本の虫、中毒日記

読書感想文、乱発中。

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Fujisaki

Author:Fujisaki

基本はシャーロッキアン。
でも雑食の本の虫。資格からマンガまでそこに文字がある限りっ。

紙魚、コナチャタテとはちょっと違う本の虫ですので、駆除はご容赦下さい。

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欠陥探偵~名探偵危機一髪/スティーヴン・リーコック
スティーヴン・リーコックさんのパロディです。

ユーモア作家編の最終章を飾るだけあってさすがのクオリティです。
どちらもホームズの特徴を上手く掴んだ作品です。
その点においては優秀な贋作ホームズと言えそうです。

ただそれがスティーヴン・リーコックさんの持ち味なのか、それともメッセージなのか、上手く掴んだ特徴を活かして推理小説を揶揄するような表現をしています。

紹介されているのは欠陥探偵と名探偵危機一髪の二作。

ネタバレ等は続き以降で。
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婚約者失踪の謎(おしどり探偵)/アガサ・クリスティ
きみはこの事件を記録しないでくれるね。この事件には、際立った特徴は全然無いんだからな

夫婦で探偵業を営むトミー&タペンスの元を訪れた依頼人は北極から帰国したばかりの著名な探険家だった。

ちなみに信用度を高めるためにわざと忙しそうに振舞うのが彼らの定番らしく、ここでも覗き穴で受付が接客をしている様子を見届けると、さもこれから出かけるような格好で客と出くわして見せます。
『二、三分ならお話しできますから、こちらへいらしてください』
…ウルトラマンもびっくりの応答である。

結局いくらでも時間のある二人なので二、三分とは言わずじっくりと話を聞くことになります。
知り合いのヨットに合流することができて思っていたよりも二週間ほども早く帰国することができた彼は、出発直前に婚約した恋人の元へ急いだ。しかし彼女が滞在している筈のおばの家に行くと、なんと彼女は友人の家へ出かけて行っていて留守だと言う。
彼女は数日中には戻るだろうと言うものの、依頼人は彼女が信頼できなかった。

というのも、おばであるレディ・スーザンが太っていたからだ
彼はなぜか太った女性を嫌っていて、彼曰く『太った女と太った犬は神さえも忌み嫌う』と思っているそうです。
彼の信じる神はどうも器が小さいようです…。

自分が嫌うものだから、彼女も自分を嫌っているのだろう、そして彼女は自分の姪との結婚にもいいように思っていないはずだ…そう思った依頼人は居場所を聞き出そうとするのだが、返事があいまいなのである。
そして旅先から送られてきたのが直筆の手紙ではなく誰にでも出せる電報だったとき、彼の疑惑は最高潮に達し、こうして探偵事務所を訪ねたというわけだ―。

ネタバレ等は続き以降で。
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天皇家の謎/歴史雑学研究倶楽部
神話の時代にまで遡って『天皇家』の謎に迫った一作です。

最近ワイドショーなどでよく扱われるミーハーな『天皇家の食事はこんなの』とか、『こんなおもちゃで子育て』といった物とは全く温度が違う内容で、冒頭ではイザナギ・イザナミと日本列島の誕生まで遡ります。
オノゴロ島(現在の淡路島ともいわれる)に御殿を構えて日本列島を産み落としたのがこの両名です。

そして平定の終わった日本列島に降り立ったのが天照大神の孫に当たるヒコホノニニギ(天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命)であり、その孫が神武天皇であり、現在まで続く天皇一家の初代天皇です。

そういう部分まで細かく解説されているものの、神話に傾倒しているのか?というとそうではなく、天皇一家の歴史の作られ方やその歴史を客観的に眺めているのが特徴的な一冊です。
歴史の教科書では割愛されがちな物語的な部分や歴史の表舞台から外れていた時代の天皇家の話題などにも触れられています。

さて僕が興味深かったのが大正天皇についての欄。
神話の時代のいたのかどうかも判らない天皇の神話も興味深いのですが、身近な時代の天皇でありながら明治天皇や昭和天皇と比べるとずいぶんと影の薄い天皇といったイメージがありますが、それもそのはず病に倒れた事から実質的な在位は10年程度だそう。
元々それほど頑丈な体ではなかったようで、世界大戦の時代を迎えた頃から生真面目な性格がたたったのか体調を崩してしまいます。その為に在位から10年が過ぎた頃には昭和天皇が摂政として任務をこなし、当人は様々な病気を抱えて48歳の若さで他界しています。
しかし天皇になる前には子供達と良く遊ぶいい父親だったそうです。

天皇といえば世襲で、特にこの時代の天皇は確固たる地位が約束されていて…と羨んでしまいそうですが、大正天皇に限って言えば天皇という重責さえなければ幸せに暮らせたのに…と、物悲しい雰囲気があります。
そういえば家庭的な人だったという大正天皇は一夫一妻を貫いた最初の天皇であり、その息子である昭和天皇が一夫一妻を明文化したということからも、大正天皇の作った一夫一妻のその家庭がとても温かいものであったように伺えます。

