本の虫、中毒日記

読書感想文、乱発中。

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Fujisaki

Author:Fujisaki

基本はシャーロッキアン。
でも雑食の本の虫。資格からマンガまでそこに文字がある限りっ。

紙魚、コナチャタテとはちょっと違う本の虫ですので、駆除はご容赦下さい。

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まだある。 今でも買える“懐かしの昭和”カタログ 生活雑貨編 /初見健一
1960~70年代、いわゆる高度成長期に発売された生活雑貨・日用品を中心に、思わず「え?これまだあるの?」と叫んでしまうモノ100点を選出したという本です。

要は定番商品の中からパッケージがほとんど変わらないものをセレクトした一冊です。
例えば未だに定番のブタの貯金箱、ちなみに名称は『ピギーバンク』。1965年ごろに発売されたもので、多産なブタにあやかった欧米の習慣に倣って作られたもので、そもそもは国内ではなく輸出用に作られた商品だそうです。
ちなみにブタの貯金箱を割るというのが思い切った買い物をする定番のシーンとなっていますが、実物にはお金を取り出す口が付いており、著者からは『くれぐれも早まったマネはしないように』との注釈付きです。

商品郡としてはデザインよりも性能重視の商品が多い事でしょうか。
その機能ゆえに定番商品として定着し、デザインの変更を行う必要も無くそのまま現在まで販売され続けている、といった物が多いようで、煙草のヤニを取るというスーパー25のように外見のみならず価格まで登場以来据え置きというツワモノ商品もあります。
ただ全く当時のままという商品もある一方で、キンチョールのように、見た感じは生まれた頃からそのまま残っている商品でも、実はニワトリのイラストが変化しており、キュートだったりリアルだったり…という時代を経て、現在の精悍な顔つきに落ち着いたそうですが、もしかするともう何年か過ぎて手にとって見ると大きな変化が…!?
ちなみにキンチョール、語源はキンチョー+オイルからの造語で、米軍がジャングルでの戦争向けに開発した殺虫剤の技術を参考にして開発されたという本格派の商品です。

ここで紹介している商品の中には、一部にはメーカーが伝統として残しているものもあるようにも思いますが、もうデザインを変えない事が一つのステータスに至っている商品ばかりだなぁと思います。
お店で商品を探していて、『いつものアレ』が目に見える、そうすると安心して手を伸ばしてしまう…。その水準にまで至ったからこそ、こうして『まだある。』んだなぁと痛感させられました。
さて、これらの商品は僕らが年老いてしまうまであるのでしょうか?
そして今年出た『新商品』の内、幾つが『まだある。』のでしょうか。



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大人もぞっとする[初版]『グリム童話』/由良弥生
初版のグリム童話というのは現在に伝わるのとは似ても似つかないような残酷な表現を含むものでした。
それが新しく改筆されるたびに少しずつ表現が緩やかになり、今のような形にへと変化していきました。
これはグリム童話に限らず、例えば現在では老若男女がほのぼのと見る事が出来るTVの時代劇でも古いものになれば意外と残酷な表現が飛び出す事も少なくなく、そこには価値観の変化などもあるのかもしれません。
特にグリム童話が日本に伝わるまでに、グリム兄弟が執筆してから100年以上の月日が流れていたのですから…。
例えば最初に紹介されているお菓子の家で有名なヘンデルとグレーテル
生々しく表現される魔女殺害のシーン。
魔女の正体が母親であることに少し気づきながらも、グレーテルの反応は冷笑を浮かべて『いい気味だわ』。
しかもこの物語で彼らが殺した母親の初期設定は現在に伝わる継母とは異なる『実母』なのです。
この辺りには現在とは違う時代背景などもあるようですが、作品自体のイメージが大きく異なる初版でした。

今回、由良弥生さんが執筆したのは、グリム童話の初版~その物語の根底にある思想といった順序で紹介していく本です。
判りやすかったのはトゥルーデおばさん
これは周囲が行く事を禁止しているトゥルーデおばさんの家へ行った少女が、魔女である正体を見てしまった為に薪に変えられて暖炉に放り込まれてしまうという物語。
この物語に対する由良弥生さんの研究から出た結論は、言う事を聞かない子供へ対する『親の暗い愉悦』。
言う事を聞かないとこんな事になる…という教訓的な内容と同時に、この物語での魔女がいう事を聞かずに自らの元を訪れた少女を断罪するという展開を親が楽しむ―そんな要素もあったのではないだろうか、とのことです。
こ、こわっ。

他に紹介されている作品は以下。
・長靴を履いた猫
・わがままな子ども
・灰かぶり(シンデレラ)
・千匹皮
・赤ずきん
・ガチョウ番の娘
・兄と妹




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おまえがこの世に5人いたとしても 5人ともこの俺様の女にしてみせる/三代目魚武濱田成夫
俺は俺と毎晩乾杯しとる

自分を讃える詩を創る三代目魚武濱田成夫(さんだいめうおたけはまだしげお)さん。

タイトルどおり、もうそれが全て。
自信たっぷりの『俺様』、そして溺愛する『おまえ』。
繊細に心をそっと撫でていくような優しい詩もあるけれど、これほど断定的に言い切ってしまう世界観もいい。自分の気持ちから装飾を全て取り除いたような清々しい世界観です。
だからこそ、彼は自分の気持ちや想い人を月に例えるのではなく、『満月などいらん君が欲しい』と言うし、『俺は君の書いた字までもを愛しとる』ともいいます。
こういうものを読んでいると、時に言葉はむき出しの状態の方がよく響くような気さえしてきます。

