本の虫、中毒日記

読書感想文、乱発中。

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Fujisaki

Author:Fujisaki

基本はシャーロッキアン。
でも雑食の本の虫。資格からマンガまでそこに文字がある限りっ。

紙魚、コナチャタテとはちょっと違う本の虫ですので、駆除はご容赦下さい。

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特急ワイドビューひだ殺人事件/西村京太郎
十津川警部は捜査一課の仕事―強盗や殺人が起こって初めて調査に出るという形に対して、『事件を、なぜ、未然に防げないのだろうか』という気持ちを抱き、せめて少しでも事件の芽を探ろうと、過去に成功例のある三行広告の尋ね人欄に丹念に目を通すようにしていた…と、こんな一文で始まる物語です。
ホームズもこんな作業をしていましたが、意外と犯罪の影というのは身近なところに潜んでいるのかもしれませんね。

十津川はそこで『ヒロシ 1031Dのことで話がついた。すぐ帰れ  母』という奇妙な広告を発見する。十津川は謎の英数字の組み合わせの意味するところへ頭を悩ませていたが、事件が発生した為にその思案を中断して捜査に出た。
その事件は連続殺人の様相を呈してきた。
二件続けて、殺人~家を荒らされるという事件が続いたのだ。しかし年齢等で共通点は見られるものの、被害者二人に共通する面識があるわけでも、殺される理由があるわけでもなかった。

二人の共通点を考えている中、北条早苗刑事は女性の目から見てどう思う?という十津川警部の問に対して『二人とも、男ですわ』と答える始末でした。
捜査は混沌としてきたが…その時、またしても新聞に謎の文章が掲載された。『ヒロシ  ふざけてないで早く帰りなさい  母』。
そう、刑事達も見落としていた被害者二人の共通点の一つ…それは『ヒロシ』という名前の男だという事だったのである。

ちなみにこの後で謎の英数字も解けるのですが、それに気づいた亀井刑事は何故か電話口で話さず、思わせぶりに明日、職場で話すと伝えます。
そして十津川警部がいつもより早く出勤すると、亀井刑事も既に早出しているのです。
一刻も早く、十津川に、話したかったのだろう』と西村京太郎さんは淡々と書くが…そんなに話したいなら電話で話せば良いのに…
日本警察の謎を見た瞬間でした。

実は英数字の謎…それは、L特急『ひだ』を意味するものだったのだ。
この謎を解き明かしたのは、作品にも度々登場する亀井刑事の息子、健一だった。

そして英数字の謎が解けた時、十津川警部達は恐ろしい計画が実行されつつあることに直面するのだった―。

ネタバレ等は続き以降で。
続きを読む…
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笑われるかも知れないが/原田宗典
原田宗典さんのエッセーです。
タイトルにもなっている『笑われるかもしれないが』の項目では四歳になる息子との会話の中で、思わず返答に詰まらされ、無邪気さ故の鋭い質問に慌ててしまうよくある『父親像』や、最初に書いておいた原稿が行方不明になった為に同じ内容を書き直した『家と八百万の神』と『人騒がせな神々』も収録。
こちらは原田宗典さんのエッセイの舞台にもよくなり、小説の缶詰めの場所としてもよく知られている八ヶ岳にある別荘を建てる際の地鎮祭などの儀式にまつわるエッセイ。

『叱られるかもしれないが』では、様々なテーマに対して自分なりの考えを述べる原田宗典さんの姿が見れるこだわりのエッセイ。
ちなみに『男は黙ってサッポロビール』なんだそうです。かつてのCMのコピーですが、こうしたものには雑誌などで寄せたコメントも含まれており、コピーライターでもある原田宗典さんの仕事内容が垣間見えます。

『読みたくなるかもしれないが』では、お気に入りの本を紹介。
原田宗典さんはこうした書評のコーナーをたまにエッセーに載せていますが、今回の書評の…例えば『カッチョいい色川武大』のように形容詞を冠しているように、それぞれの著者自身に対してもビジョンや愛着を持っているような、まさに根っからの文学青年がそのまま大人になった雰囲気が漂うのが心地良いです。

『言いえて妙かもしれないが』では『愛は怪しい』とし、愛という字の形が愛をややこしくしている…と語ったり、『夢を見る代わりに』では、普段の夜型になってしまっている生活の中で、旅行などで普通に夜に眠るという生活パターンになってしまったとき、眠れずに居るときに夢を見る代わりに、思い出を振り返る…そんな夜の過ごし方を紹介しています。
原田流、思い出の辿り方も紹介。

『買いたくなるかもしれないが』では、商品に対する自分のこだわりや思い出を紹介。
『『津軽』で秋田まで』では、奥さんの実家へ遅れて里帰りする様子を紹介。商品ではないものの、原田さんなりに、北へ帰る人が無口な理由を見つけています。
何故か職業病のタコの紹介もあります。
事務職にはおなじみの、キーボードによるタコを家族に自慢しようとしたところ、出かける寸前には怒りっぽくなる(頭が加熱して爆発寸前:原田宗典さん曰く)奥様や子供達に思い切り無視されたエピソードを紹介。
決して買いたくはならないが、心温まるエピソードの数々です。

解説は春風亭小朝さん。
作る側の立場からの解説は、これもまた興味深い物です。


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文庫版サザエさん45/長谷川町子
サザエさんの文庫本、45巻は最終巻になります。
時期的にはオイルショックの時期前後くらいで、戦後の騒然とした日本を生きてきたサザエさんも、この頃にはトイレットペーパーの使用量などに頭を悩ませるようになっていました。

ところでサザエさんの最終巻といえば、海外旅行が当たって出かけるものの、途中で飛行機が落ちて、家族はそれぞれ名前に当たるものへ姿を変えて海へ戻っていった…なんて都市伝説も流れていますが、原作での最終巻は、この文庫本にも掲載されているもので、昭和49年、2月21日の新聞に掲載されていたものでした。
新聞での訃報記事を見ながら、故人の座右の銘だったと思われる『子孫に美田を残さず』に感銘を受ける波平に対し、長男のカツオが『さ』と『せ』の違いだよねとおちょくる…そんなありがちな一日を描いた風景でした。

この作品の中で波平が口にした『また一つ明治の灯が消えた』。
まさに時代は大きく移り行く最中でした。
セブンイレブン第一号店がオープンし、庶民のヒーローだった長嶋茂雄が現役を引退した、そんな時代が新しい形へと変貌していく最中、サザエさんは忽然と新聞紙面上から忽然と姿を消してしまいました。
理由は作者の体調不良による休載―。
この休載は二度と明ける事は無く、何気ない一作が最終回という名前を冠して呼ばれるようになったのでした。

尚、この45巻では空いたスペースに切られ與三郎、劇作余話、文七元結、木下藤吉郎、銭形平次捕物帳というサザエさんにも通じるような和やかな時代物のマンガが掲載されています。

最後の作品だから最終回…。
ただ、それだけの事です。作者が用意した幕引など、この最終巻のどこにも載ってはいません。
寧ろ、お別れの挨拶をしなかったサザエさん一家は、日本の家庭のスタンダードとして、いつまでも人の心に生き続けていくのではないでしょうか。



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名探偵、大競演!シリーズキャラクター総登場短編集3:十二年目の帰宅/赤川次郎
赤川次郎さんが持つシリーズは多数。
この本の裏表紙によると、30年の作家人生で480冊以上の著作…だそうです。
定番の三毛猫ホームズなどは別として、どこから読み始めれば良いのか?という人も少なくないはず。
そういう方にお勧めなのが、シリーズ・キャラクター総登場短編集。短編集を集めたアンソロジーです。
『名探偵、大登場!』、『名探偵、大行進!』という先に出た短編集に続く、短編集最後となる第三作目で、こちらは先の二作に比べると、少しシチュエーションに癖のあるシリーズが取り上げられています。