…それにしても驚くのは昭和天皇。
大正10年より摂政として実質的に天皇の役割を務め、更に昭和の時代が64年まで。
70年近く天皇を務めていた事になります。
それもそのはず、神話の時代に存在する天皇を除けば年齢も在位期間(摂政時代を除いて)も歴代最長なのでした。



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adobe GoLiveで作っちゃお!プロデザイナー顔負けのwebページ for MacOS X
僕はHPを作る際に未だに初心者向けのHPデザインの本を読みます。
年を取るごとに物覚えが悪くなるので…ではなく、基本を押さえる事と、新たな技術やトレンドの流れにおいていかれないようにという目的です。気がついたらデザインの中心はCSSとか、色々とあったなぁ…。

そんな感覚で買ったのがこの本。
既に開発/販売を終了してしまったadobe社のGoLiveというHP制作ソフトを使ったWeb制作の本です。
かつてはadobe社のフォトショやイラストレーターとの連携からDreamweaverと拮抗し合う初心者からプロまでをカバーする人気ソフトだったのですが、肝心のDreamweaverの開発元がadobeに買収されてしまった為に、adobe本家のソフトでありながらもDreamweaverに消し去られてしまう形になった不遇のソフトです。

そしてこの本はそのソフトを使ってのサイト作り…なのですが、実はソフトの動作が大半。
デザインをどうすれば思うような雰囲気に出来るのか、どのようにすれば見やすいページになるのか…という事は余り重要視されていません。
写真の加工方法、グラフィックスの作り方などが中心です。
まさに操作面。

僕はHPのソフトはNECのパソコンに付属していたホームページデザイナーを多少使い、その操作性の悪さにタグを用いて作るようになったのでHPの定番ソフトというのは殆ど知らず、GoLiveの操作画面を見るのも今回が初めてですが、プロのデザイナーの方でも使う事があるソフトであるいう前評判から創造していたのと比べると、予想外に操作が簡単であることに驚きました。
画面に何をすれば良いのか、どうすればどうなるのかが明確に出ています。
こりゃ簡単だ。
恐らく初心者向けという意味ではホームページビルダーよりも適しているでしょう。

…ただ、ソフトの販売も終了した今、操作面に特化したこの本に余り需要はなさそうです。
道理で安売りの棚に並んでいたはずです



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新車購入応援マガジン ザ・マイカー/ぶんか社
様々に特化したカー雑誌がある中で、新車購入応援マガジンを名乗るのが、この『ザ・マイカー』です。

その名の通り、その時期ごとの市場での車体の平均値引き額を国産全車種でリストアップしていたり、新車の特集でも燃費や車体価格、お買い得度にスポットを当てています。
他のカー雑誌のマイナーチェンジなどの扱いがスペック上の改善であったりエクステリアの変更点などに集中しますが、このザ・マイカーではそれにプラスしてモデルチェンジが近い=現行の値引きが見込めるといった見方をも展開してくれます。
そういった志向からか、このザ・マイカーでは国産全車種(乗用車)の新車登録台数一覧が毎月掲載されています。
ネット上で見れるのは自販連などが発表する上位30位程度までが限度ですが、ザ・マイカーの一覧は全てを網羅しているために、たとえば一般向けとはいえないトヨタのセンチュリー(H20.8月売り上げ12台)であったり、日産のプレジデント(H20.8月売り上げ7台)といったVIP専用車種の台数や、GT-R(H20.8月売り上げ113台)やランエボ(H20.8月売り上げ124台)、インプレッサWRX STI(H20.8月売り上げ112台)といった数が出ないながらも人気の車の売り上げまで見ることが出来ます。

ちなみにH20.8月の売り上げで最も数が出なかったのはセンチュリーでもプレジデントでも、そして高級車ブランドのレクサスでもなく、ダイハツ工業の重役用にトヨタのカムリをOEMしたアルティスの5台です。
余り店頭に並ぶことも無く、かといって注文で売れるほどの人気車種でもなく、今月はダイハツの重役さんが五人ほど車を乗り換えたんだなぁということが判ります。

読者投稿欄も値引きの話題であふれています。
どういうくどき文句で、どういう競合で、どういうじらし方で…。
これから新車を買おうという人にはいい勉強になるかもしれません。

もちろん値引きの事だけではなく、他誌に比べるとスペックよりも居住性や日常での使いまわしをより深く追求する傾向にあるので、よくよく考えればサーキットに住むわけでもない我々にとってはこの雑誌が等身大というケースも多いのかもしれません。
ただ、まぁ。
新しい車の情報を!妄想を!という気持ちで開くと退屈な雑誌とも言えそう。

どういう気分で読むのかを決めてからの購入が大事です。

追記:2010年11月9日
久し振りに買ったら誤字脱字が…。
こんなに多かったかなぁ。
モデルチェンジの56月とか、セダン紹介コーナーで「ワゴンです」とか、ちょっとこんがらがる。



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四次元博物館 ミステリーゾーンを発見した/佐藤有文
世界中で起こった不思議な出来事、不思議な能力を持つ人を紹介している本です。

