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Fujisaki

Author:Fujisaki

基本はシャーロッキアン。
でも雑食の本の虫。資格からマンガまでそこに文字がある限りっ。

紙魚、コナチャタテとはちょっと違う本の虫ですので、駆除はご容赦下さい。

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本の虫、中毒日記
読書感想文、乱発中。
ぶな屋敷/シャーロック・ホームズの冒険 The Adventure of the Copper Beeches
冒頭からホームズとワトソンの口論で始まる、珍しいパターンの作品です。
口論の内容はこれまでも幾度かチクチクと皮肉として登場した『ホームズの事件の表現』。
最初、ホームズは事件の大小に関わらず、推理の内容の面白さで事件を選ぶワトソンを評価したホームズ。ワトソンは謙遜気味に『僕の伝記は煽情的だと一部から非難されるところがあるが、それを甘受しなければいけないところもある』と答えると、そこからホームズが一気に攻勢に転じたのだった…。

興味深い仕事が途切れていた為に不機嫌だったホームズは、その日の新聞広告を読み終わって、今日も興味をそそる事件にありつけそうにないと判ると、そばにいたワトソンに噛み付いたのだった。

…八つ当たりをする名探偵の姿がここにある。

ところで彼の不機嫌を増させたのが、家庭教師の仕事を受けるかどうか悩んでいるからアドバイスをくれという電報。自分の仕事はここまで落ちたのかと嘆くホームズだったが、この電報こそがホームズシリーズでもその奇抜さで人気を集める作品の始まりを告げるものだったのだ…。

依頼人は利口そうで身なりや態度もきちんとした女性で、前職も家庭教師をしていたのだが、勤めていた家がカナダへ引越しする事になってしまい、仕事を失くして貯蓄を切り崩す日々を送っていた。
そんな折に家庭教師の仕事を斡旋する事務所で、彼女を非常に気に入った男性がいた。
一目見るや、前職の倍以上の金額で彼女を雇うというのだ。
金銭面で苦労を強いられていた彼女にとっては非常に魅力的な内容だったが、その条件には幾つか変わった事があり、たまに着る服を指定することや、決まった場所へ座ってもらうこと、そして髪を短くすること…。
最後の髪の条件が嫌で一度は断った物の、後日、条件面を更に向上させて再度依頼が舞い込んできたのだった。
そして彼女はもし何かあればホームズへ助けを求めるという後ろ盾を心強く感じて、その仕事を受けることとなったのだった。

ところで、この作品中でワトソンはホームズがこの依頼人に好感を抱いて接している事を記しているが、ラストで残念ながら彼女が事件の中心人物ではなくなった途端、彼女に興味を示さなくなってしまったと書き綴っている。
…何を期待してるんだ、ワトソン。
っていうか、朝方そういう論調で記録を残すという事について散々嫌味を言われたばっかりだという事を、あなた自身が記録したんじゃないのか。
ホームズもこの作品を読んでさぞかし力が抜けたことでしょう。

ネタバレ等は続き以降で。

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テーマ:ミステリ - ジャンル:小説・文学


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緑柱石の宝冠/シャーロック・ホームズの冒険 The Adventure of the Beryl Coronet
冒頭からワトソンのスパイシーな言葉が炸裂の一作。
気○がいが歩いてくるぜ。家の人たちがあんな男を一人で出歩かせるなんて、ちょっとひどいじゃないか
あんたの言い方が一番ひどい。
新しい版では、少し表現が変わったのかな…?

ワトソンに気○がい扱いされた男は、大手民間銀行の主席頭取だった。ワトソンにそのように見られるまでに挙動が乱れるのにはわけがあった。
そして、その訳こそが今回の事件の始まりだったのだ。

依頼人はある高貴な人物より、イギリスの国宝級の『緑柱石の宝冠』を担保にお金の用立てを依頼されたのだった。冠についた三十九の緑柱石は、その一つ一つが二度と補充が利かないほど貴重な品…担保としては充分すぎるくらいの品だった。
しかし一方で充分すぎるが故に、管理上に何か支障でも発生すれば国中が大騒ぎになるような出来事になってしまう。それを懸念した依頼人は、自らの家に持ち帰る事を決める。
しかし、その夜…物音に目覚めた依頼人は、普段からお金の無心を続ける自分の息子が宝冠を手にもって佇んでいるのを見つけてしまう。
そして、冠から外れた幾つかの緑柱石は見つからず、自らの息子を警察へ突き出して徹底的に調べたのだが、屋敷の敷地内か、すぐそばにあるはずの失われた緑柱石が見つからなかったのだ…。

ネタバレ等は続き以降で。
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テーマ:ブックレビュー - ジャンル:小説・文学


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ハイテク汚染/吉田文和
ハイテク産業による環境汚染を訴える一冊です。

ハイテク産業というと余り環境汚染というイメージがなかったのですが、この本を読んでみるとそんな事は無い様子です。
最新機器を作る過程では有機溶剤による洗浄が行われ、妊婦の流産、ガンの発生率の向上などの健康被害…時代の最先端の産業が行われいる地域は、新しい時代の公害においても最も進んでいる地域になっているのではないのか?
そうした警鐘を鳴らす一冊です。

この本の中では、使用されている薬品などから起こり得る被害や、土壌や地下水の汚染が明らかになり、ハイテク汚染という言葉の誕生の契機にもなったシリコンバレーの実情と、その後の対策、そして私たち自身が住む日本での履いておく汚染の実情などを紹介し、対策として作られた法体系等、そして今後に残されている課題などを考えていきます。
僕自身がそうなのですがイメージで『最先端だから大丈夫なんだろう』という妙に根拠の無い安心を抱いているところがあります。
それは否定されるべきであり、僕たちもこういった本を通して勉強し、そして企業の側もその実情を公開するという基本に立ち戻っていかなくてはならないのだと思います。