短編第三作目は『十二年目の帰宅』。
真夜中のオーディション収録、主人公で役者の卵である戸張美里が現実の社会を舞台に様々な理由から様々な人物を演じるバイトと初めて出会ったのがこの物語です。
友人が受けられなくなったオーディション。
穴を開けると次以降のオーディションに悪影響を及ぼすかもしれないという願いを聞き入れ、代役として参加する事になった戸張美里。
そのオーディションは最初から奇妙だった。
…開始時間さえ、夜中の12時だ!
しかも適当にいなして切り上げようとしたのに、面接官の男は採用だと言うではないか。

ちなみに戸張美里さんがタレントのオーディションを受けない理由は足が太い。なかなかのキャラクターである。

その役割はある家庭から12年前に行方不明になった娘の役。
記憶を失っていたのが徐々に思い出し、なんと帰宅する…そんな役回りなのである。
その帰還に驚き、そして感激する母親。
娘の失踪後に再婚した義父は突然21歳の娘が出来た事にただただ呆然とするばかり。

しかし…平穏な暮らしは長く続かなかった。
急に車や暴漢に襲われる戸張美里。
行方不明になった筈のこの娘は一体どういう娘だったのだろうか?
そして誰が、何の目的でこのオーディションを主催し、戸張美里を娘として家に帰らせたのだろうか?

戸張美里の演技の果てに、隠された真実がゆっくりと開き始める。



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オリジナルクエスト ミラクルとんちんかん/えんどコイチ
名作『ついでにとんちんかん』の続編、『ミラクルとんちんかん』の番外編として作られたのが、このオリジナルクエストです。しかしとんちんかんってなぜか名作って表現が似合わんなぁ…。
いつものとんちんかんの面子に、主人公である自分自身を加えて魔王に捕らえられた王女様を助けに行くという、オーソドックスなRPGテイストの物語になっています。

しかしそこはえんどコイチさんただのRPGは描きません。
態度が大きい王様に噛み付いてみたり、見下ろし型フィールドの特徴を揶揄して、マップ上で町を踏み潰してみたり…。
丁度ネタとしてはかつてのファミコンのRPGぐらいでしょうか。
突っ込みどころ満載のゲームシステムを経験してきた世代なら『そうそう、あったあった』と頷いてしまうような内容が沢山です。

ちなみに主人公は別キャラクターになっており、間抜作先生以下とんちんかんのメンバーは『赤い月の戦士』として、勇者に同行する役割です。

大半は怪盗時代から横道にそれがちだったのでそれほど違和感の無い漫画形式で、後半でゲームブック形式の選択肢、その他にもクイズや迷路といったゲームの要素(?)を取り入れた無いようになっています。
えんどコイチさんといえば、ギャグ漫画のほかに社会風刺を取り入れた作風も得意な方ですが、この作品はギャグを通してRPGゲームというものを斜に構えてみるような、そんな作品になっており、作者らしい作品だなと思います。

他、ある事情から成仏できない人々を成仏させなければならない一家と、一人の青年との物語を描いた『なにゆえレイユ』、どういうわけか正義の味方になってしまった少年少女の活躍を描いた『ぱられるクロス』を二話、世の中の不幸を全て背負っているような怪しげな一家、闇雲家族との交流を描いたブラックジョーク炸裂の『お先まっ暗 闇雲家族』を収録しています。
なにゆえレイユは感動のストーリーで、他はとんちんかんに勝るとも劣らない勢いのあるギャグマンガです。



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フェルメール全点踏破の旅/朽木ゆり子
オランダ美術を代表する画家であるヨハネス・フェルメール
彼の作品の全てを見てきてやろうという非常に贅沢な旅を収録したのがこの一冊です。

43歳という若さで亡くなった彼の現存する作品数は非常に少なく、三十二~六点程度とされています。
しかし朽木ゆり子さんが『全点踏破の旅』と題したこの本では三十七点としています。
これについては熱心なフェルメール愛好家へ向けて詳しい解説がなされているので紹介します。

まず三十二~三十六という一般的な定説となっているフェルメールの作品数については、『フルートを持つ女』(右画像)と『聖女プラクセデス』の二作がフェルメールの作品ではないという説が強く、よってこの二作を引いた数の三十二~三十四点という数字がフェルメールの作品数として挙げられる事が多いようです。
しかしその三十四点の中にも、『赤い帽子の女』や『ダイアナとニンフたち』というフェルメールの作品ではない可能性が論じられる作品が含まれている為に、一般的に数を確定せずに『三十二~三十四』とされています。
朽木ゆり子さんはここへ疑わしいとされながらも、フェルメールの作品であるという可能性も残っている二作と、2004年に新たにフェルメールの作品リストへ加えられる事になった『ヴァージナルの前に座る若い女』を加えた計三十七点を、今回の壮大な計画の行程に組み込んで『全点踏破の旅』としたのです。

さて、本の内容ですがそれぞれの作品の描かれた背景や作品の特徴、描かれた順番などについて触れているのはもちろんですが、それぞれの作品が展示されている美術館などの場所や写真、そしてその場所へ辿り着くに至った経緯までを紹介しており、ちょっとした紀行文としても楽しめます。
興味深いエピソードも多く、フェルメールの代表作とも言える『真珠の耳飾の少女』については、デス・トンプという人物からマウリッツハイス美術館へ遺贈されたものでしたが、最初にデス・トンプがオークションで落札した時の価格は二ギルダー・三十セント。
時代は違う物の、比較対照として紹介されたユーロ導入時の交換レートは1ユーロが二ギルダー・二十セント。
現在の貨幣価値で、ほぼ1ユーロ程度の価格で取引された事になります。

また変わったところでは、フェルメールの作品数が少ないことを象徴するようなエピソードとして自分自身もフェルメールのファンとして知られるダリが、知り合いのコレクターに対して『なぜフェルメールの作品を持っていないのか』と尋ねたところ、作品数が少なくて入手できないと答え、出来ればダリに複製を作ってくれないかと依頼したそうです。
一旦はこの申し出を断ったダリですが、後年にフェルメールの『レースを編む女』を複製しています。その写真もありますが、ダリの作風も感じさせつつもフェルメールの作風を取り入れて複製したその絵を、本家と比べて見るのは、実に興味深い事でした。

尚、全点踏破の旅ですが実は三十三点しか廻っていません。
盗まれた『合奏』、事実上個人の所有物で一般公開をしていない『聖女プラクセデス』、『手紙を書く女と召使』は朽木ゆり子さんが過去に二度見たことがあるという事でスケジュールから外れ、『音楽の稽古』は展示会に出品され、朽木ゆり子さんが訪れていた時期が丁度展示会と展示会の間に当たってしまい、見る事が叶わなかったというものです。
しかしこの四点についても盗まれた合奏も含めて写真が掲載されているので本を手にすれば見ることが出来ます。

限界までフェルメール作品を堪能してもう、お腹一杯…と思いつつも、やっぱり実際に見たいなぁと、ついでに町の情景を楽しみに行きたいなぁと、そんな欲が出てくる…そんな一冊です。



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間違いだらけのクルマ選び最終版/徳大寺有恒 ⑥SUVブームの真相
徳大寺有恒さんが人生の仕事として続けてきた人気車評シリーズの『間違いだらけのクルマ選び』。
30年の歴史に幕を閉じる、シリーズ最終版は総集編でした。