なんちゅうか、タイトルが伝えんとせんことは判るけどタイトルの意味がわからない本の典型のような本です。

四次元博物館というタイトルがついていますが、本文中で四次元に触れるのは二つのコンテンツのみ。
それが四次元は存在するか四次元人間メンシングの項目です。

四次元は存在するかのコンテンツでは急に人が神隠しになった現象や、ありえない距離を移動した出来事が紹介されています。
日本の実例も紹介されており、昭和39年にトヨペット・クラウンが消えた現象があります。
今やトヨペット・クラウン自体が消滅してしまいました(名称をトヨタ・クラウンへ改称)が、そういう意味ではなく藤代バイパス周辺で黒いトヨペットニュークラウンが煙に包まれて消えてしまったというものです。

ちなみに四次元って何ぞや?と思う僕のような人に助かるのが『三次元と四次元世界の関係』というコラムです。
二次元が平面の世界であり、三次元が立方の世界である。
二次元が○の図形の中にいるとき、これを抜けるには丸のどこかに穴を開き、たとえばCのようにして開いた場所から抜けなければならない。なぜならそこには高さが存在しないので、線の上を越えるという概念は存在しないからである。
急に物が消えたり凄い距離を移動し対するのも、四次元では当然なことが三次元にいるがゆえに二次元が三次元をありえないことが出来るように見えるように不思議な現象に思える…ということだそうです。

へー。
僕は馬鹿なのかもしれません。よく理解できません!

まぁこんな感じで古代文明有り、幽霊有り、狼男有り…と言った具合で色々と紹介されています。
この手の話題が好きな人にはたまらない一冊のはず。
そして突っ込みの腕を磨きたいあなたにもオススメ

そういえば一つ気になったのがローズマリー・ブラウン夫人の記事です。
既に他界している著名な音楽家が憑依して新しい楽曲を発表したり演奏したり…という不思議なアーティストです。腕がいいのも事実ですが、今で言うイロモノだったのか、それともマジだったのか…。気になるところです。



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名探偵のコーヒーのいれ方 コクと深みの名推理1/クレオ・コイル(訳:小川敏子)
読書をする際に雰囲気を整える人は意外と多いはずです。
座り心地のいい椅子にフカフカの座布団、カーテンを閉めたり…。
そしてもちろんコーヒーを用意するという人も多いはず。
そんな人にうってつけの一冊です。

悪いことは言いません。
この本を読むなら、本代とは別に千円くらいよういしておいた方がよさそうです。

舞台はニューヨークのグリニッチビレッジにある百年を超える伝統を持つ『ビレッジブレンド』というコーヒーハウスです。
ニュージャージーでの生活に別れを告げ、かつて夫婦生活を営み、そしてマネージャーとして復帰したばかりのクレア・コージーは渋滞に巻き込まれてようやく店に着いた時、その異変に気づいた。
にぎわっているはずの店が未だに準備中の札が掛かったままだったのだ。
そして店の中には頼れる店員だったアナベルが階段の下に倒れていたのだ―。

この本、コーヒーハウスを舞台にしてそのお店の敏腕マネージャーを主人公にしているだけあって、コーヒーの話題が随所に出てきます。倒れて意識不明になっているアナベルの事故を調査しに来た警察に接するとき、ちょっとタイプのクィン警部補にコーヒーを出すとき、自分でコーヒーを出すとき…。
その入れ方のコツやそのコーヒーが精神的にもたらす効用などを細かく解説してくれるのです。
しかもイラスト付で。
何の本を読んでたのか忘れちゃうくらい。

ね。
千円を用意しろといった理由が判ってきたでしょう?

この本を読んでたら確実に美味しいコーヒー…それも極上のヤツが飲みたくなる!

ネタバレ等は続き以降で。
続きを読む…


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マンガでわかるお客様が感動するサービス/馬渕 哲、南條 恵
顧客満足度を上げる事―。
サービス業にせよ、販売業にせよ、営業にせよ一番はそこです。

そんなサービスの実例を紹介する本です。
サービス部分をマンガで判りやすく紹介し、そのマンガの部分を活字で分析するというものです。
その行動に含まれる優位アクション(お客に対して積極的に接することで満足度を得る動き)や劣位アクション(お客を立てる事で満足度を得る動き)を細かく分析しているので、実例に含まれないシチュエーションに対しても自分なりのやり方を考える材料になります。

様々な『感動するサービス』が紹介されていますが、それらを見ていて判るのは、感動はちょっとした事で引き起こされるということでしょうか。
読んでいて『こんなのは出来ないなぁ』と思うサービスはほぼありません。
どれも思い立てば、そのシチュエーションになれば出来る事です。

でも、それが出来ない人が多いからそれは感動となる。
普通に出来ることの全てをしていれば、それは『当然』となるはず。

実はとても簡単な事なんですね。
凄いことをする必要なんて無い。
客の為に、その時に許される範囲内で何かを提供するだけでいいのです。

たとえば『青森港の両替』というエピソードが紹介されています。
携帯電話やテレホンカードの無いような時代の話ですが、乗るはずだった連絡線が急に欠航になった事を知らせるために小銭が必要な親子が売店で買い物をしてお金を崩そうとする…という話です。
この時にどういうサービスが一番か?を考えれば、おそらく電話代をあげるのが究極でしょう。
それが出来るのであれば、それもいいでしょう。
しかしここで売店の店員が取った行動は、お釣りを10円玉で返してあげるというものです。
これなら客のニーズにこたえながら、自らが必要以上の負担を負うことなく、客に感謝してもらえる。