この本の初版を見ると、なんと1989年です。
そんな時代からこの言葉があったという事に驚きました。
時代の進化と共に、新しい技術や新しい装置が作られ、そして新しいハイテク汚染も生まれていくのであれば、技術の進化というのも虚しいイタチゴッコです。

著者の吉田文和さんは後にパソコンなどのIT家電がもたらすIT汚染についての著書も出しています。
時代が過去の反省を活かした技術の進化を進めていかない限り、いつの時代にも○○汚染という本が登場するのでしょう。


テーマ: - ジャンル:本・雑誌


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アルバイト探偵(アルバイト・アイ)/大沢在昌
適度な不良性を保つ高校生、冴木 隆。
そしてズボラで頼りがいのない女好きで、子供の教育に関心がなく、息子を単なる同居人のように考えている少し良い男の親父、冴木涼介。
喫茶店『麻呂宇』の上に探偵事務所を構える涼介との二人暮し。
母親は涼介曰く死別だが息子は逃げられたのではないかと踏んでいるおり、それどころか実の親子でないのではないかとさえ思うほどであった。

ミステリーマニアの喫茶店オーナーの懇意によって、『うちは犯罪事件以外の調査はやりません』と依頼人を追い返すような探偵事務所でも経営が成り立っている。
そして隆はその探偵事務所でアルバイト…『アルバイト・アイ』として父親の仕事を手伝っていた。

大沢在昌さんとしては珍しいコメディタッチのハードボイルド作品です。
著者である大沢在昌さん自身にとっても愛着のあるキャラクターだそうで、作品数自体は少ないものの、長期間を経て復活するなど非常に長寿のシリーズ作品です。
著者としてはかなり異質な作品に含まれると思います。
僕にとっては大沢さん作品の入り口だったので、逆に他の作品を手に取った時にそのギャップに驚かされたものですが、他の作品から入った方がこの作品をとったら更に驚くのでしょう。

1.アルバイト・アイは高くつく。
後の主要登場人物の一人であり、親子で狙っている美人家庭教師で元暴走族の頭である倉橋麻里が冴木探偵事務所へ仕事を持ち込んだ。
軍需製品や半導体を扱うM重工に勤める宗田の愛人が誘拐され、身代金を求められている。そして、誘拐犯の狙いは単なる身代金ではなく、宗田の勤務先で扱う半導体…軍需製品にあった。
涼介親父の過去を知る男と、涼介が対峙する…。

2.相続税は命で払え
アルバイト・アイのシリーズでヒロイン役となる康子の初登場作品です。実は第一作目からの登場ではなかったんですね。
来客からの『お母様は?』との問いに『お出かけといえば、お出かけだけど、十五、六年前に出かけたきりだから戻ってくるアテはないですね』とおどけてみせる隆くん。
そんな何気ない会話から始まるご機嫌な冴木探偵事務所の一日が描かれています。
眠っている涼介へ依頼人の訪問を訪問を告げるが、涼介は隆に相手をしろと言って起きようとしない。しかし…依頼人がえらいべっぴんで喪服を着ている未亡人になりたての女性と聞くやいなや、一張羅に着替えて登場します。
未亡人の夫は鶴見情報社の代表、鶴見康吉。その仕事内容を涼介と同じような仕事だと未亡人は言い放ったが、その仕事の実情は強請屋だった。
彼が死に際して残した遺産は10億円。
しかし鶴見康吉の遺した中で本当に価値があるのはゆすりのネタ自体だった。そしてその『遺産』を相続する権利を持つ康吉の隠し子の捜索。それが依頼内容だった。
その相続権者である向井康子を探すが、その途中で隆は痛い目にあわされてしまう。アイドルとしてのデビューを控えていたスケバンであった康子は、自らの身の危険を察して、周囲の仲間で防衛策を取っていたのである。

色々な人間の利益が交錯する中、鶴見情報社の持つ強請のネタ…その真の意味が判明します。
この作品で警察の親玉に位置する『フクシツチョー』が登場。この人も後々まで登場する主要人物の一人です。
この当時はそれほど長く続ける意思がなかったのか、段々と涼介親父の過去が見えてくるという展開で短編が進んでいきます。

3.海から来た行商人
先の強請屋の事件で登場した『フクシツチョー』が登場。
かつての涼介の仕事関連の仕事に隆が巻き込まれる。
…というよりも、涼介が受けた仕事に巻き込まれる可能性を懸念して国家権力が保護しようとしたのが気に入らなかった隆が飛び出して巻き込まれにいってしまったようですが。
注目は保護先で涼介と電話でやり取りをするシーンです。
『帽子を取りに行く』、『ドラキュラによろしく』
こんなキーワードで通じる辺り、普段はいがみ合っていても、さすが親子探偵。国家権力をまいてみせました。

この作品中に監視役にマイルドセブンマイルーラ(避妊具)の買出しを頼むシーンがあります。マイルーラを知らずにマイルドセブンと同様に煙草の銘柄だと思った監視役は売店の若い女の子にそれを尋ねてしまったと激昂するのですが、よく読むと『左手にマイルドセブン二箱と右手にドラックストアの紙袋を下げ』という記述が…。
なんだかんだ言いながら、買っきたんだね。そんなに怒るなら買わなくってよかったのにねぇ。
今回はこれまでの事件とは異なり、人の命がボロボロと消えていく裏世界の事件です。こんなおふざけもありつつ、シリアスそのもの。
かつての涼介親父の仕事から、冴木親子の命を狙う存在。
それでも親子でいつもどおり飄々と事件を解決に導いていく二人。
ちなみに今回、隆のバイト代は山ほどのマイセンとマイルーラでした。

4.セーラー服と設計図
隆の学校の同級生…但し隆とは正反対の真面目なタイプ…が依頼主となった事件。
ある集まりで知り合った女子高生と肉体関係を持った優等生。
しかし彼の至福は彼女からの『ない』の一言で終わりを告げる。
女子高生の両親が妊娠の代償として持ち出した条件は、彼の父親がアメリカで手がけている建物の設計図を持ち出してくることだった。