第六章は『SUVブームの真相』。
機能性一番の筈だったSUV。
しかし乗用車をベースに作られた手ごろな『街乗りSUV』が手ごろな性能のSUVのブームを巻き起こし、牽引し続けている。
SUVのあり方にまで影響を与えたこうした傾向に対して、御大は『へヴィデューティーである必要なんて、なかったのか』との感想を漏らしました。
御大の言葉を象徴するように、紹介されている車種も街乗りSUVと言われる車種が並んでいます。

ネタバレとそれぞれの車種別の車評は続き以降で。
続きを読む…


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ZIGGY-HEAVEN AND HELL 天国と地獄のはざまで SIDE HEAVEN/増田勇一
先日、ふとCDショップを見ていると、ゴールデン☆ベストという商品がありZIGGYの懐かしい―彼らの送り出した名盤、HOT LIPSのジャケットが掲載されていた。
そこには初期メンバー四人が座っている。裏側を見てみれば、ビジュアル系という言葉がようやく出来るか出来ないか…そんな時代の彼らの写真がある。
…と、こんな時期に出たベストアルバム。
複数のレコード会社が協力して作ったベストアルバムの企画で、他にも様々なアーティストのベストが発売されています。楽曲自体は全ての時代…オリジナルメンバー、二人のユニット時代、JOEさんの加入、松尾宗仁さんの復帰時、津谷正人さんベース時代が含まれています。
二枚組みで、発表時期順というわけではないですが、DISC1の方が比較的古い楽曲が多く、DISC2ではSNAKE HIP SHAKES時代を経た新生ZIGGYの楽曲も収録されています。

今、このアルバムのジャケットのZIGGYは存在しない。
まずボーカルの森重樹一さんとベースの戸城憲夫さんの二人を残して、オリジナルメンバーは脱退してしまう。それからユニットとして音楽性を変えながらも活動を続け、hide with spread beaverのドラムとしても知られるJOEさんが参加。
更に数年のときを経てオリジナルメンバーから、ギターの松尾宗仁さんが復帰し、人によっては最強のメンバーとまで評される事のある面子が揃うが、このメンバーでは一枚のアルバムを残したきりで今度はデビュー以来ユニットになりながらでもZIGGYを支えてきた戸城憲夫さんが脱退してしまう。
そしてバンドはSNAKE HIP SHAKESと名前を変え、新たなベースに津谷正人さんを加えて活動…オリジナル三枚にZIGGY時代のカバーを加えた四枚を放ち、彼らはZIGGYを再び名乗る。

そんな時代の流れを舞台裏から描いたのが、ZIGGY-HEAVEN AND HELL 天国と地獄のはざまで SIDE HEAVEN。

15周年を祝って写真集と同時に発売された本です。
尚、タイトルのHEAVEN AND HELLハZIGGYが名称変更を余儀なくされたSNAKE HIP SHAKES時代を挟んで復活の狼煙を上げたシングルであり、二部に渡るアルバムのタイトルにもなったもので、天国と地獄のはざまという表現は、そのサビの部分の歌詞にも登場するものです。

バンドの代表曲の数々を表題に掲げながら、それぞれの時代を振り返る内容で、執筆者はバンドにとっても親しい関係の増田勇一さん。

初期のメンバーの分裂の原因となった不仲や、ZIGGY本体にとっても大きな岐路となった戸城憲夫さんの脱退の真相もある程度は掲載されています。
ですが、当の戸城憲夫さんはこの本に関して自身のHPにこんなコメントを寄せています。
辞めた奴には、それなりの理由があり本人だけが知ってりゃいい事だと思う。
そして、『なんか欠席裁判で戦犯にされちゃったみたい。』とも語っています。
それぞれ、想いがある故にこういう本が出ても、それが真実であるとは限らず、個々に意見はあるのだと思います。こういう本の本線とはずれるかもしれませんが、戸城さん発言はこうした噂などに対する当事者側からの意見として、意外と重みがあるように感じました。
むしろ脱退よりも、歴史として好調な売り上げの半面で等身大の自分達のサイズとのギャップに戸惑う、そんなメンバーの心境が斬新でした。

ところで、戸城憲夫さんが森重樹一さんについて『改めて思うに、ずれてないはずなのに当時はスゲーずれて感じたんだよなぁ~』と語ったこの言葉は、後に新しい形を生み出します。二人は再度、お互いの必要性を認め合い、THE DUST'N'BONZEというバンドへ発展させていきました。
こうして過去を振り返る事も、時には大切なことなのかもしれません。

前によく聴いていた!という方や、新しくファンになった方。
それぞれの知らない時代のZIGGYを知るには良い一冊です。



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千利休・謎の殺人事件/山村美紗
名探偵キャサリンシリーズから、千利休をピックアップした『千利休・謎の殺人事件』です。
山村美紗さんは常々自身の作品中で取り上げるものに対してはとても詳しく勉強されているなと感服してしまうのですが、この作品はそれがとても顕著で、もはや『浜口先生とキャサリンの千利休の謎(殺人事件もあるよ!)』といった趣です。

千利休の生涯にスポットを当てたドラマの撮影に絡んで起こる殺人事件を通して、キャサリンたちは千利休という人物の生涯にも興味を抱き、そしてその人柄やエピソードに惹かれていく。
切腹に至るまでの原因とされる様々なエピソードと、その理由の諸説。
単に千利休に興味があるというだけで、山村美紗さんやミステリ自体も余り興味がないという方でも楽しめる、歴史とミステリが詰め込まれたお得感たっぷりの一冊。

まず、二人は海外で映画賞を獲得するなど話題の千利休の生涯を描いた映画を見に行っていた。鑑賞後、食事を取りながら映画の感想を話す二人。
浜口:キャスティングが豪華だとの感想。
キャサリン:茶器や衣装の出来に感激の様子。
このカップル、映画の内容褒めてねぇ…。

キャサリンは千利休の切腹の謎について興味を抱いた様子で、映画で取り上げていた意外の理由とされる説を浜口から聞きだす。
ちなみによく質問攻めにされる浜口は先に『僕は茶道は苦手だから、相談されてもわかりませんよ』と釘を打つ。これを一般に学習機能と呼びます。
ちなみにキャサリンが冒頭で千利休の事を『ミスター千』と呼んでいたりするのも微笑ましい場面です。

活動家のキャサリンは諸説の中で、大徳寺の三門の上に千利休の像を上げた為に豊臣秀吉を怒らせてしまったというものにも興味を抱き、いきなり大徳寺行きを決定する。
利休が待ってるわけじゃないし… 』と、とんでもない理由で渋る浜口だが、それなら一人で行くというキャサリンに負けて、同行する事になります。
そこで卒論の為に京都へ訪れていた大学生の男女のグループと知り合うのです。殺人フラッグですね。
彼らと千利休について楽しい語らいの一時を持ち、別れたのだが…翌日、丁度行われていた千利休のドラマのロケの茶室で、知り合った学生の一人が死んでいたというニュースが飛び込む。
用意されていた茶碗に毒が付着していたというのだ。

彼を殺す為?
それとも本来最初にその茶器を使うはずだった俳優を殺す為?