ちなみにタイトルになっているのも彼の作品の一つですが、これ…実はバリエーションがあって、最大で『おまえ』が1001人まで増えます。
ちなみに著者曰く『1001人までやったらだいじょうぶや』との事。…って、コレを聞いて誰が誰が安心できるんだ、誰が
ちなみにこの数のシリーズにはもう一つあって、俺。という言葉を重ねただけの『○○俺』という作品もあり、こちらは『おまえ』より許容範囲が広く、最大で『1261俺』まで増殖します。
ページ中、俺が並ぶだけの作品。
この人、もう何でもアリ。



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すぐに役立つはがきの書き方実用文例集/薬師寺 真
そこには゛心"の交流があります。電話にはない、はがきの大きな効用のひとつといっていいでしょう。

手紙の文例集ですが、この本の特徴は『ハガキ』に絞っているところです。
便箋に好きな要領でつづる封書とは異なり、文字数にサイズ上の制約が付くハガキだからこそ、簡潔かつ充実した内容でなければならない。
僕自身がそうですが、どうしても文字数の制約に気を取られて必要最低限だけの事務的な連絡になってしまう。かといって内容を…と思うと、文字数が足りなくなってしまう。そんなジレンマに悩まされます。
そうしたケースに応えてくれるのが、この一冊です。

ハガキで出来る『心の交流』。
そのために必要な文例が紹介されています。

本編は二部構成。
まずPart1では基礎が紹介されています。
たとえば最近ではPCで処理することも増えてきた表書きの書き方。文字スペースのバランスなども、改めて言われると、丁寧な人のハガキはそれに沿って作られているし、筆まめ、筆王などといったソフトもそれに準じたレイアウトをしてくれていることに気付かされます。
また前文(拝啓といった言葉や、時候の挨拶)の書き方、結びの挨拶、また表書きでもされていた文字バランスなどが紹介されており、大体1行が17~20文字で7~10行程度に収めるとバランスがいいようです。
…もちろん、文字の大きさに気をつけなければこれさえ達成できないわけですが。
ちなみに注意事項として『最初の文字は大きいのに、最後のほうになると小さい文字になる』という、よくある症状が紹介されています。

PART2は具体的な文例集。常套句などが紹介されています。
文例によって多少の違いはありますが、一般、知人、ビジネス、友人といった具合に分けて文例が掲載されています。
たとえば寒中・余寒見舞い状の例文での、ちょっとしたフレーズの違いをご紹介。

寒中見舞いのワンフレーズ
一般1『いかがお過ごしでしょうか』
一般2『いかがおしのぎかと、案じて申し上げております』
友人『元気で頑張ってる由、なによりです』
余寒見舞いのワンフレーズ
一般『ご自愛のほどをお祈り申し上げます』
友人『猫のようにこたつで丸くなり、カウチ・ポテトを決め込んでいるのでしょうか。いけないですねェ

………。
親しき仲にも、とかなんとかそんな言葉がよぎりつつ。
様々なシチュエーション、たとえば季節の便りのほかに引越しなどの通知、案内状、約束違反の際の詫び状などが紹介されています。それぞれに相手との関係などで違う文章が紹介されているので参考に出来ます。

Eメール全盛の時代だからこそ、逆にハガキの持つ…著者の薬師寺 真さんの言葉で言えば『心の交流』の意味は重くなってくると思います。またメールにおいても、今では仕事上でもメールでのやりとりがFAXの頻度に追いついてきた感がありますが、膨大なデータを容易にやり取りできるからこそ、逆にハガキのように制約のある状態で簡潔に伝えるという技術が再評価されるべき時機にきているようにも思います。



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不思議な旅行者/怪盗紳士
僕の探偵としてのデビューは、さすがにまんざらでもなかった。』

脱獄を見事に果たしたアルセーヌ・ルパン。
正式に娑婆へ戻っての最初の仕事が、彼にとっても最初の『探偵』アルセーヌ・ルパンの仕事となりました。

友人宅へ向かう途中の電車の車室で、ある婦人と時間ギリギリで飛び込んできた男と一緒に過ごす事になった『僕』。
ちなみに最初の車室から『僕」が移動した理由は同室になった七人の紳士のうち五人が煙草を吸うというものでした。この時代でもそういう感覚は既にあったんだなぁと、妙に納得。

『僕』が同室したときも不安そうにしていた婦人は後から来た紳士にも非常に不安を覚えているようだった。彼女がそうまでも怯えている理由は…脱獄したアルセーヌ・ルパンが同じ列車に乗っていると知っていたからだった。
ギリギリのタイミングで乗り込んできた不自然な同乗者…。

何事も無いだろうと決め込んで眠りこけていた『僕』だったが、急に苦痛に襲われて目覚めてみると縛り上げられてしまっていた。
僕ともあろう者が、アルセーヌ・ルパンともあろう者が!

ネタバレ等は続き以降で。
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空き家の冒険/シャーロック・ホームズの復活 -The Adventure of the Empty House
『最後の冒険』でモリアーティ教授と共に滝つぼの中に消えたシャーロック・ホームズ。
ワトソンはホームズの死後、その損失の大きさを感じながらも、様々な事件に目を光らせてホームズのやり方を借用して解決しようと試みていた。
そんな彼が最近いちばん興味を惹かれた事件―それは、ロナルド・アデア卿の殺人事件だった。
トランプ好きのロナルド・アデアはその日もトランプをたしなんで帰ってきた。
堅実なプレイヤーだった彼は大きな負けをすることはなく、勝利を重ねていた。死の数週間前にはクラブの常連として顔見知りだったモラン大佐とペアで大きな勝利を手にしていた程だった。
そんな彼が、密室の状況下で、頭を撃ちぬかれた死体となって見つかった。
机の上にお金が積まれて幾つかの山を作られており、トランプの勝敗の計算をしていたようだった。