その建物というのは、『対空戦略防衛本部』だった。

女子高生が絡む事件なので、専門(?)の向井康子が登場。
夜の街で事件の調査に一役買います。
この事件でも、やはり涼介の過去を知る人物が登場、そして冴木親子の関係においておぼろげながら見えてきていたある事実が、ここでついに明らかになります。

以上の短編四本からなる今作。
今になって思えばシリーズとしては非常に寡作のシリーズですが、前振りの多い作品で、後の展開も色々と考えている感じのある作品です。
個人的には川村麻子さんのイラストが大好きでした。


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平凡なんてありえない/原田宗典
いまやベストセラー作家の一人。
本屋の店には彼の名前がずらりと並ぶ…そんな作家、原田宗典さん。

小説家として、そして劇作家として活躍しますが、やはり彼の仕事で外せないのがエッセー。
平凡なんてありえない』は、そんな原田宗典さんの書くエッセーを端的にあらわしている作品だなぁと思います。

内容は特段哲学的なわけでも、自らの人生が非平凡だと主張するわけでもなく、普通の生活の中にある話し…例えば、かつてのアルバイト遍歴を振り返り、作業着で銀座の町を闊歩した事や、肉体労働で稼いだお金はやたら甲斐性を感じたと振り返ったり、ごくごく普通といえそうな生活の一場面。
誰もが一度は通ってきたような、そんな道。

原田宗典さんがそれを『平凡なんてありえない』と名付けたのは、普通に生きている毎日が、『平凡』ではありえないという意思表示なのではないでしょうか。

若気の至りの項目の中へタイトルにもなった『平凡なんてありえない』というエッセーがあります。
その中で原田宗典さんは平凡という言葉を、平凡ではない状態しか存在しないのに、その対立概念として数字の『0』のような有名無実の『平凡』という言葉が生まれただけであり、実体はないし、それを説明できる人もいないと記します。

原田宗典さんのエッセーは読んでいて、面白さや懐かしさや、ほろ苦さ…色々な感情を含んでいますが、その内容自体は彼しか体験していないような出来事は殆どありません。
どんな人のどんな人生も表現の仕方が違うだけで、原田宗典の歩んできた人生よりも平凡という事は決してないはずです。
それはだからこそ、読んでいて楽しいという事なのかもしれません。


テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌


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環境と法律-地球を守ろう-/環境弁護士グループ「ちきゅう」
急激に進む環境問題。
日本でも環境問題が『公害』と呼ばれていた時代から、様々な法律が作られ、日本の環境、そして地球の環境を守るためのルールが存在します。

環境基本法、環境アセスメント…。
こうしている間にも増えていく環境問題に関する法律。

そうした法律の数々を一冊にまとめたのがこの『環境と法律』。
それぞれの法律が掲げる目標、取り締まる内容、そしてその理由…といった事を丁寧に解説してあります。
環境問題の専門書にありがちな、知識の弱い読者を置き去りにするような展開もなく、何故これを取り締まるのか、取り締まる事で何を目指すのか…といった具合に書いてあるので、非常に判りやすい。
具体的な例なども掲載されているので、法律の本というよりは環境問題を法律の観点から考える一冊といった具合です。

第一章では環境基本法の内容と、その制定までの歴史(地球サミット)などを解説。
第二章では公害として問題になった大気の問題について。
大気汚染、酸性雨、オゾン層の破壊、そして温暖化問題などを防止するための法律を解説。
第三章では水。
水を資源として考え、また同時にダムに関する法律についても記載。
第四章では様々な動物が生きることで保たれる生物多様性に関しての法律で、複数の国家で交わした条約、そして世界遺産についても解説。
第五章では廃棄物について。
その処理やリサイクルに関しての法律を説明。
この本の中では最も身近な内容です。
第六章ではエネルギーの問題です。省エネや新しいエネルギーについて。
非常に短い章です。
第七章では環境保全の法律に反する行為を是正する為の手続きを解説。
要するに訴訟を起こして、環境に悪い事をやめさせよう!という章です。
第八章ではある事業を起こす前に、環境への影響を事前に公表する環境アセスメントについて。

環境問題を学ぶのに必要な法律の知識は一通り得られる一冊だと思います。
この一冊を読んでから、個々の法律に関する専門書を読むと、非常に理解しやすいです。
というのも、法律は個々には独立した法律でも、どこかで他の法律とつながり、最終的には憲法が土台になるというシステムがあるから。
何かを勉強するのに、何かだけを勉強すればいい…というジャンルではないので、こういうスタートラインになってくれる本は大事です。


テーマ:この本買いました - ジャンル:本・雑誌


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明日を変える言葉/伊藤 守
ご機嫌の法則100と同じシリーズです。
こちらも自己啓発系。

…しつこいようですが、タイトルに惹かれた衝動買いです。
別に人生に疲れたりしていません。


こちらは先に紹介した『ご機嫌の法則100』と比べると、少し厳しめの言葉が飛び交う一冊で、タイトルどおり、気づかずに陥りがちなマンネリや後ろ向きな姿勢を打破する為の短い言葉が掲載されています。
僕自身もこういった内容の本とは縁遠い図太い人種ですが、『被害者やっていれば、人は自分を愛してくれると思い込んでいる。』とか、『誰かに操縦させているから怖いんだよ。』など、「あ、なるほどな」と思わせる言葉も多々あります。

ただ、この本にしても誰かの言葉。
結局のところ、自分の言葉で明日を変えていくしかないのかも、ですね。



テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌


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ご機嫌の法則100/伊藤 守
人生に疲れたわけではないのですが、タイトルに惹かれて衝動買い。