千利休というキーワードで繋がった人々の間で起こる連続殺人―。

ネタバレ等は続き以降で。
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ギリシャ語通訳/シャーロック・ホームズの回想 The Adventure of the Greek Interpreter
ワトソンはホームズとの長い付き合いの中で、彼の若かりし頃の事や親族などについては全く話した事が無かったそうです。
確かにここまでの事件簿でも、彼の最も古い記録はせいぜいカレッジの頃、ブルテリアに足を噛まれて十日間ほどぶっ倒れた例の出来事程度。

そのことから、ワトソンは『心臓のない頭脳だけの男』との印象を強め、更にホームズの事を身寄りの無い孤児だとばかり思い込んでいたそうです。
相変わらずワトソンはいい毒を吐いてくれます。

人の特殊な才能は、どこまでが遺伝でどこからが鍛錬だろうか…そんな話題になったときだった。
ワトソンからホームズの場合は訓練の結果だろうと言われ、褒められるのに弱い普段のホームズならニヤニヤするところだが、彼は考え込みながら、ある程度はと答え、自分の才能はフランスの画家の妹だった祖母の持つ芸術家の血統が関係しているのではないかと答えた。
ここにホームズの先祖が代々の大地主であり、祖母の素性まで判明したのだが、それに留まらずホームズは驚くべき言葉を口にする。

『僕の兄弟のマイクロフトは、この才能を僕よりも多く備えているんだ』

ホームズは自分の発言を実証する為に、ワトソンを連れて兄の居るロンドンでも一番の風変わりなクラブ―お互いに干渉する事も会話をすることさえも禁じたクラブ『ディオゲネス・クラブ』へと赴く。

そこにはよく肥っているものの、ホームズと同じ鋭さを持った男と、そしてある事件が待ち受けていたのだった―。

ネタバレ等は続き以降で。
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大長編ドラえもん2 のび太の宇宙開拓史
大長編ドラえもんは、普段の短編集とは違い『のび太の』を冠した、のび太の主人公色が増した長編映画の原作シリーズです。
第二弾では、ひょんな事から遠い宇宙に住む住民達の星が舞台になります。

作品の冒頭でジャイアンは『重大な危機』をのび太へ伝えます。
いつも遊び場に使っている空き地を、隣町の中学生が野球に使っている為に使えなくなったのだった。何故かジャイアンは適任とはいい難い伸び太を使いにやるのだった。
交渉に赴いたものの、不用意に口をついて出た言葉で中学生に追い回される内に誤って工事現場に転落、意識を失ってしまう。

…マンガで読むとちょっと面白いシーンなのに、活字だけで表現すると大事故のようにさえ感じられてしまうから怖い。

ところで、工事現場に転落し、意識を失っているのび太を見つけたジャイアンとスネ夫の反応は『こんなところで、居眠りしてやがる
状況を見ろ、状況を!

さて、作品の最初でも触れられていたのですが、のび太は意識を失っていたときも含めて、眠るとリアルなSFのような夢を見ていました。
しかしその夢は段々と現実とシンクロして―。

異空間と繋がった畳の裏から、夢に出てきたウサギのような生き物が飛び出したのだ。

やがてのび太はその星が抱える問題に直面。
ある理由から、スーパーマンとして、そして一端のガンマンとして立ち向かっていく。大長編の中でも最ものび太が主人公らしく走り回る一冊…。実はジャイアン、スネ夫、しずかちゃんという定番メンバーが作品の核心に迫っていくのは後半も、残り三十ページ程度の段階からという作品でした。

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入院患者/シャーロック・ホームズの回想 The Adventure of the Resident Patient
突然作品の冒頭でワトソンがホームズの手がけた事件から発表する物としないものとを選別するのは大変だという旨の記述を始める。
その理由の一つは、ホームズが冴えた推理を見せたり、独特の操作方法で結果を出した事件でも、事件そのものが平凡だったり、つまらなかったりして『わざわざ世間に発表する価値もない』と思える事が多々あったからだそうです。
ワトソン、久々にスパイシーな発言です。
また逆に事件そのものは珍しく劇的なものだったが、ワトソンが期待したほどホームズの力が発揮されなかった事件も、発表には思い悩むそうです。
ちなみにその例に挙げられたのは『緋色の研究』と『グロリアスコット号』の二つの事件。
この医者、何か嫌な事でもあったのだろうか。冒頭から微妙に毒を吐いていますが、今回の『入院患者』という事件も、どちらかというと後者の例に当たるものだそうです。

ある雨の日、ホームズがワトソンを誘い出して二人は散歩へ出かける。
ちなみに『黄色い顔』事件では、散歩から戻ったところ、依頼人が待ちきれずに一旦出てしまったという事に関して、ホームズがワトソンに八つ当たりをするというシーンがありましたが、今回は依頼人が待っていたので、ホームズは御機嫌
八つ当たりをされずに気分がよかったワトソンは、ホームズが馬車の中の荷物から依頼人の職業を言い当てたのを『ホームズのやり方をよく知っているので彼がそう推理した理由はすぐ判った』との記述。
何気にレベルアップしていくワトソンの姿がここにあります。

依頼人は将来を嘱望される医者で、ワトソンは彼が書いた原因不明の神経障害に関する論文を知っており、この事は依頼人を非常にいい気分にさせた様子だった。
今回、この医者がホームズのもとへ依頼に来たのも、彼が神経に関して専門である為だった。

彼は現在開業医をしているが、その開業に際しては自分ひとりでは費用が捻出しきれずにいたところ、スポンサーが現れ、一切の準備をする代わりに売り上げから一定の割合を分け合うという提案をし、それでようやく開業となったのだった。

スポンサーは自らも心臓が悪いという事で、病院内のいい部屋を占領して、入院患者という形で住まう事になった。

そして彼は医者としての成功を、スポンサーは収入を。それぞれの利害関係が一致する形で、開業も投機も成功したと言えた。

しかし近所で発生した強盗事件を聞いてスポンサーは非常に敏感になっていた。
そんなある日、医者の下へある手紙が舞い込んだ。それは彼を神経方面の治療に関する権威として、強硬症の治療をして欲しいという物だった。
この患者が訪れた後、一時は落ち着き始めていたスポンサーは更に精神的な平穏を乱し、ホームズの元へ医者を遣わせるきっかけになったのだった。

ネタバレ等は続き以降で。
続きを読む…


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名探偵、大競演!シリーズキャラクター総登場短編集3:我が家は子子家庭/赤川次郎
赤川次郎さんが持つシリーズは多数。
この本の裏表紙によると、30年の作家人生で480冊以上の著作…だそうです。
定番の三毛猫ホームズなどは別として、どこから読み始めれば良いのか?という人も少なくないはず。
そういう方にお勧めなのが、シリーズ・キャラクター総登場短編集。短編集を集めたアンソロジーです。
『名探偵、大登場!』、『名探偵、大行進!』という先に出た短編集に続く、短編集最後となる第三作目で、こちらは先の二作に比べると、少しシチュエーションに癖のあるシリーズが取り上げられています。

短編二作目は『我が家は子子家庭』。
父親も母親も同日に、お互いに知らないまま家を出てしまい、家に残された二人の子供が織り成すドラマを描いた『子子家庭』シリーズ、この『我が家は子子家庭』はその第一作、まさに父親と母親が家を出てしまったという事件が起こった際のものです。

冒頭で茶柱が立っているのを見て、何かいい事があるかもしれないと喜ぶ主人公の坂部律子。
ミステリーで茶柱が立ってろくな事はまず起きないというジンクスそのままに、父親は会社で何らかの目的から不正にお金を動かした事が判り、そのまま失踪。気の弱い母親がその事実に倒れやしないか…と思いきや、母親は恋人を作って家を出てしまったのだ。
双方とも、もう一人の親が居てくれればどうにかなるだろう―、そう思って。