この事件に興味を惹かれたワトソンは亡き友の言葉を思い出し、現場を見に向かった。
そこでワトソンはある老人にぶつかって持っていた本を落としてしまった。
ちなみにここでワトソンはすぐに詫びたのだが、老人が無愛想に立ち去ってしまったのが気に入らなかったのか むさくるしい老人だの、貧しい愛書家だのと相変わらず毒の効いた表現をしています。

しかし家に帰ってみると老人が尋ねてきたのだ。
先ほどの非礼を謝りに後を追ってきたのだ。

近所で本屋を営んでいるという老人は、ワトソンの書斎の本棚について語り始めた。
そして彼が本棚の隙間を指摘されて振り返って、顔を戻したとき―。

老人は消え、そこにはシャーロック・ホームズが笑いかけていたのだ。

ネタバレ等は続き以降で。
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桜桃/太宰 治
子供より親が大事、と思いたい。子供よりも、その親のほうが弱いのだ
太宰 治さんの代表作の一つ『人間失格』に一緒に収録されている『桜桃』。
『おもてには快楽』を装う『私』の家庭を描いた作品で、初めて読んだのは文庫版の『人間失格・桜桃』ですが、時期的には人間失格の直前の作品です。

一見、どこにでもあるような家庭。
一男二女に恵まれた夫婦は喧嘩をする事もなく、父親は冗談を言って場の雰囲気を和ませる。

しかしその実情をよく覗いてみれば、夫婦は長男の発育不順に触れることの出来ずにいるし、楽しい父親もその無い真意は『心がどんなにつらくても、からだがどんなに苦しくても』必死に雰囲気を和まそうとしているし、冗談の合間に『涙の谷』などと皮肉めいた言葉があれば、切り返す言葉に詰まってしまう。
そして、お互いに証拠固めをしているようで、相手がどれだけの手札を持って、いつ切り出してくるのか?と薄氷の上を歩くような夫婦関係―。
喧嘩をしない暖かい夫婦ではなく、一触即発を恐れてお互いに牽制しあう夫婦の姿があった。

そして『私』も、それを打開するべき方法が頭にありながら、そのように動けない。

世代的なものがあるのかもしれませんが、僕には初めて読んだときには『桜桃』の方が人間失格よりも、ドキッとした。
あたりまえに見えているものの、裏側…。
そして正解の方向だけに進めない人間の弱さ。

持ち帰れば喜ばれる桜桃を自分だけで食べてしまう…。
そんな部分が、自分自身で否定できなかったからなのかもしれません。



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いやでもわかる金融/日本経済新聞社編
本書は、そもそも金融とはで始まり、体系的に解説するよくあるタイプの本では決してありません

金融に関するテーマを『外国為替』、『国債』、『日本銀行』、『短期金融市場』、『銀行VS証券会社』の五つに分けて物語り仕立てで解説する本です。
いやでもわかるなんて義務感溢れるタイトルだけに内容は非常に判り易い。
たとえば最初歩として紹介されている為替の説明。
ある島国へ向かった実業家がリンゴを買い付けて本国へ輸入する事を思いついた。
そこでリンゴを買うわけだが、実業家は島国で信用があるわけでもなく、農家は出来れば前金で支払ってもらって安心したい
しかし前金で支払うと、何らかの不測の事態でリンゴが本国へ辿り着けなかった場合に実業家にとっては不利な状況に陥ってしまうので、出来れば後払いにしたい
この先に払って安心したい、納品が終わってから払いたいという二つの要望に応えるのが為替というシステムで、実業家は農家に対して支払う事を銀行を通して確約する。
その確約の証が『為替』であり、リンゴが無事に納品されれば農家は銀行からお金をもらえるし、お金をきちんと支払えばリンゴは実業家のものになる・・・。

このような感じで様々な事を簡単に説明しています。
ここから少し物語を膨らませて、『船荷証券』などに話をつなげたり、物語として続いていくだけでこんなに頭に入り易くなるものか!と驚きました。大学生の頃にこれを読んでいれば…と思います。

他、合間に色々なテーマのコラムがあります。
これ、正直本編よりも面白いかもしれません

例えばお札の寿命。
日銀へ舞い戻って処分されるまでの期間ですが、一万円が2~3年。五千円と千円のお札は使用頻度の高さや扱いの悪さから1年程度になるようです。
どうりで数年前にお札の種類が変わって、気が付いたら消えていったわけです。
頑張ってくれた彼らも、寿命が尽きていってしまったようです。

普段はお堅く思える日本経済新聞社の記者の方々の手による著作ですが、さすが理解しているだけに伝える事が出来るんだなぁと、ソクラテスのような事を思ってしまいましたとさ。



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楠 桂傑作集-あっぱれ こま姫/楠 桂
『八神くんの家庭の事情』などの作品で知られる楠 桂さんの初期作品の傑作集です。
サブタイトルにもなっている『あっぱれ こま姫』の四作が昭和~平成にまたぐほかは昭和60~61年の間に描かれた作品群です。
収録作品は以下。

月が消える時
双子の姉が事故で死んでしまった。
何事につけ、妹よりも好成績を残していた姉の死で、より一層自分の存在意義について悩み始める妹。
彼女は鏡に映る姉の虚像に、段々と『交代すべきだ』と思い込み始める…。

この作品、何が恐ろしいって楠 桂さん自身も双子だって事でしょうか。(楠 桂さんのお姉さんは同じく漫画家の大橋 薫さん)
ふたごじゃなければよかったのに…。そんな言葉は、もしかするとご自身も感じた事があるのかもしれませんね。

殺人注意報
強い殺意を持った人間に惹かれて、殺人を促していく存在『殺気』。
あるいじめられっこに取り付いた『殺気』だが、ギリギリで踏み切れない人間達の姿勢に『人間なんて結局弱くていいかげんな生き物』と語る。
人の気持ちの深層まで踏み込んだ意欲策ですが、最後に『殺気』が憑依したのは…?