自己啓発系の本というか、ご機嫌である為の物事の考え方や姿勢について、著者の伊藤 守さんが一~五行程度の短いメッセージで語っています。
優しいなでまわすような言葉だけではなく、『下向いて歩いたって、何も落ちていない』と切り捨てたり、『ときどきは祈りなさい。自分以外の人の幸福を』と、ドキッとするような言葉を投げかけてみたり、なかなか読んでいて面白いです。
優しくて、ちょっと厳しい。
ちょっと苛々している原因は意外と自分にあったりするのかもしれませんね。

たまにはこういうメッセージを受け取ってみるのもいいのかもしれない。
…僕は年中無休、素でご機嫌だけども。


テーマ:紹介したい本 - ジャンル:本・雑誌


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お魚おもしろ雑学事典/大洋漁業広報室
魚の雑学に関する本です。
事典とは言いつつ、ポケットサイズ。

内容は表紙にもあるように、食べられる魚が中心。
裏表紙にも書いてあるような『何で海の魚は塩辛くならないの?』といった素朴な疑問から、考えてもみなかったようなイカとタコの頭と胴の位置…これ、見た目の逆なんですね…といった豆知識まで豊富です。

他、海に棲むという事で魚類以外にもクジラなども登場。
読んでいると普段食べていて良く知っているつもりになっている魚の意外な生態などが判って興味深いです。
こういった本にありがちな『そういう動物も居るんだなー』という感覚ではなく、より身近に感じやすい魚が取り上げられているので、読みやすいです。

食事の際に会話の無い家庭にはいいかも。

また中盤以降では魚の調理法。
一般的な調理法から一歩踏み込んだ方法などもあり、また後半では魚の栄養素も紹介。
雑学のみならず、なかなかいけます。

会話の無い家庭に一冊、今晩のおかずを考えるのが面倒な家庭に一冊、健康が気になる家庭に一冊。
家庭に一冊あれば何かと便利。


テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌


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独身貴族(花嫁失踪事件)/シャーロック・ホームズの冒険 The Adventure of the Noble Bachelor
シャーロック・ホームズの冒険内に収録されている花婿が消えてしまった事件と対比して、花嫁失踪事件とも呼ばれるこの事件は、ワトソンが結婚を直前に控えた時期に発生したものです。

この事件で特徴的な出来事は、ワトソンの方がホームズよりも事件に詳しかったという点です。
丁度、天候の急変により『アフガニスタン戦役に従軍した記念として片足に入れて持ち帰ったジゼイル弾の古傷』が痛み出した為、ワトソンは部屋に籠もって新聞の山に埋もれながら記事を読みふけっていた為、犯罪記事と尋ね人の項目しか読んでいないホームズよりも、ワトソンの方が出来事へ熟知していた、という事です。
自分が結婚を控えていたので人事ではなかったのかもしれません。

ある日、イギリスでも一流に属する貴族から、ホームズへ『自身の結婚に関連する不幸な事件』の依頼が舞い込んでくる。
結婚式の披露宴の最中に消えたというのだ…。彼女は見つからないままウエディングドレスだけが見つかった。
警察は容疑者として、新郎の昔の交際相手で、結婚式当日にも押しかけてきて騒ぎを起こした女性を容疑者とし、新婦が既に亡き者となっている可能性を考慮してウェディングドレスなどが見つかったすぐ傍の池の中の調査まで始めていた。
ホームズは結婚式の様子を一通り聞き終えると、事件はもう解決していると貴族へ伝えた。

この事件の冒頭で、依頼人は『私のような身分の者からの依頼は初めてでしょう?』と鼻にかかったような発言をするのですが、それに対してホームズは『この種の事件の最近の依頼人はある国王陛下なのです』とやり込めています。
事件に身分は関係ないと言いつつ、ホームズは貴族といった身分が余り好きではないのだろうか…?と思うやり取りでした。
スカンジナヴィアの国王であることまで話したところで、依頼内容を漏らすわけにはいかないとして話を切るホームズ。
充分すぎるくらい最も大事な部分を漏らしている気がするのは僕だけではないはず。
しかしよく考えれば、事件の内容を小説として発表する相棒まで連れてるぞ、この秘密を漏らさない名探偵

そういえばイギリスのマスメディアは辛口であるという事を聴いた事がありますが、この時代もそうだったのか、それともコナン・ドイルがそういう才能に秀でていたのか、この失踪事件の新聞記事で外国人との結婚が増加傾向にあるという事を伝えた新聞は『国産品(=イギリス土着の人)が著しく不利になりつつある』と評しています。

国産品かぁ。

ホームズはワトソンを残し、調査へ出る。
ワトソンがその帰りを待っていると、ベーカー街の彼らの部屋に、五人前の料理が到着したのだった。

ネタバレ等は続き以降で。
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テーマ:ブックレビュー - ジャンル:小説・文学


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生協の白石さん/白石昌則・東京農工大学の学生の皆さん
東京農工大学のキャンパス内にある生協の掲示板に貼り出される利用者からの一言カードと、それに書き加えられた生協側からの返答。

多くのスーパーで見られるこの掲示板がWeb上で話題となったのは、2005年ごろのことでした。
大抵の掲示板では、答えやすそうなもの、答えなければならないものを選別しているような感じがみられ、その返答も抽象的な返答が多い中で、この生協に勤める白石昌則さんの返答は率直そのもので、しかもいたずらとしか思えないような内容(牛を置いて欲しい、単位が欲しい…)にさえ、ユニークかつ真摯な返答をしている点です。

この白石昌則さんの返答に関してはユニークな点が良くクローズアップされていますが、それ以上に感じたのはきちんとした応対してくれる人なんだなという事でした。
入荷可能なものに関しては、カードで入荷を決めた事を伝え、また入荷に至らなかった商品でも、要望のあったような商品があるのかどうかの確認をメーカー側へし、その上で代替となりそうな商品を提示しています。
ユニークではなくても、充分に信頼を得る人物だったのだろうと思います。

その中でもユニークなやり取りが注目を集めるようになって以降は、まるで笑点のように学生達は御題を投げかけ、白石昌則さんはそれに真剣に切り返します。
白石さんが熱烈にプッシュしたせいなのか、この生協ではプロ野球チップスの売り上げがいいようで、彼の愛する土橋選手は本人も知らないところでローカルな人気を得ているようです。