二人は、父親の失踪は仕方ないとして、母親については心労で倒れた事にして、二人で生活を続けていく事を決意する。
ここに『子子家庭』が誕生したのだった。

しかし父親のお金の動きを探して家に押しかける人々、刑事、借金取り。
三百万円の借金の返済を迫られる一方で、家に残されたお金は貯金の数十万円程度。どうにかして生活費を捻出しないといけないような生活から、借金の返済が出来るはずがない…。

そこで、坂部律子は思い切った賭けに出る。

これまた名探偵!と銘打った短編集ではあるものの、殆ど推理小説とはいえない内容でしたが、第一作目がこうしてアンソロジーに収録されていると便利が良いですね。



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中古車選び  これだけは知っておけ!/森 慶太
小気味いい一言が持ち味の森 慶太さん。
新車の車評と共に中古車の記事も連載していた彼の、中古車の車評です。

本の構成は、前半が中古車についてをの様々な情報。
後半が個々の車の車評と、巻末に個々のメーカーからお勧めの車の一言車評。もはや僕はこの一言車評が読みたくて手にしたようなものである。

前半では『「クルマは新しいほどいい」わけでは必ずしもない』と評し、モデルチェンジ直後に起こる揺れ戻しのような、前の型への需要の高まりや、現在の大型化が進んだ軽自動車を例えに挙げて、以前の基準で作られていたものがいい場合もあるという事を説明。
軽自動車に恨みは無いものの、確かにモデルチェンジをして『前の方がよかったのにな』と思うクルマもあり、そういう理由から中古車ディーラーのドアを叩く人も少なくないという事へ、妙に納得。
また、大手の中古車ディーラーのオーナー二人を招いての、中古車談義では中古車の価格の決まり方や、意外な人気の変動、また選び方や中古車だからこその変わったお客まで、なかなか面白かったです。

後半の車評は『一般推奨銘柄』として、先述のようなモデルチェンジ前の方が人気があったような車、評価が高かった車を挙げています。
そして『レアもの銘柄』では、ビートやフィガロのような企画性の高い車を紹介、新車で買うのは…と思っても、中古車でなら!?といった感じの内容でした。
『マニアック銘柄』は、マニアックな車というよりは、森 慶太さんじしんの趣味爆発!といったコーナーで、恐らく森 慶太さんが欲しいんだろうなぁという微笑ましい雰囲気です。
ちなみに全車両、外車。

そういえば森 慶太さんは結構外車寄りな方ですが、この本の冒頭では日本車のオートマの性能の向上に驚いたようで、今の日本車のお勧めは三段オートマだそうです。
…車種じゃない。

そして『記念物銘柄』ではR32 GT-Rからミラ(550cc)まで、色々とバラエティ豊かです。

もう本としては古いので、さすがにこの本でお勧めとはいえ、この時期の車を中古車で買うのは微妙な時期になっている車もありますが、前半部分や、個々の車がどういう理由で挙げられているのか?という事を読み進めていると、選ぶポイントのような物が見えてくるかもしれません。



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名探偵、大競演!シリーズキャラクター総登場短編集3:天使の寄り道/赤川次郎
赤川次郎さんが持つシリーズは多数。
この本の裏表紙によると、30年の作家人生で480冊以上の著作…だそうです。
定番の三毛猫ホームズなどは別として、どこから読み始めれば良いのか?という人も少なくないはず。
そういう方にお勧めなのが、シリーズ・キャラクター総登場短編集。短編集を集めたアンソロジーです。
『名探偵、大登場!』、『名探偵、大行進!』という先に出た短編集に続く、短編集最後となる第三作目で、こちらは先の二作に比べると、少しシチュエーションに癖のあるシリーズが取り上げられています。

第一作目は『天使と悪魔』シリーズ。
天国でのんびり過ごしすぎた為に、人間界での実地研修を命じられた天子、マリ。そして地獄で怠けすぎた為に堕天使を一人連れて戻らないと地獄へ帰れなくなってしまった悪魔、ポチ。
それぞれ可愛らしい十七、八歳の少女と大き目の犬という姿で人間界にやってきた二人は、それぞれの利害関係の一致から一緒に人間界を旅する事になる。

天使の寄り道では、補導されてしまうマリ。
どうにかポチの助けで逃げる事に成功し、新たなバイトを見つけて生活を始めるのだが、そんなある日テレビで一緒に補導されていた少女が自殺、しかも逃げ出す際に警官を殺していた疑いがあるというニュースを
目にする。
そして、同じく補導されながら逃げ出していたユミと出会う事から、事件の全容に迫っていくマリとポチ…。

作品を通して食べる事ばかりを気にしている天使と悪魔でした。
特にポチ、犬の姿は悪魔が人間界へ来た仮の姿の筈…が、何気に作品冒頭で男に捕まりかけているマリに気づかず『おつまみの残りをもらって食べている。』。
…すっかり犬が板についています。

推理小説という内容ではないものの、意外な展開が小気味いい作品でした。



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滅びゆく動物/藤原英司
絶滅の危機に晒されている動物の生態、その数の減少の原因と、取られている対策などについて記載してある一冊です。

この本…実は、1975年の本です。
情報としては既に古くなってしまった一冊。
『現状』を知るものとしては殆ど価値はないです。

ただ古い本だからこそ、現在との対比が出来ます。
例えば、ニホンカモシカの危機について説明されていますが、30年以上が経った現在ではニホンカモシカは数の調整の話が出るまでに数を回復させることに成功しました。
一方で当時、トキはまだ数を回復させるチャンスが残っていたようですが、日本産のトキが絶滅して久しいのが現状です。

このように成功した取り組み、そして成功できなかった選択、失敗した選択―。30年以上という月日を経過したからこそ見えてくる明暗。
古い本だからこそ、知る事が出来る情報が詰まった一冊です。

尚、本の半分ほどがカラーで写真とイラスト、そして先述のような情報が記載され、後半では動物が減少していく原因、それを止めるための対策や法整備等について書かれています。

図書館の片隅には、長い月日を経ても、その輝きを失わず、むしろその輝きを増し続ける一冊との出会いが待っているかもしれません。



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水草カタログ/山崎美津夫・著 桜井淳史・写真
水草274種を取り上げた、水草カタログ。
有名どころから、マイナーどころまで一通り揃います。
栽培方法は光の強さから、CO2の添加の有無、レイアウトでの使い方(深い水槽向き、前・中・後景向き…等)も軽く触れてあるので、水草を買いに出かける前に、この本を開けばどういうものを探せばいいのかが判ります。

CO2の添加に関しては『不要だが、有効である』という表現に加えて、『添加するに越したことはない』という表現も。山崎美津夫さんの淡々とした口調は何気にいいスパイスです。

この本でいいなぁと思うのは、花もきちんと紹介していること。
僕は水草には疎い方なので、どれくらいを網羅しているのか判りませんが、結構な量の写真が添付されています。こういうのを見ていると、桶のようなもので水上葉を楽しむのもいいかなぁとも思えます。

水草の最大の敵という事で苔についての記載もあり、苔の種類から、それがどういう状態の時に出る苔なのかと、対処方法が記載されているほか、魚やエビによる除去の為に苔を食べる魚の紹介もあります。

もちろん水草の基本的な飼育方法、くっつけ方なども掲載。
水草メインの水槽を立ち上げる時にはぜひとも欲しい一冊です。

尚、著者はヤマサキ水草園創立者。



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ガラスの天井/辻 仁成
辻 仁成さんによるエッセイです。
毎日の何気ない出来事、思ったことを記している日記のような一冊。