あっぱれ こま姫』(一の巻~四の巻)
あんみつ姫を少し過激にアレンジしたような作品。
ひょんな事からこま姫のボディガードをする事になった忍び。
可憐で大胆で過激なお姫様と忍びの風変わりな時代劇風ラブコメ。

中谷君命がけ!』(Part1~2)
わたしのために死ねる?念願の彼女と付き合うことが出来るようになった中谷君だが、彼女の不穏な発言の意味を彼はまだ知らなかった…。
次々と不幸を引き寄せる彼女…。
続編となるPart2では、事故で入院している間にビルの20階から飛び降りても死なないゴムマリ状の体を持つ男に彼女を奪われてしまった中谷君が、友人にその男を殺すように脅迫状を送るが…。
まるで不幸の手紙が手元に戻ってくるように、脅迫は続いていくのだった…。



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私のいちばん好きなアルバム/角川mini文庫
200円で買えるお手軽サイズで活字離れの情勢を打破しようとした角川mini文庫。
この『私のいちばん好きなアルバム』は、『月刊カドカワ』で様々なアーティスト自身が『いちばん好き』と言えるアルバムについてを綴ったエッセイで、1988~1996年までを収録しています。
大半はミュージシャンの方ですが、初期の頃には作家さんも混じっています。

読んでいて興味深いのは、意外と本人がやっている音楽と懸け離れた選択をしているように見える人がいることです。
例えば当時はまだTMNの活動を続けていた小室哲也さんが上げたのはGUNS N'ROSESのデビュー作にして最大のヒット作であるAppetite for destruction
本人も対極にあると言いながらもお勧めの一曲は定番、Paradise city。
ちなみにGN'Rを知ったのは去年の暮れだそうです。規格の根底を揺るがしかねない危険な発言です。

もちろん期待通りの人もいて、例えば当時UNICORNの活動をしていた奥田民生さんは、自身が様々な場面で話している通りBEATLESの『REVOLVER』を上げています。
また吉川晃司さんはDEEP PURPLEの数あるライブ盤でも随一の人気を誇る『LIVE IN JAPAN』、電気GROOVEの石野卓球さんはKRAFTWERKのCOMPUTER WORLD、当時JUDY AND MARYのYUKIさんはレッチリなど、思わず納得してしまうところから、渋い選択や、その日の気分で毎回違う返事をしてしまうと答えたチャラさんのような返答もあります。

恐らくこのチャラさんの返答は的を得ているような気がします。
文末には掲載された号が記してあるので、同時期の作品と紹介されているアルバムとを比べてみると面白いのかもしれません。

人数が多いので、逐一あげると膨大になりすぎますが、小さな本の中によくぞこれだけ!と思わされる一冊です。
これ、角川ミニ文庫でまた出して欲しいです。



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UNICORN BEST SCORE including 17 songs
UNICORNのバンドスコアで、独自編集によるベストセレクションになっています。
彼らのスコアといえば、楽譜上でもしっかり笑いを取っていくようなしたたかな作りのものが知られていますが、この㈱東京音楽書院出版の楽譜はいたって普通のバンドスコアで、楽譜上に何か特別な記述があるわけではありません。そういう部分を外して読んでいると、あぁレベルの高いバンドだなぁと思わされます。

意図してか、意図せずか、活動の中期以降ではゴテゴテのテクニックを見せ付けるような機会は見られなかったものの、細かいところに仕組まれたギミックや、過去の名曲を髣髴とさせるようなフレーズなど、寧ろ興味深く、職人の仕事を見せられたような気になります。

選曲は独自編集ですが基本的には解散時に発売された、THE VERY BEST OF UNICORNに準じるような内容で、新旧を問わずに収録されています。
楽曲のパートごとに解説が加えられていますが、ちょっとご紹介。

IM' A LOSER:ギターソロの解説『とにかくSoulフルにがんばろう!!』そのSoulフルのやり方を人は求めているような気がする。
素浪人ファーストアウト:シンセサイザーの解説『やはり本物を使った方がよいと思うのだが
ヒゲとボイン:曲全体についての解説『いたるところに音楽的なシカゲがしてあるなにが潜んでるんだ、この楽曲
働く男:曲全体についての解説『ユニコーンらしい五目飯的な曲
服部:ギターの解説『Let's Rock!!』落ち着け。
大迷惑:曲全体についての解説『いわゆるひとつの、「大迷惑」にならないよう』誰が上手い事言えと…('A`)人('A`)

でもこういう雰囲気、好きです。ちょっと判りづらいけど


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バスカヴィル家の犬 -The hound of the Baskervilles
シャーロック・ホームズが滝つぼに消えてから現実では8年が経った頃に出版されたシャーロック・ホームズの長編物語です。長編としては唯一、前編と後編に分かれない純然たる長編ですが、ホームズの復活というわけではなく、ホームズの存命中の時期の物語として発表されました。

この作品で注目は、なんと言っても名探偵ワトソンの冴え渡る推理でしょう!
バスカヴィル家の犬』の物語において、ワトソンはついに主役の座を射止めたのである。物語の中盤まではワトソンの活動と推理が満載、しかも(意外と)外れてない
ワトソンファン垂涎の展開となった経緯は以下の通り。