どうしても勤め人には権限の限界があります。
しかし逆に言えば権限の中でなら何かをしてあげることが出来るはずです。

この本はその権限の中での何かを考えるのに充分な情報を提供してくれます。



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新ルパン三世4/モンキー・パンチ
床屋の待ち時間にルパン三世の漫画版を読破してみました。

読んでみると、やはりアニメとは違う。
アニメのルパンは表社会に混じって暮らしているルパンの姿が描かれていますが、原作のルパンは思い切り裏社会を生きる男。
急に抱いていた女性を殺されたり、命を狙われたり…。
ちょっと雰囲気が違っています。

後、性行為に関してはアニメ以上に貪欲。
この四巻だけでも三人の女性をものにし、一人は未遂まで及んでいます。
♂♀マークが持つ意味はアニメファンには判らないはずです

注目作品は幼い頃の友人との戦いを描いた『だんまり』。
幼い頃、そして思春期のルパンの姿が描かれています。
無邪気に遊びあった頃、そして不意の事故で死なせてしまった愛しい人…。
そして衝撃のラストは切ないものでした。
何一つ言葉が登場しない作品だけに、かえって胸にしみます。

もう一作は『五右ェ門流し』と『五右ェ門星』。
二話完結の作品で、ある刀鍛冶が、自らの死までにどうにか五右ェ門の持つ刀以上の刀を作ろうと画策する物語です。
この作品に登場する彼の刀の名前は『流星』。
斬鉄剣ではないんですねー。ちなみに製法は隕石(=流れ星)から作ったというものでした。



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プロジェクトX6 伝説の深き森を守れ ~世界遺産屋久杉の島
そりゃ、屋久島で暮らしたいと思ったからよ。屋久島で子育てしたい、屋久島で次へ次へと代を送って生きたいと思ったから、ただそれだけ、単純な話さ

今では世界遺産に登録され、大いなる自然の神秘を今に伝える重要な場所として多くの人々に感動をもたらす屋久島の屋久杉。
しかし同時に上質なその杉は建材としての需要も高く、伐採の危機にさらされたいたのです。
今やそのような危機があった事さえ知らない世代が増えてきたのではないでしょうか。
この作品ではその危機へ立ち向かった『屋久島の生活を守る会』、そしてその中心となって活動した二人の若者へスポットを当てて、保護から世界遺産登録までの道のりを追いかけます。

中心人物となったのは兵頭昌明さんと柴 鐵生さんという二人の若者です。
実は両名ともこの活動を思い立った時には屋久島を出て、東京で暮らしていたといいます。

この部分だけを知ると意外な気がするのですが、もう少し読み進めてみると島を出た人間だからこそ現実が見えたという事が判ります。皮肉なもので、現地に居る人たちは自分たちこそが一番今いる場所が見えていると信じて疑いません。
今のように観光の需要があるわけではない屋久島は産業的に恵まれているとは決して言えない島です。なので九割以上にも上る山林を利用した林業で多くの島民が生計を立てているという現実があります。
そこへ外から屋久島の自然を、山林を守ろう!伐採をやめよう!と投げかけても、そう簡単には通用しません。事実、二人も活動に専念するために東京での生活を捨て、屋久島へ戻って長期戦へ備えています。

さてこの本の中では近代化によるバランスの崩れた伐採にも触れられています。
屋久島の伐採自体は江戸期より行われてきていたのですが、当時の技術力の限界から大人複数人が10日も掛かって一本をようやく倒すという程度の規模であり、なおかつ神木としてあがめられていた屋久杉を倒すたびにお祓いを行い、新たな苗木を植えていました。
それがチェーンソーなど機械化が進み効率が上がり、また林野庁の方針でこれまで屋久杉小杉(樹齢1000年以上の杉が屋久杉であり、それ以下の杉を小杉と呼ぶ)を分けて考えていたのが撤廃され、すべてが一般材木として伐採され始めたのです。

国有林とされ、林野庁の元で伐採が進められたことで島と島民との共生が崩れてしまったのです。

僕たちは科学が進歩して、いろいろなことができるようになりました。
昔、専門の林業従事者たちが何日も掛かって切り倒していた屋久杉。
今なら、おそらく少しやり方を教えてもらえば僕たちでも屋久杉をその時代より早く切り倒すことができるのでしょう。
しかしその代償としてバランスを崩してしまった。

そしてその結果、台風の直撃を受けた伐採地で土砂崩れが発生してしまいます。
これまで森が台風の被害から人々を守っていた事に、そして『島と森は一つだ』という事に人々が気づき始めたのです。

科学は進歩なのでしょうか?
こうした本を読んでいると時々判らなくなってしまいます。



今回、記事作成に当たっては電子書籍のスペースタウンブックスさんで購入しました。


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不思議な島/芥川龍之介
芥川龍之介さんの、ちょっとファンタジーっぽい作品です。