読んでいて思ったのは、この人はとても『真面目』です。

ロックバンド、エコーズ時代の歌詞を見ても、反社会的であると同時に酷く真面目に物事を考えている感じが現れていたり、描く小説もどこか主人公は真面目に考えすぎるくらいの雰囲気を纏った人物が多いというイメージはありますが、作家自身が物事を真面目に考えているんだなぁという感じがします。
大道芸人の芸を語るときも、それを興味深いであるとか面白いといった表現はせずに、一つの芸術の範疇として語っているような雰囲気で、読んでいる側も大道芸人の話を芸術家の…そう、ゴッホやモネの人生を語るように、深い部分から見つめてしまう、そんな感じ。
この本は辻 仁成さんの思考を疑似体験できるエッセイです。

タイトル『ガラスの天井』は、同名のエッセイから取っています。
このエッセイの中では『テスト戦争』などの詩や、学校が破産すれば学校に行かなくてもいい…そんな言葉を遺して自ら命を絶った杉本 治さんについてのエッセイです。
このくらいで進歩を止めた方がいいと思う
杉本 治さんの言葉を用い、辻 仁成さんは目の前に見える自由と、現実とを隔てる見えない壁をガラスの天井と表現しました。
実は以前より、若い頃の辻さんが描いた世界観と、杉本 治さんの世界観はとてもよく似ていると思っていました。
山田かまちさんの作品に辻さんが解説を寄せた時には、とても共感されていたようですが、なるほどこの三者が描く世界観は、それぞれ違う表現が用いられていますが、根底に何か近しいものを感じます。

ところで辻 仁成さんについては、とても独特なユーモアがあるのも特徴です。
『「しんゆう」について』では、友達が少ないとした上で『まあ性格が難しくかなり変わり者なので仕方ないことかもしれない』と割り切る。
あ、ご自分でも判っておられたんですね。
そんなツッコミを入れたくなる一文である。
また『存在証明2』では、職業柄部屋を借りるのが大変で、それが自らの存在証明を正されているようだと語り、ミュージシャンに作家と不動産屋に嫌われやすい肩書きを二つも背負った苦労を語っています。

また、女性に関しては『まったく節操がない』との事。
自分で言うなら、たいしたものです。

しかしその一方で『人間失格』を五冊所有し、『オイッ、人間失格!』と呼び止められるような気がすると、シリアスな一面も垣間見せる。

エッセイというと、その人のことがよく判るものですが、この本は余計に判らなくなってしまう―。
そんな、一冊。



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間違いだらけのクルマ選び最終版/徳大寺有恒 ⑤ニッポンの珍車ここにあり
徳大寺有恒さんが人生の仕事として続けてきた人気車評シリーズの『間違いだらけのクルマ選び』。
30年の歴史に幕を閉じる、シリーズ最終版は総集編でした。

第五章は『ニッポンの珍車ここにあり』。
冒頭では三菱を叩きまくる御大。
特に三菱系企業の重役が乗る車として開発されたデボネア、GTOに関しては当時の書評から長い時を経て、更に最後の最後でも追加で叩き、まるでこの二台が三菱の経営危機を招いたかのような論調でした。

車のラインナップを見ると、売れてはない…だけど根強い人気がある。
ただただ珍車に終わったのではなく、そういうところを選んだのは御大の愛情なのでしょうか。

ネタバレと珍車の数々は続き以降で。
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実践スタートガイド フリーグラッフィクスツール GIMP
最強のフリーレタッチソフト、GIMP。
その機能はかのフォトショにも匹敵する!?とまで言われている程。
フォトショップが対応していないLINUXではまさに代替ソフトとして使用されます。

この本はそんなGIMPの使い方を説明した本。
基本をベースに、インストールから初歩的な加工、そして高度な加工まで一つ一つ、どういう処理の仕方が好ましいのかを丁寧に教えてくれます。

一番いいのは、最もユーザーのニーズが多いであろう人物の加工があること。
皺やほくろ、シミなどの加工の仕方から、人物の抜出、色の調整まで様々な操作方法が事細かに解説されています。
その部分のみを必要としている方なら、この本の一部を読むことで求めている全ての機能を満たすことが出来るはずです。全てを使いこなすのは面倒だからと、あえて有料ソフトの自動補正で諦めるより、この本の数ページをめくってGIMPを使うほうが絶対お手軽で安上がりです。

ところで…この本、何気に ちょっとエロい
なんでだろう、そういう目的で手にする人はいない筈なのに。

本当にちょっとしたことなんです。
人物画像の加工を解説する項目で、モデルさんが『明らかに男物のカッターシャツ一枚で悩ましい表情を浮かべている』写真であったり、かなり短いチャイナ服を来た女性が座っている写真が題材であったり…。
また必要な加工なのかもしれませんが、太ももを細くするだの、胸を大きくするだの…
考えすぎなのだろうか…。

写真の加工については、合成に関する技術が多いです。
人物の画像を切り取って、背景を違う物に合成とか、レイヤーの処理の仕方で切り抜いた人物がまるで瓶の中に入っているかのように見えるようなものやら、やってみたい!と思うものが多かったです。

注目は猫と人間の画像を上手く合わせた猫女。
先述の悩ましい表情の女性、森崎 愛さんがモデルになっていました。戦うアイドルとしてキャットファイトの世界でも可愛らしい外見からは想像もできないパフォーマンスを披露している方です。


全体的な感想として、上記のように手軽に取り組める作業がある反面、市販の代表的なソフトであるフォトショにしても、難しい処理をすればやっぱり操作は難しいのは当然です。GIMPは開発のされ方から、WINDOWSライクというよりはLINUXライクな外見を持つので、とっつきにくさがあるという方もおられるかもしれません。
でもフリーだから簡単、お手軽だろうといった先入観を持たずに取り組めば大丈夫でしょう。
尚、ダウンロードが結構ややこしいGIMPですが、この本についているCD-Rに(この時点での)最新バージョンが入っているので、インストールはCD-Rからですべて出来ます。
また本の中で加工に使った写真の原板も入っているので、読んだ作業を自分で再現できます。
そのほかにも色々と加工の素材に使えそうな写真、特に人物の写真は重宝します。この手のソフトの練習で自分や身内の写真というのは、妙に圧迫感があるし、思ったようなショットがなかなか見当たらないもので、人物の写真は本当に便利です。
…まぁ、ここでも何気にエロいというか際どいショットが多いのは謎ながら、ご愛嬌という事で。
モデルになっている鳳華さん、森崎 愛さん、いけないパラダイスさん、ぬるきはるこさん、笹本 綾さんのファンならそっちメインで買ってもいいのかも…しれないです。



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旅立ちは突然にカイルロッドの苦難 ①/冴木 忍
卵から生まれた卵王子…。
仰天の設定の主人公、カイルロッドは盆栽を愛する一国の王子。
母は彼を産んだショックで死んでしまったと伝えられている。
またその生い立ちから卵王子と呼ばれ、婚約者にはノイローゼ、自殺未遂、駆け落ちと三人も逃げられているが、個性豊かな義父、そして城の人間達、街で食堂を営む乳兄弟と色々な人に囲まれて幸せに暮らしていた。