印象に残ったのは白石さんが欲しいという書き込みへ対する返信。

私の家族にもこの話をしてみたのですが、「まだ譲れない」との事でした。
言葉の端々に一抹の不安は感じさせるものの、まずは売られずにほっと胸をなで下ろした次第です。



白石昌則さんは生協の従業員であって、決して教育者ではないけれど、教育の現場へ様々な形で携わる人というのは、学生のどんな言葉にも正面から向き合うような、そんな人であって欲しいと思うものです。
尚、本文の間にはご本人からのコメントもあり、こちらはいたって真面目な生協職員としての立場から、一言カードへ対する考え方や使い方などを語っています。


テーマ:**本の紹介** - ジャンル:本・雑誌


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白紙の散乱/尾崎 豊
晩年には作家としての活動も盛んだった尾崎 豊さんの写真&詩集です。

詩の内容は、哲学的なのが印象的。
テーマは恋愛であったり、人生観、自己啓発のような言葉であったり、多岐に渡るものの、物事の掘り下げ方が『詩』と呼ぶよりは、哲学的だなーと思いました。
選んでいる言葉も、そういう雰囲気を助長している感じがします。

写真は詩とワンセットで、撮影も尾崎 豊さん自身。
ページの見開きの一方が写真、もう一方が詩といった構成になっており、大半は自然であったり、街角の有触れた風景です。
特に後者の写真については、撮影者(編集者?)の意図を測りかねるほど、建物の一部だけを接写した物や、壁やフェンスだけを写したものもあります。

対になっている詩と組み合わされたその理由を読みながら考えてみるのも面白いかもしれません。

個人的には、写真では『海を知らなかった僕』とセットになっている朝日の写真が凄く綺麗だと思いました。
特にこの作品については、海の話題と海から上る朝日とで、作品中でも最も判りやすい部類に入る組み合わせです。

本文中のラスト、唯一写真とセットにならずに掲載されている作品。
『成就』の言葉は、たった一行であるものの、酷く重く響く言葉でした。


テーマ:オススメ本 - ジャンル:小説・文学


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グラスウールの城/辻 仁成
音楽に最も近い文章を書く作家と言われる、辻 仁成さん。
自身もロックバンド、エコーズでデビューした音楽家の一面を持っています。
そんな彼が、音楽業界に勤める主人公を通じて『音』という物を再考し、読み手に問いかけてくる小説が、この『グラスウールの城』です。

主人公は幻聴に悩む音楽製作のディレクター。
彼の耳には、様々な幻聴が聞こえていた。
それは職業病の楽器の音であったり、時には飛行機の爆音であったり…。
昼夜逆転した忙しい日々の中、病院にいけば?という彼女との関係も微妙になってきている。

そんなある日、彼は変わり者と評されるエンジニアと仕事をする事になり、彼がストレスレスミュージックと呼ぶ『精神を癒す為の音楽』を持ち込む。
その音楽を聴いたエンジニアは、デジタル録音の弱点について語り始める。可聴周波数から漏れた音をカットしてしまうデジタル録音では、脳にとって心地良い音を再現しづらくなってしまっているというのだ。

やがてそのエンジニアは、彼に人間の聞こえる範囲の五倍以上の周波数を扱えるスピーカーを紹介する。

この出会いから、ヒットミュージックを手がけるディレクターである主人公と、音楽との付き合い方が微妙に変わっていく…。

ネタバレ等は続き以降で。

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テーマ:ブックレビュー - ジャンル:小説・文学


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東京を江戸の古地図で歩く本
一時期こういう本が流行っていましたよね。
江戸時代の地図を持って、東京を歩き回る事でかつての江戸からの変貌ぶりを思い知ったり、逆に江戸の面影を残しているものを探す…そんな本です。
活字での解説のほかに、江戸時代の地図と原題の地図の対比もしているので、変化が目に見て取れます。

概ねは大きな変化です。
江戸は地図を見れば見るほど、水運で栄えた水の都。
今の東京とは全く違う…と思いきや、意外と東京にも江戸時代の名残が見え隠れするようなスポットがあるので驚きです。

もちろん完全に消えてしまっている物も多々。
渋谷の地名の由来になったとも言われる渋谷川なんて、名前さえ聴いた事が無いという人も多いのではないでしょうか。

また江戸時代は坂ごとに判りやすい地名をつけて目印にしていたとも言われますが、そうしたかつての地名の由来から、その場所のかつての様子をうかがい知る事をしてみたり、かつての建築物などの様子も記録されているので、この一冊があれば東京の町並みを歩くだけで、江戸時代に頭をタイムスリップさせて楽しむ事も出来るかも、しれません。



テーマ:オススメの本の紹介 - ジャンル:本・雑誌


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15歳のポケット
山田かまちさんの作品を年代別に三つに分けて発表した作品集の丁度真ん中に当たるのがこの『15歳のポケット』です。

最も若い時期の作品集である『10歳のポケット』と比べると、随分と雰囲気が違っているのが特徴的で、作品中から伺える自分自身のあり方に思い悩んだり、恋愛に思いを馳せたり、将来を夢見たりする姿はまさに等身大の思春期の少年の姿そのものです。

またこの時期には山田かまちさんの作風を決定付けていく様々な出会いや出来事が起こっています。
まず端的にうかがえるのはビートルズやそのメンバーを中心とする洋楽のロックバンドへの傾倒。
作品の中にその名前が出てきたり、肖像画や、ジャケットをデザインしてみたり、また同級生で後にはロックバンドボウイ(BOФWY)を結成する氷室京介、松井恒松といった友人とロックグループを作って音楽に興じていたそうで、こうした活動は○○歳のポケットの三部作には掲載されていないものの、幾つかの楽譜となって遺されています。