主人公は船旅の途中にサッサンラップという島に立ち寄る。
そこはまるで島中が野菜に覆われているかのような農業が盛んな島で、島民達はみなそれぞれに余剰が出るほどの農作物を算出し続けている。
その破棄された野菜は2万フィートも積み上げられているのだ。

彼はそんな島で『何が優れた野菜か?』にまつわる人々の様々な意見を耳にするのだった…。

要約してしまえばこれだけの物語ですが、実に風刺たっぷりの作品です。
野菜の『善悪』に秘められた言葉は、様々な価値観そのもの。

結局、人々は答えの出ない議論に走りがちです。
この野菜にまつわる善悪を読むと、多くの人は『馬鹿らしい』と思うことでしょう。
でも少しだけ省みてほしい。
社会なり、世界なり、日本国内なり、そして自分自身の交友関係なり…。
必死に答えを出そうとあがいているその事も、冷静に距離を置いてみたら『馬鹿らしい』のではないでしょうか。

答えを一つにしようとすれば、どの野菜が良くて、どの野菜が悪いのか…その程度の議論にしかならないこともあるのです。

しかし、この本の最大の驚きはそれだけではない。

ネタバレ等は続き以降で。
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色の事典/小島尚美
色に関する基礎的な情報をまとめた一冊です。
Web用とかデザイン用とかインテリア用…というわけではなく、全般的な知識向け。

それぞれの色が持つイメージ、そしてこの色とこの色を組み合わせるとこうなりますよとか、その考え方をインテリアに向けてこういう風にすればこういう部屋が出来上がりますよ、こういう効果がありますよ…としたり、ファッションの組み合わせで男女別にこういう風に組み合わせてみてはどうでしょうか…といった情報が詰まった一冊。
特にファッションに関しては好きな色ばかりを選びがちな人も多いはず。
この本でおかしくない組み合わせをチェックしながら色々なカラーの洋服を試してみるのも面白いかもしれません。
そしてもう一点面白いのが、それぞれの色に対して料理の紹介もされている事。
盛り付け方や食器の配色…ちょっとした事で食欲が増大するかもしれません。

僕はトマトが苦手でサラダを食べるたびに苦戦していたのですが、これは『緑に対する補色の赤』という効果があり、緑だけでは食欲を刺激しないのを補う為に赤を取り入れるそうです。
なるほど、こういう知識があればちょっと外食に行ってみるとレストランがそういった技術をたくみに取り入れている様子が伺えます。

色の基礎知識の面では『対比』が興味深い。
色の組み合わせ方によって、何色を際立たせるのか?も変わってきます。
たとえば赤を目立たせようと思えば、赤とは違う色相の色(補色)を持ってくることによって、同じ赤でもまぶしく見えるように作る事が出来ますし(補色対比)、同じ配色でもマークを小さくすればより濃く見えます(面積対比)。
僕はWebサイトを作る事があるのですが、そこにおいてもこの対比は大切。
最近ではブログなどでもカスタマイズ機能が充実していて背景色なども好きに選ぶ事が出来ますが。よく色相の同じ背景で文字を持ってきて非常に読みづらい状態になっているサイトを見かけます。
おそらく好きな色同士を選んだ結果なのでしょう。

簡単な事典ではありますが、自分のインテリアや服装、サイトなどを省みながら読んでみると面白いかもしれません。意外と一家に一冊あれば便利な本かも!?



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石燈籠(半七捕物帳2)/岡本綺堂
半七捕物帳第二話です。

第一話でおじさんから半七の物語を聞かされた主人公。
時は流れて、この第二話から主人公の半七本人が自ら携わった事件を披露ていく形になります。

さてこの『石燈籠』は半七が道楽癖から家を飛び出し、神田の吉五郎と呼ばれていた岡っ引きの手先としてその仕事を手伝う役割を担っていました。
この身分ですが、それほど給料が良いわけではない岡っ引きの下で働くので余り給与体制がよくないようで、何かと岡っ引きの親分に面倒を見てもらうような身分になるそうです。

そんな半七が初めて挙げた大きな手柄―。
この『石燈籠』はそんな物語です。

菊村という古い小間物屋で番頭を勤めている清次郎という男が顔色を青ざめているのを見つけた半七はすぐにその事情を聞くと店のお嬢様であるお菊という女性が行方不明になっているというのだ。
よくよく聞くと清次郎と恋仲にあるお菊が外で逢引をして、別れてそれぞれ帰ったはずなのにお菊だけがその姿を消してしまったという。

しかしこの事件、ただの行方知れずでは無かった。
いなくなった筈のお菊が再々自宅で見かけられているのだ。
そして見かけられる度に姿を消してしまうのだった。
やがて女主人の寅が殺されてしまう。「お菊が……お菊が……」という謎の言葉を遺して。