ある朝、ワトソンは昨晩訪れたものの面会できないまま立ち去った依頼主が置き忘れたステッキを手に取っていた。そこには依頼主の名前であろうと思われる名前と、ステッキの贈り主と思われる頭文字が刻まれていた。
ホームズに求められるまま、ステッキから推理を始めるワトソン。
その推理を聴いたホームズはシャーロッキアンの間ではよく知られる名言を残します。
きみは習慣的に自分自身の才能を見くびりすぎているきらいがあるよ。君自身は輝かないまでも、少なくとも光るを伝える能力はあるんだ。(中略)天才を刺激し、発揮させる異常な力を備えているものだ
こんな言葉と共に謝辞を伝えられたワトソンは『ひどくうれしかった』と感想を漏らすのだが、一瞬の後には『君の下した結論は大部分まちがっているよ』との返答をくらい、撃沈されてしまいました。

その依頼主が再訪してホームズへ伝えた事件とは…。

ある地方に住む富豪、バスカヴィルが急逝したのだ。習慣にしていた夜の散歩に出たまま、戻ってこず、主人を探しに出た執事が、恐怖に歪んで人相の変わり果てたチャールズ卿の死体を発見したのだった。
世間的には心臓麻痺とされたその死だったが、依頼主であり、チャールズ・バスカヴィルの友人、主治医だったジェームズ・モーティマは一つだれにも言わずにいた事実を打ち明けた。
死体のすぐそばに、巨大な犬の足跡が残ったいたのだ。
それはまるで、バスカヴィル家に伝わる魔犬の伝説を彷彿とさせるようだった。

そして子供の居なかったチャールズ卿の正当な相続者として、ヘンリー・バスカヴィルが見つかったのだが、巨万の富があること、バスカヴィルの後継者がいないとチャールズ卿の手がけてきた公共事業が水泡に帰してしまう事と、バスカヴィル家に伝わる悲劇の歴史のどちらを重視すべきかを判断付きかねていたのだった。
事実、ヘンリーの元には新聞を切り抜いた文字で来ないようにと警告を促す手紙が届けられていたし、ベーカー街の下宿を出た二人を尾行する影があった。

そこで、ホームズは提案したのだ。
自分が事件の調査をしている間、いつでもヘンリーを守れるようにバスカヴィルの館へワトソンを同行させることにした。そしてワトソンはその間に起こった出来事をホームズへ伝えるという大役を担ったのだ。

頑張れワトソン、普段の屈辱を晴らすときはいまだ!

ネタバレ等は続き以降で。
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ダウンタウンモグ1/古谷三敏、市原吉之
『秋の葉に ついさそわれし 村はずれ―源水』
電気も通じていないような田舎に引っ越してきた芹沢一家。
そこで出会ったモグラのような生き物。
彼らは人の言葉を話し、そして彼らがやってくる地下の世界には日本に勝るとも劣らない大都市が広がっているというのだ。
人間界と、彼が住むモグの世界…。ノヒヒン、メランボ…どこかで見た事のある、見た事の無い食べ物や道具の数々。
二つの感覚が織り成す異文化コミュニケーションを描いたなんとも不思議な物語です。

これは僕の記憶が確かなら週刊女性に連載されていたものです。
すごい昔―。
親戚が客商売をしていて、その待合室においてあったのですが、余りに突拍子も無い設定に妙に記憶に残っていたので、通信販売で単行本を購入してみました。

最初の出会いから読んでも、実に不思議。
三匹のモグとの出会いからはじまる、個性豊かなモグたちとの交流。
どこにでも居るタイプの人間のような、モグ。
ありきたりな日常でも、ちょっとモグを交えてみてみれば、なんて不思議で、なんて面白そうに見えるんだろう。



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宇野港物語/山陽新聞玉野支社
岡山県の南端に位置する宇野港。
古くは香川県と岡山県とを結ぶ宇高連絡船の窓口として栄えた港です。
この本は本州と四国を繋ぐ三つの橋の内、最初の一つ…香川県と岡山県を繋いだ瀬戸大橋完成を受け、その役割を変えていくであろう宇野港のこれからを見据えた上で、これまでの宇野港の歴史を保存しようというテーマで作られたものです。
将来を語るとき、過去を知らずには語ることはできません』。
自動車と電車の併用橋である瀬戸大橋完成に伴い、JRは連絡船を廃して瀬戸大橋線をスタートさせます。その一方で宇高国道フェリーなど、瀬戸大橋と並行して本州と四国の玄関口としての役割を引き続きになっていく宇野港。
橋と船。二つのルートをどう両立していくのか…。
それを語るとき、まず宇野港の成り立ちを追いかけてみようではないか、それがこの本の主題です。

宇野港が開発される前夜の物語として紹介される冒頭のエピソード…それはまだ宇野が港ではなく、一面に広がる塩田で栄えていた時代まで遡ります。
この土地に訪れた西郷従道さん(西郷隆盛さんの実弟)の目的は、軍需や科学の発展に伴う鉄の需要増加に伴う国営製鉄所の増設をする為の候補地選びでした。
塩田を利用すれば充分な土地も確保でき、また水深などの面からも充分な立地条件を備えた当時の宇野でしたが、石炭の産地から遠い為に選ばれませんでした
しかしこの調査は宇野という場所の利用価値の高さを知らしめるのには充分な出来事で、宇野港建設への機運が高まるきっかけとなったのでした。