そして作品の中に暗い影を投げかける事となる祖母の死。
ガンで余命が長くないという事を知った山田かまちは、その死の前後に非常にナーバスな時期があったそうで、それらの感情は作品として遺されています。

作風では詩はもちろん、特に絵画で抽象的な作品が増えているのも特徴的で、年齢を考えると信じられないほど重厚に塗りたくられたイラストは、上手くまとめられない感情に苦しむ思春期の少年の感情そのもののように仕上げられています。
一方で写実的なイラストも、その鋭さを増し、ロックバンドのメンバーや裸婦のイラストは非常に美しく、そして繊細に描かれています。

この作品は、そのまま誰にでもあった思春期という時期の自分自身の姿だと思います。混沌とし、抱えきれないほどの感情を抱えながら、それでも止まる事も出来ずに大人へと猛烈なスピードで進んでいく。
そんな瞬間が、この一冊には鮮やかに記録されています。


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犯人にされたくない/パーネル・ホール
事故調査専門探偵、スタンリー・ヘイスティングズを主人公に据えた探偵小説の第二段です。

前作での出来事を機にスタンリーは探偵業から足を洗おうとしていたようです。
以前の事務所を実際に数ヶ月間は離れ、必死で本業の作家として身を立てようと努力を重ねたものの、雑誌などのコピーの仕事が取れただけで、彼が望む『ほんとに読んでくれる読者のいる本を書きたい』という理想には届かなかった。

しかしそれでもこの業界へ戻って現役の探偵として推理小説の舞台へ戻ってきたのには深い事情があり、息子が私立の保育園へ入園したからだそうです。
色々な探偵を見てきたけれど、なかなかこういうシチュエーションはなかった。
尚、所属する法律事務所でのコードネームはエージェント005。名前だけは出来そうな名前になりました。

ちなみに、彼が理想とする作家はカート・ヴォネガット。
アメリカを代表する人気作家の一人で、独特の表現を用いて人類の本質等を語る作家として有名な方です。
彼にあってスタンリーにないもの。

才能、スタイル、ウェット、そして実績
…他に、何があるんだろう。

今作ではスタンリーの才能を信じて疑わない妻が、友人の抱える問題の解決を依頼する。
当初、彼は前作『探偵になりたい-DETECTIVE-』の反省(話を聞くだけに留めて終わるつもりが、事件に巻き込まれてしまった!)から、話を聞くだけでも…とい提案に対し、それを拒否するがページが変わると早々に妻の友人と話している

知人が一人で子供を養っていく為に行っていた売春。
母が急病で食事に付き合うだけでいいと拝み倒され、代わりに行ってレイプされてしまい、その後撮影された写真とビデオを脅しに売春を強要されていた。
しかしその犯人は死体で発見されてしまう。
スタンリーは新たな捜査術である『嘔吐捜査法』によって、撮影されたビデオを回収する。
そして警察へ連絡を入れるのだが…。

警察との会話も、さすが親近感溢れるものです。
室内で触ったものがないのか?の質問に電話に触れた理由を答えた一言が『警察に電話するために』。
ごもっとも。そして死体を見て一番に嘔吐したので、トイレにも触れた。
気楽な会話はここまで。メモ一枚の行方によって、スタンリーは事件の容疑者になってしまったのだから。

ネタバレ等は続き以降で。
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るるぶ全国自然探検
るるぶシリーズで、全国の自然と親しむことが出来るスポットを紹介した一冊です。
この一冊をぼんやりと眺めているだけでも楽しめます。

野生動物、海洋生物、昆虫、鳥…といった動物と触れ合うスポットや、屋久島のような、豊富な自然が残されているスポット…、今は自然を探して楽しむ時代になってしまったんだなと、楽しむ半面で寂しい感じがしますね。

内容はエリア別で、北海道、東北、関東、甲信越、東海・中部・北陸、近畿・中国・四国、九州・沖縄の分類。
特にバードウオッチングのスポットは便利。目に付いたのは山梨県の『ムササビウオッチング』!
…そんなものまでウオッチングできるのか。

もちろん自然を見て楽しむだけではなく、ボートや体験学習のスポットについても紹介されています。

1998年、この本で紹介されている場所は今でも自然を守り続けています。

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ウェブレイアウトドリル
ウェブデザインの本です。
2002年の本ですが、フレームからグローバルデザインまで出揃っている時期なので、今になっても古臭い感じは全くありません。

色々なウェブデザインの本があり、中に掲載されているデザインを見ているだけでもインスピレーションが沸くような事も多々あるのですが、この本の特徴はドリルという言葉。

懐かしいですねぇ。
漢字ドリル。
計算ドリル。
電動ドリル。

ドリルという言葉を聴くだけで絶望的な気分になる方も多いでしょうが、この本の特徴はこういうデザインを作るなら、こういうソース…というやり方ではなく、掲載のソースは飽く迄も『回答例』として次のページに掲載し、画面にあるデザインの再現の仕方は個々の好みや考えで作り上げて見て下さいという形。
こういうデザインって、色々とあるじゃないですか。
テーブル一つでデザインを作ってもいいけど、テーブルは全て読み込まないと表示されないから、テーブルを複数に分けて先にいくらかは表示されるようにしてみるとか。
同じデザインを作るのにでも、ソースは決して一つではなくって。
自分なりに考えて、プロが作ったデザインと比べて、それでどちらがいいのかを考えたり、足して割って自分なりに完成させたり。

そういう部分を重視しているウェブデザインの本ということで、僕のお気に入りです。


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江戸の庶民の朝から晩まで
タイトルどおり江戸の庶民の生活を網羅している本です。

第一章は食事と服装などの装飾。
江戸時代に寿命が延びると信じられていた初物人気や、江戸時代に起源を持つ食べ物、人気を博したソバなど、庶民が食べた食べ物を紹介。
服装については、当時の流行やファッションリーダーとなる存在について。
現在のように芸能人や人気も出るという存在が居ない頃は、なんと歌舞伎役者等がその役割を果たしていたそうです。