そんなある日、お忍びで言った乳兄弟の店でウェイトレスのミランシャと知り合う。彼女のとんでもない飲酒後の癖…脱ぎ癖をどうにか押さえ込み、店主が帰ってくるのを待っている内に朝になってしまった。
誤解から目覚めたミランシャに殴り飛ばされた王子だったが、町にはある異変が起こっていた。人々が石となって全く動かなくなってしまっていたのだった。
慌てて城へ向かったところで半身が石になっていた神官が王子の到着を待っていた。そこで魔道士ムルトの仕業であることを伝えられ、母親の形見である指輪を渡される。

そして王子の命を狙う人々。
場内で二人のほかに唯一石にならず、二人を守ってくれた中年の剣士、イルダーナフ。

カイルロッドの国の人々を救うための旅が、こうして始まる―。

ネタバレ等は続き以降で。
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背中の曲がった男/シャーロック・ホームズの回想 The Adventure of the Crooked Man
妻を先に眠らせ、読書をしていたワトソン。
そろそろ就寝しようかと準備をしていたところに来客を伝えるベルの音がする。この時間なら患者だろうなと感じたワトソンは、徹夜を覚悟しながら玄関へ向かうワトソンは不機嫌な顔をしていた。
…時々、ワトソンという医者がよく判らなくなる事がある。

ちなみにワトソンは『唇のねじれた男』でも深夜の来客に舌打ちをしています。
意外と公私をはっきりと分けるタイプのご様子。

実はこの時の来客はホームズだったのだが、ホームズも開口一番で『患者じゃなくて安心しただろう?』との一言。
ワトソンの時間外急患に対する考えは一貫して厳しい物だったようである。

ホームズはワトソンにある事件の最終段階での助力を求めて、誘いに来たのだった。
その事件とはある夫婦の間に起こった悲劇だった。夫婦は普段は模範的な夫婦で、特に夫は妻を溺愛していた。
しかし突然密室の状態で高等部を強打して死んだ夫、そして悲鳴を上げた後に気を失っていた夫人。
夫の死の直前、二人は激しく言い争っていたという。夫人の口からは『卑怯者』や『ディヴィッド』という人の名前が飛び出していたのを家の使用人が耳にしていた。
状況からすると夫人が自らの夫を殺したとしか思えないシチュエーション…しかし、ホームズの目には既に別の風景が見え始めていたのだった。
現場に残された二つの足跡。
その内の一つは非常に奇妙な形をしていたのだった…。

ネタバレ等は続き以降で。
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トヨタ VS.ホンダ どちらのクルマを買う?/三本和彦
トヨタ VS.ホンダと目を惹くタイトルではあるものの、内容を読んで見ると意外と普通の車評です。

表紙にヴィッツとフィットが並んでいる事や、ステップワゴンとノア/ヴォクシー、この本の時点では紹介されていない物の、後に起こるストリームとウィッシュの関係のように、確かにトヨタはホンダを意識している…?というように見えない事もないので、まぁ、そういう部分に焦点を当てて書いた様子です。
ただ、タイトルから連想されるような露骨な比較ではなく、各カテゴリー(コンパクト、ミニバン、セダン等)の車種からトヨタとホンダのクルマは必ず取り上げている以外は、他の競合する車種として他メーカーの車評も行っているので、他メーカーの車の動向も気になる…という方でも手に取れます。

トヨタVSホンダというよりは、むしろトヨタとホンダのクルマを中心とした車評の一冊といった趣です。

著者の三本和彦さんといえば、テレビ番組『新車情報』の司会を勤められていた方で、高級車から商用車まで幅広く紹介することや、実用の面からメーカー側の開発責任者へ鋭い質問を送ることで人気を博したクルマ評論家の一人です。
本書でも辛口批評!という言葉が踊っていますが、三本和彦さんはそれほど辛口ではないと思います。特にこうして文章で読んでみると表現が軟らかく感じられます。
ただワンポイント解説のような短いところでは、ちょっと辛口かも…?



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Web2.0が面白いほどわかる本/小川 浩、後藤康成
Web2.0とは何ぞや?を考える本です。
意外と判らないとう人も多いのではないでしょうか?
僕自身も意外と突然登場したという感じで、はっきりと理解しているのか?といわれると「多分、かも、しれない…」といった感じでした。

その時に、もう把握しないといけないだろう!と腹を決めて手に取ったのがこの一冊。
購入前にチラッと読んだ時に、冒頭に『Web2.0』の読み方が書いてあったのが気に入ったというか、これくらい基礎の方がいいと判断。
ちなみに…答え、知ってます?答えは続き以降で(笑)。

『受信』、『発信』、『検索』、『共有』がキーワード。
Web自体のバージョンアップとして用いられるWeb2.0という言葉。
従来のWebを1.0のバージョンとすると、高機能のブラウザが開発されることで前半の受信と発信の精度が上がった状態…文字のみのやり取りから、画像などが使用できるようになった状態です。
その時期にも検索や共有の機能はあったものの、精度やサービス内容の低さがWeb2.0との違いといえます。
例えば検索エンジンの精度の向上は実際に数年来ネットをしている人なら肌で感じている部分があるでしょうが、そこに加えて現在ではイメージ検索、そして地図の検索まで出来、更にそうした情報を共有することで企業サービスやらが展開されています。

著者はWebの理想系をあらゆる情報がリンクされた状態と言います。
この辺り、Blogの機能は結構端的に新世代のWebの特徴なのかな?と思います。
知っている情報を記事でアップする、これは情報の共有化であり、トラックバックすることで情報はリンクされていく…みたいな。
そしてリンクされたり、検索されたり…は、ページランクや検索結果の上位表示などで反映されていく…おぉ、理想系じゃ。

このブログでも本の画像にamazonのアソシエイトプラグラムを使っていますが、こういう機能の隆盛もWeb2.0的な傾向のようです。
またこうしたレビューや、アマゾンのユーザーレビューもWeb2.0的であり、Web2.0についてはよく把握できていなくても、気がついたら既に最新のサービスを利用する事を通して、多くのネットユーザーはその仕組みの中に立っている…そんな気がします。

本書の中ではそういったサービス面や企業の取り組み等を紹介。
グーグルの新サービスを通して、グーグル急成長の理由も見えてきます。

OSやブラウザではなく、Web自体がプラットホームとなる時代。
次世代の主人公は、まだ決まっていない状態なのかもしれません。

ネタバレ…というか、Web2.0の読み方は続き以降で。
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この地球を受け継ぐ者へ ―地球横断プロジェクト「P2P」全記録/石川直樹 ②カナダ~アメリカ (レゾリュート~サンダーベイまで)
地球横断プロジェクト「P2P」。
北極から南極までを最大限人力で移動することで横断し、その間に様々な人々と触れ合い、お互いの文化や知識、旅を通して経験したことなどを共有していく―そんなプロジェクトが行われた事をご存知でしょうか?
十ヶ月間をかけて、若者達が辿った地球横断の旅。
その参加者の一人で、冒険家として知られる石川直樹さんが綴った日記とエッセー。
それがこの一冊にまとめられています。

第二回目はカナダ~アメリカの行程の前半、レゾリュート~サンダーベイまでを紹介します。

北極圏を抜けた途端に旅の雰囲気自体もガラッと変わります。
ここまで旅というよりはサバイバルといった雰囲気でしたが、ここからは自転車でのリレー形式の移動がメインになり、車での移動や知人の家への宿泊や今後の旅に備えての買い物や、石川直樹さんの趣味なのか貴重な冒険家達を掲載した雑誌を古本屋で探索したり…単なる冒険旅行ではなく『地球横断プロジェクト』であるP2Pらしさが感じられるようになる行程です。
特に一番目に付いたのは各地で行われるプレゼン。
これはプロジェクトの掲げる大きな目的の一つらしく、行き先によってはかなりの頻度で行われており、マスコミに応対したり、学校を訪問したり、これまでの行程から得た教訓や問題点などを人々へと伝えていく、環境教育のようなプレゼンです。
海辺のゴミ拾いなども行っており、北極圏に比べると冒険色は薄まっている物の、P2Pの本来の目的が読みながら伝わってきたのは、このカナダ~アメリカ編以降からでした。
北極圏では前進あるのみ!という感じがしていた行程も、この辺りからは一つの場所へある程度の時間留まったり、休みの日が目に付く機会も多く、若者達らしく夜更かしをしたり、幾分かのんびりしているように感じます。