ちなみにこの時、幾つかの候補地から選ばれたのは八幡。
後の八幡製鉄所です。

この本はこの後の宇野港開港へ向けた動きを中心に収められています。
今でこそここに港があれば便利だというのがわかるものの、開港にこぎつけるまでには大変な苦労があり、その様子も描かれています。その時に強引なまでに尽力して開港にこぎつけたのが当時の桧垣県知事。
彼は県議会での否決を『県の公益を害するもの』と切り捨て、時間稼ぎの長演説で審議未了に持ち込み、そして最終的に原案執行で、宇野港の建設をスタートさせたのです。
…まぁ、一通りは結果オーライとして、この人政治家としてどうなんだろう

ところで本四三ルートが完成するまで宇野港は本州と四国の玄関口として広く知られていた為に、一部に『宇野市』という地名を誤って覚えてしまっている方が見られます。
これに関して、昭和十五年に宇野町と日比町が合併する際にも宇野の住民は『宇野市』を願っていたようで、玉と宇野の一字ずつで作った合成地名『玉野』には日比町住民が納得せず、妥協案として『日野玉市』などというヤケクソな提案がなされるまでに混乱を極めています。
混乱の挙句、県知事が内務省へ出向き、八月三日には玉野市と決まりました。
当時の政治家って、結構押しが強いんですネ

その後、戦争や結果的に瀬戸大橋建設のきっかけとなった紫雲丸事故、そして瀬戸大橋完成まで様々に揺れ動く宇野港の歴史が綴られています。

そして―。
宇野港の新たな展開を模索する人々。
瀬戸大橋完成後にはしまなみ海道、鳴門大橋の完成も待ち構えている。
そんな時代が到来したとき、宇野港の役割は一体どのようなものになるのだろうか…。



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爆笑問題の日本原論/爆笑問題
もし、世の中が、私たち以上のバカを言ってしまったら、私たちはどうすればいいのでしょうか?
 それ以上のバカを言うより仕方ありません
。』

爆笑問題の十八番、社会風刺を利かせた漫才を再現した一冊です。
事実と違うことのない漫才』と称した、社会に溢れる悪いジョークのような事件の数々。
そうした出来事に対して、世の中という漫才師に勝てるかどうかの挑戦として、社会で起こった事実の数々に、事実ではない漫才師の漫才を織り交ぜながら解説するといった姿勢をとった本です。

例えば村山元首相がナポリサミット開幕直後の食事会で体調を崩して入院してしまった事に対して、『世界のトップが集まってる目の前で外国の飯食って下痢して見せたら、誰も食い物輸入しろって言えなくなるだろ』と茶化して見せたり、1995年の日米自動車交渉の際、CIAが日本側の電話を盗聴していたという報道に対しては『〝わかりやすい政治〟ってヤツだね』と表現してみたり、時には読んでいる側がヒヤヒヤするような際どい発言を重ね、爆笑問題の持ち味を忌憚なく発揮しています。

ただ、僕がこの本で一番感動したのは、これだけ『バカ』を言いながらも、読み終わってみると紹介されている出来事に対して一通り理解できているという事です。
この辺りが爆笑問題の上手さだと思います。
先に紹介した村山元首相の件にしても、『下痢』などといった言葉で茶化しながらも、重要事項は一通り触れている。途中経過が笑えても、同じ結論に至っているのであれば、コレは立派に社会を知る事が出来る一冊だと紹介できそうです。



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大いなる誕生│尾崎 豊作品集/尾崎 豊
彼の愛した人々 彼を愛した人々 そして彼の死を 終わりではなく 始まりだと信じるすべての人に捧ぐ

尾崎 豊さんの18歳のデビュー直前から、死後フロッピーディスクから発見された作品までを一冊にまとめた作品集です。未発表作はオーディションで歌った『もうおまえしか見えない』、そして死後にフロッピーから発掘された『Bloodthirsty world of fault』、『Be cool』、『心は愛の上』、『Drifting of love』、そして大學ノートに綴られたタイトルさえつけられないまま埋もれていた作品が一つです。

他は既発表の作品で、アルバム収録曲はアルバム順に、未収録曲は発表順に紹介されています。

こうして紙の媒体に言葉を並べてみると、歌詞というより、哲学のような詩…僕が持っているイメージだと、ニーチェの作品集の雰囲気にているような気がしました。おたまじゃくしの数に妥協しない、はっきりと綴られる日本語たち。
改めて美しい日本語を使う人だったんだなぁと痛感させられます。

この本にはこの他に歌詞の製作過程…ノートに走り書きで綴られた完成途中の歌詞の写真が紹介されています。
既に彼の作品に触れている方にとっては、むしろこちらの方が興味深いかもしれません。
『虹』のように、発表された時点とは全く異なる状態のものもあれば、『太陽の破片』のように、『~されてしまう』としていた部分を『~されたくはない』と思い切った言葉に書き直した形跡が見られるものもあります。

また尾崎 豊さんの遺書とも呼ばれるラストアルバム収録曲『太陽の瞳』は、タイトルが『僕を知らない僕』として、ノートに走り書きされたものが残されています。

十代の教祖…。
そんな名前で知られるアーティストですが、発表順に作品を追っていくごとに見ていくと十代というよりは、その年齢ごとに感じる事を素直に表現する方だったんだろうなと、そんな風に思いました。



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環境破壊の構図を読む-地球再生への道/福岡克也
物質的に豊かになったといっても、それは大量の合成化学物質を積み上げているだけだ。』

地球環境問題の原因の一つ、『人間が得た利得が自然に還元されていない』という点にスポットを当てており、自然と人間との物質収支のバランスの回復を目指すといった内容になっています。
序章、終章を含めると全部で12に分けられた一冊は、一つの問題に対し、原因の解説を行うだけで終えるのではなく、人間と自然との物質収支のバランスが取れる事を目指した解決策を提示します。
それは例えば第11章で触れられているエコ・ビジネスであったり、第二章で触れられているエネルギーの使い方に対する発想の転換…著者の言葉を借りれば『エネルギー利用の革命』を考えるものであったり、時には第六章のように有機農業のような具体的な提示をしたり…。