第二章では暮らしぶり。
長屋での生活について記しており、布団からトイレ、お風呂に『江戸の華』とまで呼ばれた火事の多発についてが紹介されています。

第三章は恋愛沙汰。
イメージとして恋愛という物が沸かない江戸でも、意外と武士以外は自由恋愛が存在したようで、さらに離婚届けに相当する『三行半(みくだりはん)』まで存在します。(離婚に同意する文章で、大体三行ちょっとで必要な事を書いていたそうです。
他、性風俗や結婚適齢期を逃した女性の暮らしぶりなども紹介されています。

第四章は娯楽。
当時の感覚で言うと湯屋の銭湯も娯楽に入るみたいです。
他、見世物小屋やらガーデニング、ペット、そしてギャンブルまで江戸の庶民が楽しんだ娯楽が一通り紹介されています。

第五章は犯罪。
切り捨て御免!では通らなかった武士の実情、人口に対して全く足りていなかった警察官の数で治安を守ったその背後関係、世界でも有数の残酷さとも言われる拷問や刑罰の実情を紹介。

第六章はお金の話。
貨幣の種類や価値のほか、郵便や瓦版の価格など。
他、ベストセラー作家の所得についても。
…これは作者の好奇心で調べたのだろうか。
教科書で習う武士の貧困についても書いてあります。平和すぎると武士って大変みたいですねぇ…。
庶民の生活については幾つか実例を挙げて紹介してあります。

第七章は文化。
ベストセラーとなった本、寄席などから江戸庶民の文化が垣間見えます。
世界でもトップクラスに高かった寺子屋の就学率や、習い事についてなどの実情も記載されています。
意外と習い事が人気だったそうです。

第八章は仕事。
何をしてでも仕事に出来る。逞しい江戸の人々の仕事が紹介されています。
意外と多彩な職種は現在以上!?
奉公人の大変さや、資格のない医者という職業についてなど…この章を読むと時代劇を見るのが楽しくなりますね。

第九章は都市システム。
ゴミの処理や、非常に整備が進んでいた上水道など。
特に前者はリサイクルがかなり進んでいることで、現在でも江戸時代へ戻れ!といった論調を見かけますよね。

第十章は観光と旅行。
旅行の一番人気は伊勢参りだったそうです。
一生に一度は行って見たい!そんな旅行の行程等。

以上、十章です。
読んでて思うのは、こういう見方をすれば歴史って面白いなって。
歴史の授業にもこういう要素が入ってても面白いですよね。
この本は江戸時代限定ですが、こういう内容を知ることで江戸自体に興味を持てれば、それが江戸時代の歴史自体を知ろうとする姿勢に繋がったり、庶民の気持ちから歴史の流れを理解しようとする姿勢になってくるんじゃないかな?とか。
楽しみながら勉強する…こういう喜びをもっと知っていれば、違った人生もあったのかなぁ…って、壮大なことを考えたりしました。


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[使用上の注意]がすべてわかる本
色々な事や物の使用上の注意が判る本。
いわゆる使い方についての記載、そして物事の注意等、使用上の注意というタイトルに縛られずに、色々なことの注意を呼びかけます。

前者の表現だと、表紙に記載してあるような『煙草』、『防弾チョッキ』といった使い方を誤ると…という内容、後者の場合だと、例えば待ち合わせをハチ公にする際に、どうすれば田舎者に見られないか…といった内容です。
ピアスの使用上の注意では金属アレルギーのほかに、満員列車での危険(耳たぶが引きちぎれる!?恐ろしい表現をしています)や、スーツの色から来る印象など、意外と深く追求しています。

たまにスペースシャトルの使用上の注意とか、核発射ボタン等、確かに注意は必要そうだが、注意してどうこうなるものでもない…といった内容があるのはご愛想。

その一方で玉露は熱湯で入れないなど、役立ちそうな内容もチラホラ。
悪ふざけと実用性が同居した一冊です。


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技師の親指/シャーロック・ホームズの冒険 The Adventure of the Engineer's Thumb
ワトソンがホームズへ持ち込んだ事件の一つです。
この作品が書かれている時点でワトソンが持ち込んだ事件は二つ。
しかし事件が奇怪で展開が劇的だったという事で、掲載するのに選ばれたのが『技師の親指』事件です。

そもそもの事件の発端は、ワトソンびいきの患者が親指に大きな怪我を負った水道技師を連れてきたことに始まります。

非常に忘れられやすい設定ですが、ワトソンはそこそこ腕のいい医者です。
何故か僕は水にブランデーを垂らすのが上手い医者というイメージしかないのですが、今回の患者は『飽きることなく私(ワトソン)の才能を吹聴』している人で、知っている人が医者を必要としていれば、『私の診療を受けるように仕向けてくれた』そうです。
仕向けるっていう表現もどうかと思いますが。

ちなみに治療が終わった後で、水道技師は『ブランデーと包帯のお陰』ですっかり良くなったと答える。
…ワトソンの治療ではなく、ブランデーと包帯。
恐らくこの辺りの文章から、僕のワトソンのイメージが作られているのだと思います。水にブランデーを垂らす名手。彼が垂らせばどんな病気も回復してしまう…!