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磨きの達人バイブル/千秋英祐(ビュー・コーポレーション)
ポルシェやフェラーリのオーナーズクラブの推薦指定工場として知られる塗装、磨き仕上げ専門の会社、ビュー・コーポレーションの社長である千秋さんが、自らの技術や考えを一冊の本にまとめたのが、洗車本としては異例の大ヒット作となったこの『磨きの達人』です。

しかし読んだ感想としては、その技術がこの一冊に…というほど重苦しい内容ではありません。
もっと基礎的な部分が中心です。
一つ一つの手順や汚れの原因、日常の蓄積などを0から見直す作業がほとんどです。

本の中で紹介されていた『黒いものはより黒く、輝くものはさらに輝くように!』という言葉が全てのような気がします。一つ一つのパーツが綺麗ならば、新車のように美しく見える。
これ、肝心なことだけど忘れがちですよね。

ボディはツヤツヤにしたけど、ホイールハウスは泥まみれ、窓はピカピカだけどピラーは薄汚れてる、モールだけは磨けていない・・・。
人それぞれに気になるポイントが違えば、人それぞれに思わず見過ごしてしまうポイントがあります。
千秋さんがこの本で事細かに説明していく一つ一つの過程は新車が使っている間に汚れていってしまう全ての部分の一つ一つの掃除方法です。
技術面で言えばモールはブラシで叩くと綺麗になる、ワックスの使い方など、意外と知られていない方法が紹介されている事や、ありがちな間違えたやり方を紹介している部分もあるのですが、その多くは基本に忠実な内容ばかりです。
驚くべきことに明日から実践してみようとするのに難しい事は何一つありません。

また意外だった部分では千秋さんというと洗車(磨き)のイメージが強かったのですが、この本を読んでいるとかなりメカニックな部分に対するこだわりも強いようで、そこも含めての磨きなんだなぁと思いました。
おそらくこういう総合的な部分があるからこそ、上記のような推薦を得られたのでしょう。
実際、単純にエンジンルームを綺麗に保っておくだけでもオイル漏れなどのトラブルが発見しやすくなるのは事実です。外から見える部分ばかりに気が行ってしまいがちな洗車好きな方にも参考にしておきたい内容です。
実は具体的な商品の紹介もあります。
ただ僕の持っている本でも平成6年と古く、紹介されているのも千秋さんが取引のある会社の商品等も含まれているものの、今それらの商品が現役なのかどうか、現役だとしてそれ以上の商品が出ている可能性等々もあるので、そこは個々人の好みで判断していくしかないのかな?と思ったりします。

そういえば後書で大成するまでを支えてくれた恋人の存在が語られています。
さてはて、その後どうされたのでしょう。そこだけがすっきりしませんでした



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GIMPフォトレタッチ完全ガイド/アスペクト
GIMPの最新バージョンがリリースされていたので、2.4.6対応の本を買ってみました。
…って思ってたら読んでるうちに2.4.7が出たましたとさ。

ただ買ってひとつ残念だったのは、この本が純粋に入門編だったこと。
内容は充実しているのですが、旧バージョンから変更点などに関する記載は無し。
ある程度比べて使っていく事で変更点に気づくしかないかな?という具合です。

その変更点のひとつに印刷向けの機能の向上が挙げられますが、この本でもGIMPを用いた名刺の作成のコンテンツがあります。用いる機能自体は写真のトリミング、リサイズ、ロゴ作成、文字エディタ…なので、別にこのバージョンじゃないとできないという物ではないのですが、ここまで読んだGIMPの本へ印刷向けが紹介されていなかったので、そうなのかな?と思ったり。

ただしこの本の基本的な方向性は基本的なフォトレタッチだと言えそうです。
他の本だとGIMPのフィルターやSCRIPT FUを用いた特殊な加工方法などが掲載されがちでしたが、この本では色の補正や汚れの除去、ピンボケの修正といった基本的な操作が中心。

よく考えて見ればフォトレタッチソフトの主な使い道は、写真へ凄い加工を施すことよりはデジカメの画像を現像する際にきれいにできるように修正する程度がメイン。
多くの人は明るさ/コントラストの修正とシャープを使う程度といった具合ではないでしょうか。
この本ではそこから一歩程度進んだ内容が充実しているので、かなり需要に即した内容になっているという見方もできるかもしれません。…まぁ、物足りなさともいえるかもしれませんが。

一番感動したのは『曇り空を青空にする』コンテンツです。
普段僕はいくつか青空の写真を合成用に持っていて、曇り空の場合には空をそのまま除去してレイヤーで空白に青空を持っていくという方法で処理するのですが、トーンカーブの修正→明るさ/コントラストの調整→グラデーションで青空描写→超新星で太陽光を再現→コピーしておいた人物のオリジナルの明るさの写真を切り抜き→晴天時に撮影したように人物を加工という方法を用いているのですが、これが妙にきれいに出来ているのです。
もちろん作成者の技術と、それに即した写真を用意したという点が大きいのでしょうが、なるほどこういう使い方も面白いなぁと思いました。

前述の通り、このGIMP2.4シリーズから使い始める人でも全く困らない内容です。
ダイアログの説明、フィルターの効果の説明などすべて写真つきで解説されているので、GIMPの性能がどこまでいけるのか?を目で確認しながら使っていくことが出来ます。
慣れてくればこの2.4よりフォトショのブラシとの互換性が出来ていますので、VECTORなどから好みのものをどんどん落としていけばいいでしょう。

