名シーンをご紹介しましょう。
まずページを開くといきなり登場するのが栗田ゆう子&田畑絹江&花岡典子三名の水着姿!
レアです。マニア垂涎です。
…こういうコトを書くと妙なトラバがつくんだよなぁ('д'*)

そしてこのマドンナ達によって海に引きずり落とされた山岡の下ろした髪型まで堪能できます!
ところで、海から上がって三人を追いかけるまでの一瞬で完璧なリーゼントを復活させるという離れ業を見せています。(漫画にありがちなアレですね;)
後半の『お菓子と夢』の物語でも噴水に突き落とされた際にも、服を乾かすよりも先に髪型を直しており、やはりあのリーゼントにはかなりのこだわりがある様子。
しかも整えた直後でもきちんと少し乱れている状態まで再現されており、これもやはりこだわりか…!?

この最初のシーンは話題満載で、周囲に挑発された富井副部長がカキ氷を七杯食べてぶっ倒れるというエピソードが紹介されていますが、周囲が挑発するのに対して部長が放った一言は『前後の見境無く乗ってしまう性格なんだから』。
たまにいますよね、フォローに見せかけた会心の一撃を放つ人って。

さて前述の通り山岡&海原の関係もこの頃はまだピリピリ。
料亭で鉢合わせた際には『ゴキブリみたいに、どこにでもしゃしゃり出てきおって』、料理を出し合う会場として美食倶楽部を使うことになった際には『不愉快千万!』と履き捨てまくっています。
しかも前者の時に海原雄山がお店を訪れたのは山岡たちよりも後です。もう理屈も何もあったもんじゃありません。このシチュエーションならゴキブリはあなたです。
呼び方も先のゴキブリの他に、情けない奴、サギ師、負け犬と多彩な呼び方を披露しています。こいつ、もしかして人にニックネームをつけるのが上手いんじゃないか。
この勝負の時に会場となった美食倶楽部を訪れたのが、山岡にとっても久しぶりの帰宅ですが、全く感慨なしといったご様子。

しかしこの11巻のメインは表題にもあるとおり、香港での味勝負。
文化部の出張で訪れた香港が舞台となります。
富井副部長は飛行機が苦手という事で十字架と成田山のお守りを掲げて無事を祈っています。雁屋 哲さんらしい社会風刺のきいたボートピープルの問題や中華料理の真髄などを取り扱う物語の中で雰囲気を和ませてくれています。
医食同源というのはなるほどなーと思いました。
正直食事というものには余り興味が無くお腹が膨れればいいという感じの僕ですが、こういう技術は積極的に勉強していきたいものです。

ところで最初からのレギュラーメンバーにして文化部の先輩といった役割の花村さん。
何気にこの11巻で結婚しています。表題に上がることも無く、主人公とそのほか大勢という悲しい現実を如実に表していますが、この作品の中でひそやかに彼女へ思いを寄せていた幼馴染がひねくれている様子を見て、山岡が次のような発言を口にしています。

一人の人間を愛したなら、最後まで誠を通してこそ男じゃないか

おぉぉぉぉぉ!



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