環境問題を考えるとき、有名な言葉に『持続可能な開発』という言葉があります。
環境問題と開発を相反するものであると解釈するのであれば、人間は開発をやめて自然に変えればいい。
だけど、それは現実的な回答ではない。
では環境と開発の共存を考えてみればいい…。

福岡克也さんはこの本の中でその答えの一つを提示しています。
そして、その表現こそが『収支のバランス』という言葉の意味です。



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実践トレーニング古文単語600/山本康裕
苦手なのではない。やってないことの、弁解でしかない

ヤマちゃんの愛称で知られる代々木ゼミナール講師の山本康裕さんが手がけた、いまや大学受験の古文で定番となったテキストの一つです。僕も受験生の頃はお世話になった一冊です。
右ページに解説、左ページで実践問題といったスタイルの先駆けであり、新版での端書では初版から十五年の間にすっかり定着したこのスタイルの中で本書が生き残れた理由として『がんばって、語数を減らさなかった』事を挙げています。

その発言にあるとおり、この本の最大の特徴は600という数です。
この数は大学受験の為に古文の単語を学習するという範疇においては、他の参考書と比較しても少し大目の設定になっており、著者自身も150~200で受験は充分だといった論調の参考書について触れていますが、その感想は『そんなこと、コワクて言えないナ』でした。
このおっさん、古文の講師の割りに意外と可愛らしい文章を書くナ。

この数については、数が多いほうが有利なのは小学生だって知っているとピシャリ。何より現在まで定番として使われ続けている事実が、この数の必要性を物語っています。
初版は昭和五十三年。三十年もの長きにわたって愛用され続けた、数々の先輩達の保証つきのクオリティです。何よりも数があっても読むのに負担にならないように作られている事も忘れてはいけません。
判りやすい解説やイラストを交えてあるので、とても読み易い。
結果として、600も勉強した割に読み終えた後にそれほど負担を感じない。

また、時代に合わせた梃入れも行われ続けており、マークシート方式の増加を受けて選択問題を左側の問題のページで積極的に採用したり、古い版と言葉使いも変更しているそうで、現在に至るまで常に参考書としての鮮度を落とさずに改訂を続けた事も、ロングセラーの秘訣といえそうです。



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シャーロック・ホームズの恋/セナ・ジーター・ナスランド
あぁ、ホームズよ、きみもついに!自分でわかっていたかどうか知らないが、きみの行動は諮問探偵の枠を超えてしまった。心を奪われていたのだ

まず最初に断っておくが、ホームズはもうこの世にない』…こんな衝撃的なワトソンの発言からはじまる、ちょっと異色のホームズのパスティーシュです。
ベーカー街で探偵と医者が事件を追いかけていた当時から時は流れ、ホームズは天寿を全うしてこの世を去っていた。
一人残された相棒であるワトソンはベーカー街の、あの懐かしい下宿で暮らしていた。
このごろ彼を困らせていたのは、ホームズの幻影だった。
時には行き過ぎる人の中に、時には見上げた部屋に…、ことあるごとにホームズを見かけたような気分になり、慌てて駆け出す…そんな日々を過ごしていた。
ワトソンはこの亡霊を振り払う為に、自分の中でホームズと過ごした日々に決着をつける目的で、シャーロック・ホームズの伝記を記す事を思い立ったのだった…。

この辺りの描写、凄く寂しいです。
ホームズに関する書籍で、記録などからワトソンやホームズの没年まで推測した年表を見る事は珍しくないのですが、こうして『残された者』としての姿を見せられると、凄く寂しい。
年老いたハドスン夫人は視力を失い、ホームズが浮浪者の子供を集めた不正規隊のリーダーだったジャック・ウィギンズはホームズの助力で医者になっていたりと、その後の物語もそれらしく描かれています。

伝記の用意を始めたワトソンの元へ送られる警告…。
そして、部屋から奪われていく過去の事件を取り扱った資料。

それらを辿っていく内に、ワトソンはある事件、そしてある人物との出会いを描いた記録に行き着いた。
ホームズにバイオリンの指導を施し、そしてホームズ愛用のストラディヴァリウスを残していった人物、V・シーガスン。
発表されないままだったこの物語に、ホームズの残した日記を重ね合わせたとき…決して語られることの無かった『シャーロック・ホームズの恋』の物語が奏でられ始めた―。

ネタバレ等は続き以降で。
続きを読む…


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プロジェクトX-挑戦者達 男たち不屈のドラマ瀬戸大橋 世紀の難工事に挑む(コミック版)/笠原 倫
私は何を成すべきかではなく、如何になすべきかを考えればよかったんです…。ただそれだけの男です

NHKの人気番組だったプロジェクトX。
その中で放送された一つの物語…。
それが今回紹介する瀬戸大橋建築の裏舞台を描いた物語です。

紫雲丸事故の名称で呼ばれる香川県と岡山県を結んだ宇高連絡船、紫雲丸の大事故に胸を打たれた二人の男…。
一人は当時、鉄橋の工事を手がけ、自身も連絡船で修学旅行へ行ったという思い出を持つ、四国出身の杉田秀夫さん。
もう一人は紫雲丸の引き揚げにも尽力したダイバーの飯島靖郎さん。