さて、前々回前回と紹介した際には、素材の写真がなんだかエロいという極めて重要な情報を提供する事が出来たのですが、今回は非常に残念なお知らせがあります。
写真、全くエロくないです

モデルとして登場するのは大手モデル事務所スプラッシュ所属の藤代絵梨子さんと谷原さきさんという非常にスマートで長身なお二人。藤代さんは切れ長の目が素敵な知的美人、谷原さんは笑顔が素敵な可愛らしい女性の方です。
写真の加工を実際に試していると、ちょっとプロの写真家になった気分が味わえるような、まさに『絵になる』写真ばかりです。
期待していた物とは違うもののプロの仕事が味わえる素材になっています。

ちなみにエロはなかったけどデジタルイラスト加工のコーナーではドラゴンがつきますよ、と。



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投手殺人事件/坂口安吾
坂口安吾さんの手による本格派推理小説です。

プロ野球の投手の移籍にまつわるお金の動き、そして殺人事件を描いた作品ですが、作風の新しさに正直驚きました。
作品の初出が1950年ながら、プロ野球の移籍や女優のスキャンダルといった設定もそのまま現代の推理小説として読めるような内容で、時代のギャップを殆ど感じることなく読み進めていくことができます。

姿を消していた女優、暁 葉子はチェスターというプロ野球チームの新人王でもある大鹿投手と恋をしていた。そして一緒になるために夫と別れるのに300万円というお金が必要になった。そこで自らの事務所に前借を依頼しにやってきたのだった。
そこで相談を持ちかけられた細巻宣伝部長は考えた。
新人にして奪三振王…彼を自らのチームに加入させることができれば優勝だって夢じゃない
そこでどうにかやりくりして異例とも言える移籍金300万円を用意したのだった…。

さすがに貨幣価値の違いは避けられないですが、新人投手への300万円を出す条件として『三番にピースの国府一塁手、四番にキャメルの桃山外野手』という二選手のスカウトを成功させる事が提示されていますが、恐らく一流選手であろうと想像される彼らの移籍金がそれぞれ100万円ずつで成功している事からかなり破格なのでしょう。

さてここから巧妙に仕組まれた殺人事件が行われるのですが、この小説最大の弱点はタイトルに結論が出ていることでしょうか。言うまでも無く大鹿が死にます。
あはは…orz

ネタバレ等は続き以降で。
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犯人/太宰 治
若い者の阿呆らしい色恋も、ばかにならぬと思い知る

冒頭、決して豊かではないものの愛し合う二人を描きながらも後半は人間の殺人にいたる生々しい心理、そしてその後の退廃的な心理状況を描いた太宰 治さんらしさにあふれるミステリー小説です。

冒頭がいきなり『僕はあなたを愛しています』だったので、思わず作者名を一度確認しなおしました。プウキシンからの引用ですが、ちょっとびっくり。

前半は本当に幸せそうな二人。
でも同じ太宰 治の作風が漂っているせいか、きっとこの二人も『桜桃』みたいになるんだろうなーと、妙にうがった見方をしてしました。

タイトルどおり、主人公は『犯人』になります。

『一緒に帰れるお家があったら、幸福ね』という、女性の小さな夢を描いた言葉に触発された主人公は、姉の旦那から部屋を貸してもいいと言われていたことを思い出して姉を訪ねていきます。
しかし姉は主人公の収入が安定していないことなどを理由にそれを断ってしまいます。
ちなみに共稼ぎでどうにか頑張ると語った主人公に浴びせた姉の言葉は『女にみつがせる顔かね。』。

あぁ、そりゃ殺すわ。

ネタバレ等は続き以降で。
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奥間巡査/池宮城 積宝 
沖縄の△△屋敷と呼ばれる集落に住む人々。
そこへ豊かとはいえないその日暮のような生業をしながらも、自分達の生活が惨めだと思うわけでもなく、近所同士が協力し合って気楽に毎日を過ごしていた。

そんな集落にある出来事が起こる。
集落から奥間(うくまぬ)百歳という青年が巡査として勤務する事になったのである。
これは彼のみならず地域全体にとって栄誉な事であり、その知らせが入った時には祝宴まで催されたほどであった。集落から『官』に仕える者が出たことへの喜び、そして何かしら便利が得られるのではないかという期待もそこにはあったのだろう。

しかし月日が経つに連れて、その感情は変化し始める。

自らの仕事を全うし、更なる向上を目指した奥間巡査。
自らの同僚が家を訪ねてくることを気にして清潔にするように家族へ口うるさくなり、そして自由に集落のルールの中で暮らしていた人々に対しても『官』のルールを強要するようになっていった。
そう、彼は自らの出身に負い目を感じるようになっていた―。

この辺りの描写は、おそらく同時代の日本の各所で程度の差はあれど見られた風景なんだろうなーと思いました。小さなコミュニティの中で許されていた『慣習』へ、公的なルールが持ち込まれれば、伝統と干渉し合う。
興味深い描写だと思います。