しかし一方で自転車移動では40km~50kmは毎回のように走破しており、出来るだけ人力でという目標を掲げた冒険の醍醐味に変化はありません。

この頃、石川直樹さんは強く犬ぞりに惹かれている様子ですが、一方で北極圏でも苦しまされていた歯痛をようやく治療できました。とは言っても、本来なら2週間は必要な治療…応急処置で乗り切るというのも、旅の過酷さなのかも知れません。

ところで北極圏での旅の過酷さを物語るエピソードとして石川さんは『ぼくらは汚かった』と、実に淡々と風呂に入れなかった一ヶ月を語っています。
『腐った果物の匂いがした』男性人に対し、同じ環境にありながらいつも石鹸のにおいがしていたという女性人に対しては、石川直樹さんも『謎に包まれている』と発言。
…腐った果物との比較なので、ちょっとのにおいでも凄くいい香りに感じたという見方もありますが、その辺りは謎という事で。

他、メンバー間の人間関係もよく見えるようになってきました。
これまでそういう余裕が無かったのかもしれませんが、誰かと誰かがソリが合わない状況や、誰かが誰かに告白をしたり…。
集団での生活には色々とあるんだなという事も実感です。



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サザエさん1/長谷川町子
文庫本で再発されたサザエさんの文庫本、記念すべき第一巻です。
この時期、興味深いのは一巻の最初~後半にかけて、磯野家は博多在住です。
設定としても、戦後間も無い時期で配給やら戦地から戻ってくる人が居たり、闇市が登場したりと、戦後間も無い時期の日本の姿が描かれているもので、現在のサザエさんが持たれているような、日本を代表するような庶民生活のあり方ではなく、歴史の教科書に出てくるような風刺漫画の匂いがする感じです。

偽物の警官に食べ物を盗まれたり、買出しの量の制限が始まったり…。
今となっては歴史を知る資料ですが、こうしてみるとサザエさんも新聞連載のマンガだったんだなぁというのを色濃く感じるエピソードが多いです。

尚、登場人物はサザエさん本人が独身の為に後の夫となるマスオさん、長男のタラちゃん、近所の住民といった人物が登場しない代わりに、サザエさんの親友としてお洒落な雰囲気を持つ『イカコ』さんが登場しています。

後半に父親、波平の転勤によって東京へ引っ越す事になるサザエさん一家。
この辺りの流れは当時の世相をよく表しています。

ムシロや縄の値段を気にする人々、移動中の列車内の風景、そして東京で親切にしてくれた人を恐れて逃げてしまう一家…。

そこには戦後の時代を逞しく生きている、今のサザエさんとは少し違う、でも楽しくアットホームな暮らしを楽しんでいる家庭の風景が存在しています。
そして著者の死後も変わらず保たれ続ける、家族を大事にした一家の雰囲気が、新聞連載の枠や時代の壁さえも飛び越えて人々に愛され続けている理由なのでしょう。



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間違いだらけのクルマ選び最終版/徳大寺有恒 ④5ナンバーミニヴァン戦争
徳大寺有恒さんが人生の仕事として続けてきた人気車評シリーズの『間違いだらけのクルマ選び』。
30年の歴史に幕を閉じる、シリーズ最終版は総集編でした。

第四章は『5ナンバーミニヴァン戦争』。
乗員が多くて取り回しが便利な5ナンバーサイズのミニヴァン。
しかし御大はサイズの小さからくる窮屈さを『三列目はガマンのための椅子』と呼び、年に何度もこないサードシート利用の機会の為に最悪のドライバビリティを我慢しなければならないと言い切る。

この辺り、実は先の『ミニヴァン戦争』でも一貫して、エンジンの大きさ等に関して、過小気味である事を不満に思われていた様子伺える表現が幾つもありました。
それだけに5ナンバーの枠の中で作られるミニヴァンに対する評価は総じて辛口気味です。
一方で前章ではオデッセイに関しては5ナンバーならもっと売れたかもしれないとも語った御大。

ネタバレ等と御大の胸の内と個別の車種は続き以降で。
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ウェイレスの大魔術師/テリー・フィリップ
TTRPGの一つ、D&Dのルールで作られたゲームブックシリーズの一つ。

本とサイコロで楽しむゲームブック。
今のご時世にはもう登場しないだろうなぁと、しみじみ手にとって見ました。
遊び方は簡単。
一冊の本でありながら中身はバラバラの番号をランダムに振られている。本を読み進めていくと選択肢とぶつかる。
その選択肢に沿って、ページをめくっていき、指定の番号へページを飛ばしていく…。
そして時には成功と失敗を判定する為にサイコロを振る…というものです。

今でもありますよね、アドベンチャーゲームみたいなものです。

なかなかスリル満点で、指定の番号を読み間違えると、意味不明な話に繋がってしまい、気づいた時にはもう遅し、ページを綴じてしまってアウト!みたいな。
ゲームの内容よりページを捲る事自体が大冒険。そんなジャンルでした。

主人公はレイストリン。
幼い頃から高い魔法の能力を持つ彼は、双子の兄を連れて大魔術師となるための審問を受ける為に上位魔法の塔へ向かっていた。

その経緯を描いている物語で、結構読んでいると痛々しい描写も多く、気を抜くと焼き払われたりして『18へ』という選択肢を食らう。
この18とはなんぞや?
ゲームブックでたまに見かける複数の場所からリンクされている選択肢の一つで、この本においてはバッドエンドの番号が18です。

これを見るたびに、少し前の選択肢の番号を控えておけばよかったと公開するものです。

尚、この物語で描かれているのは『ドラゴンランス年代記』のエピソードの一つだそうですが、僕も含めてそれなに?という人でも楽しめるように作られていました。




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ライゲートの大地主/シャーロック・ホームズの回想 The Adventure of the Reigate Squire
ある大きな事件を二カ月がかりで解決…その間の過度の調査からくる疲労でホームズは心身ともに衰弱しきっていた。
そのホームズを連れて、ワトソンの知り合いの元へ転地療養に赴く。

ホームズを説得するには、多少かけひきが必要だったとの事。

ホームズも療養先の家主と親しくなり、ゆっくり療養…の筈だったがホームズの耳にある強盗事件の話が耳に入る。
ちなみにこの事件の話をした時、家主は注意を促すつもりくらいしかなかったようで、ホームズに国際的な大事件を手がけた後ではつまらない事件だから興味がわかないでしょうといわれ、ホームズはニヤついていた

事件について幾らか推理を行おうとしたものの、ワトソンに制止され、無事に話題を逸らすことに成功した。

しかし、ワトソンの配慮も杞憂に終わってしまったのだった。
翌日…この地で起こった殺人事件。
そして警部が事件の調査依頼を引き連れてホームズの元を訪ねたのだった。

『ワトソン、運命の女神は君を裏切ったようだ』
ホームズは笑いながら言ったのだった。

ネタバレ等は続き以降で。
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