二人が瀬戸大橋を計画段階から、漁業への影響を漁師への説得を含めて着工にこぎつけるまでのエピソードを綴った物語です。
橋に電車を通すという、四国と本州を繋ぐ橋でも唯一の機能を備えた瀬戸大橋の工事には、脱線を防ぐ為に橋をたわまない強度で作ることが要求されていました。
その為に求められるケーソンの規模は55m、15階建てのビルに相当するものでした。更にそれは誤差50cm以内に収まっていなければ意味が無い。
この世紀の大プロジェクトの所長が杉田秀夫さんであり、潮の流れの強い現場の調査をする為に求められた『瀬戸内で一番のダイバー』が飯島靖郎さんでした。

その着工の途中で杉田さんは奥様を亡くされており、病魔に冒されて余命幾ばくもない状態の奥さんからクリスマスプレゼントに『橋を見てみたい』と求められ、本社への転勤命令にも7Aケーソン設置…瀬戸大橋にとって最大の難関がクリアされるまで拒否し続けていたそうです。
その難関を越えて東京本社へ出向く杉田さんの耳には亡き奥様からのねぎらいの言葉が聞こえたといいます。

一つ興味深い記述があります。
瀬戸大橋開通の日、長い道のりを人々が歩いて渡るというイベントも行われていましたが、『だがその晴れがましい舞台に主役たちの姿はない』。
杉田さんも飯島さんも、その場にはおられなかったそうです。
僕自身も一時期、インテリア関係の仕事をしていて、店舗等を作る際に工事中の建物の中で作業をする事がありました。でも、僕らはその完成の杮落としなどのイベントに出る事はありませんでした。
出るとしても、せいぜい上司が挨拶に行く程度。

少しだけ、感じてください。
祝福の拍手を送られる事も、労い合う事もない、そんな立役者達が新しい建築物の陰に、必ず居るんだという事を。

飯島さんは早くに亡くなってしまった相棒に対して、こう賛辞を送ります。
男が惚れる……技術者の鑑。ホンモノの土木屋だったよ。』



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初心者の為のオカリナ入門コース/小出道也
オカリナは土でできています。暖かい、懐かしい土の響きをもっています。

オカリナの初心者向けの教本です。
著者の小出道也さんはスタジオミュージシャンとして知られるフルート奏者の方で、林りりこさんに師事をして、中部日本放送管弦楽団で演奏をされていた経歴があるそうです。
ちなみに巻末の略歴では発表した作品について触れています。
『オカリナ、リコーダー、ケーナなどのLPアルバムが数枚あるが全て廃盤。』…だ、そうです。
いや、LPで発表しているから廃盤なのであって、CDではまだまだ手に入るようですが、なんだか敵意を感じるな、この略歴

オカリナという楽器は運指も簡単で、比較的難易度の低い楽器ですが、ただ高音部に関しては少しややこしく、また楽器を支えにくく、上手く支えて演奏しないと音がきちんと出ません。
この本では最初は簡単な低音部のみで構成されている譜面から始まり、段々と高音部を取り入れた譜面へと移行していき、ところどころお借りなの持ち方についても記載してあるので、演奏前にじっくり譜面に目を通して行けばいいでしょう。
一冊の半分くらいまでは初日でクリアできるでしょうが、その先は多少苦戦するかも知れません。

採用されている曲も定番の日本の民謡から、となりのトトロや北の国から、B'z(May)や福山雅治(桜坂)などポップに至るまで充実しています。
ただ大人の事情とはいえ、短く編集された譜面に歌詞の記載が無いので、最初のうちはなかなか譜面がどの部分に差し掛かっているのかがつかめないのが、ちょっと残念でした。
譜面の読み方の基礎なども掲載されているので、オカリナが初めての楽器だという方にも安心の内容になっています。



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冠婚葬祭2葬儀と供養/千 登三子
冠婚葬祭についての作法などを解説したシリーズです。
2巻目は、なかなか携わる機会も無いのに、急がざるを得ない場面の多い『葬儀と供養』です。

衣装から始まり、参列する側としての作法から、自らが主催する側になっての作法などを解説しています。
前者としては服装、数珠の使い方、焼香・玉串奉奠の作法、通夜や葬儀の際の言葉のかけ方があります。
その中には忘れがちな『重ねことば』の禁止があります。
またまた、かさねがさね…。
こうした言葉は不幸が重なる事に繋がるので、弔問の際には使わないのが一般的です。
ちなみに千 登三子さん曰く言葉が出ない程度で構わないそうです。

後者の葬儀の主催者側としては、仏具の使い方や仏壇、墓石などの選び方、臨終から葬儀までの手順(手続き、役割の決め方な)、仏教、神道、キリスト教での出し方も掲載されており、仏教以外の葬儀というのはなかなか見る機会が無いので勉強になります。
また葬儀より前の段階として、菩提寺が無い家庭の為に檀家になる為の手続きも紹介されています。
これからは核家族が中心となる時代。
こうした手順を見ることなく、知ることなく葬儀を出す世帯も増えていくのでしょう。

尚、この本の初版は昭和54年。
式場に関する記載で、『仏式でも神式でも自宅を式場にするのがふつう』という記載があったり、今ではサービス業化している葬儀社についても、サービス業というよりは葬儀委員の筆頭のような表現に留まっており、時代の変化に驚かされます。
しかし葬儀社については次のような一文もあります。
現在の葬儀社は、お棺や祭壇を用意するだけではなく』この時代よりも前の葬儀社というのは、サービス業とは少し違った趣の業種だったのでしょうか。
それは反面、それだけ一般の方の中に葬儀に精通した人がいたという事なのかもしれません。それを思うと、葬儀社のサービス向上というのは、葬儀社の変化であると同時に、私たち自身の変化なのかもしれません。



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