しかしそうして自らの劣等感を補うかのように集落の人間に公的なルールを求める一方で、同僚の巡査に対しては『ほんとうの友情を見出すことは出来なかった』。

彼は孤独を感じていた。
そんな時に出会ったカマルー小という女性を、彼は彼女を『買った』のだった。

ネタバレ等は続き以降で。
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ホームズ氏、原作者問題を解明す/J・K・バングズ(シャーロック・ホームズの災難 下)
探偵・シャイロック・ホームズ

日本でもユーモア作家として知られているジョン・ケンドリック・バングズさんは、かつて色々な新聞で『シャイロック・ホームズ―その遺作回顧録』という題名の贋作ホームズを発表されていたそうです。
しかし単行本としてまとめられる事はなく、大半が行方不明になってしまったという幻のシリーズからの一作です。

作品のテーマは題名からも推測できるようにシェークスピアの正体に関する物語です。

かの有名な劇作家であるシェイクスピアですが、実際にどのような人物だったのか?は謎に包まれている部分が大半です。
その誕生日として知られる4月23日という数字も洗礼の儀式から推測されたもので、その経歴には空白が目立ちます。
これは当時の中流階級以下の身分の人間の公的な記録が残されない傾向にあったということもあるようですが、ここから『シェークスピア別人説』と呼ばれるシェークスピアの正体を探る考えが出たのです。
シェークスピアは普通の中流家庭の人物で、誰かが彼の名前で作品を発表していた?や、何名かの人間が共同でペンネームとして用いていた…等、未だに議論がされています。

この作品でタイトルの中に暗号として隠されている!と主張したエリザベス女王の『フランシス・ベーコン』説もその有力な候補の一つとして知られています。

この作品で、ホームズがその謎へ挑む…。

ネタバレ等は続き以降で。
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未知の人、謎を解く/J・K・バングズ(シャーロック・ホームズの災難 下)
最初期のホームズパロディの作品です。
なのでホームズが死後の世界で活躍という設定自体はたまに見かけるものですが、この時のホームズが死んだのは寿命ではなく、『最後の事件』での転落事故によってです。
まだまだドイル自身さえもホームズの生存を知らない時期です。

ユーモア作家編だけあって、設定もハチャメチャ。
自尊心の高い著名人の霊魂と交際することを否定されたキャプテン・キッドの霊魂が、彼らのハウスボートを女性たちごと奪い去ってしまった為に男のみが残された…という事件です。

そこで彼らは船を取り戻すために頭をひねるのだが―。

ノアにソクラテスに孔子にクリストファー卿、ルコック…。
個性豊かな著名人たちの議論は混乱を極めてしまう。

そんなとき事態を打開した一人の人物…。
それが未知の人だった。

ネタバレ等は続き以降で。
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愛読書の印象/芥川龍之介
非常に短いエッセイですが、芥川龍之介さんの好んだ著作について語られた非常に興味深いエッセイです。

まず初っ端から意外だったのが子供の頃から愛読し続けているという『西遊記』や『水滸伝』。
前者に関しては西洋にはこれに匹敵するものが無いと語り、後者に至っては108人の豪傑の名前を全て暗記するほどだったとか。
この二つの本は冒頭で登場するものの、非常に印象的でした。
芥川龍之介の印象と全く違う内容…。ただ確かに初期の古典をリメイクした作風の中から、こういった趣向の影響が見られないこともないかもしれない。この当時にどういう表現をしていたのかわからないけれど、こういった愛読書を念頭においてみると、初期の作品にはファンタジー的な要素を含む物も少なくないのかもしれない。

中学時代の愛読書はイメージに近いものがあるかもしれません。
徳冨蘆花さんの『自然と人生』や小島烏水さんの『日本山水論』等を愛読していたそうです。
ちなみに後にお師匠さんとなる夏目漱石の作品では『猫』を愛読していたとの事で、他の巨匠を『○○氏』としていたのに対し、漱石に対しては『夏目さん』という呼称を用いています。

このエッセイを読んでいると素の芥川龍之介が見えてくるようでちょっと面白いです。

しかし高校卒業~大学卒業辺りの時期ではジャン・クリストフ(ベートーベンをモデルにしたといわれる示唆的な要素の強い社会派の長編小説)の影響で趣味が変わってしまったそうで、ミケル・アンジェロ風な力を持っていないと『すべて瓦礫のように感じられた』との事です。

しかし締めではそういった作風の好みから、段々と『静かな力』を持つ作風に惹かれていっていると語っています。

やっぱり幅広く読んでらっしゃるんだなぁと思いました。
その時々の影響で読む作品や、それに対する評価が変わっていく辺りは一般的なイメージとは違う、人間らしい芥川龍之介さんの姿が垣間見えます。

静かな力を持つ作品というのは、そのまま芥川龍之介さんの作品へこめたメッセージなどの伝え方に当てはまっているような気がします。ファンならこういった軌跡を追ってみるのも面白いでしょう。
いくつかの作品に目を通してみるだけで、他の作品に対する印象が少し変わったりするかもしれません。



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