そして実際にこの患者は非常に元気になっています。
駅員と一緒にワトソン宅へ→ホームズの家へ到着→皆で朝食→ホームズへ事件の説明→警視庁→事件現場
実に活発に行動をしています。ブランデー、恐るべし。

閑話休題。
事件は水道技師の事務所へ、破格の報酬で持ち込まれた仕事がきっかけです。
たまたま購入した土地から、高額取引される漂布土の層が発見された。
それをよくよく調べてみると、近くの土地からはもっと沢山取れるらしい。
そこで、その漂布土をこっそりと採取し、それを元手に周囲の土地も買い占めて、その漂布土を確保しよう!と思いたったものの、その工事に使っている水力圧搾機が故障してしまった…なので、秘密を守れる人間に深夜、こっそりと修理に来て欲しい…そこで目をつけられたのが、無名ながら腕は確かで、家族も居ないから秘密漏洩のリスクも低い、今回の依頼人だという。

しかし依頼人は現場で機械の使用目的がそれとは違うのではないかと指摘してしまう。
それによって命を狙われます。
どうにか逃げたものの、その際に親指を切断されてしまったのです。

ネタバレ等は続き以降で。
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ファミコン探偵倶楽部2 うしろに立つ少女/ディスクシステムセレクション
かつてファミコンディスクシステムで全編と後編に分けて発売された、アドベンチャーゲームの大作、ファミコン探偵倶楽部。
2004年にはファミコンミニの『ディスクシステムセレクション』としてGBAのソフトとして復活を果たしました。

そのシリーズ第二作は、物語の時系列から言うと第一作目以前の出来事で、探偵・空木俊介との出会いや相棒である橘あゆみとの出会いなどが描かれています。

シリーズのヒロインである橘あゆみはある事件の当事者の一人でした。
彼女との出会いは、彼女の親友と二人で作ったサークル『探偵クラブ』の仲間でもある小島洋子の遺体が河原で見つかった事に端を発します。
やがて殺人事件であることが判り、その調査の為に小島洋子の学校へ調査へ赴く中で、二人は協力して調査を進めます。

殺人事件を調べていくと、小島洋子は死の直前に学校に伝わる怪談『後ろの少女』を調べていた事が判る。
この事実と、殺人事件の調査が交錯するとき、15年の年月にまたがった事件の真相が明らかになる―。

システム自体はオーソドックスなアドベンチャーです。
出たのが1989年だから、もうこの時代にはアドベンチャーの形は整っていたんだなーというのが正直な感想です。古いだけにもう少し違和感を感じるのかと思っていたので、意外な気がしました。とても遊びやすかったです。
GBAのディスクシステムセレクションでは、当時のゲームをそのまま復刻させているので文字もロゴ以外は全て平仮名です。
そして画面もドット絵と呼ばれた当時のまま。

そういう雰囲気もまた楽しみつつ。

当時のゲームにありがちな、一定の行動をこなさないと次に進めないというパターンなので、全ての選択肢をくまなくこなしていれば、基本的には前に勧めます。(あったよなぁ…次に何をすればいいのか判らないまま序盤で最高レベルとか)
時には話しかける相手を選ぶ『呼ぶ』のコマンドが、一緒に行こう!と誘うためのコマンドとして流用されたり、容疑者を追い詰めるシーンでセーブ用の選択肢である『調査をやめる』を選ぶと、事件から手を引くといった発言に繋がったり…結構柔軟に選択をしなければならない場面もあります。

ただ時代柄なのか、設定は無茶。
死体が見つかるや否や探偵に連絡が入るやら、学園内の調査は15歳の男の子に一任やら…。
でも最初の一歩に目を瞑れば、後はきっと大丈夫

ファミコン時代のアドベンチャーというと、結構シュールなコメントが多いイメージがあります。
今作でも、時計(時間は固定で、飾り)を調べると常に同じ時間なのに深い意味はないとか、死体の調査時にカーソルの位置が胸元だったりすると『エッチなことを考えているんじゃないだろうな』等といわれたり。

…ま、当時の雰囲気そのままという事で。

内容自体は良く出来ていると思います。
タイトルで誤解を招きそうなのですが、怪談は決してメインではなく、殺人事件を解き明かすゲームです。

尚、ゲーム内で不良の描写などがあるせいか、1989年から15年が経過した2004年の復刻ではCERO15に指定され、任天堂から発売されるソフトとして最初の指定という記録になりました。
実際、遊んでいて15歳未満の子に与える影響なんて…と思いつつ。
箱の中には調査メモみたいなのも入っていて、何気に本格的。

ネタバレ等は続き以降で。
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新版・失くした1/2 尾崎 豊にアンサー・コール
尾崎 豊という十代の教祖とまで呼ばれたカリスマ性の高いメッセージソングを歌うロック歌手に対する僕の一番古い思い出は葬儀のときのものです。

沢山のお兄さん、お姉さんが泣き叫んでいる。
そんな、風景。
幼かった僕には不思議な風景でした。
それが尾崎 豊という歌手の葬儀の風景だと知ったのは、それから何年も後のことで、その葬儀のイメージから彼の作品を幾つか手に取って見る事になりました。皮肉なもので、その葬儀のシーンを見なければ彼の作品を手に取る機会も無かった事でしょう。

さて、今でも尾崎 豊さんのファンは増え続けているのだそうです。
死んだ時、僕でさえ良く名前を知らなかった歌手をその時まだ生まれていたかどうかといった世代が知っていて、その歌を口ずさんでいる。
なんとも不思議な気がします。

この本は元々尾崎 豊さんが存命中に音楽活動を休止させるまでのバイオグラフィーと、その活動休止中の尾崎 豊さんへ対するファンの声をまとめたもので、『新版』では、彼の一周忌に際してファンの声を『アンサー・コール・アゲイン』として、彼の死から一年を経って改めて贈る感謝の念や、これからの人生に対する前向きな気持ち、そして寂しさなど…様々な感情が綴られています。
その多くは尾崎 豊さんと同世代や、彼の言葉に惹かれた当時の十代といった若い世代の言葉ですが、驚く事にメッセージの中にはずっと年長の方もおられ、彼の言葉への共鳴を口にしていまるのです。

高いカリスマを持つ方の急逝にはいつも後追いの悲しい事件が知らされ、尾崎さんの時にもそのような現象が起こっていたと聞きます。
しかし一方で彼の死を受け止めた上での『アンサー・コール・アゲイン』では、前向きに生きていくことを誓う言葉ばかりが並び、後ろ向きな発言は殆ど見られません。
ある高校三年生は強い文面で『生きてゆくことを約束します』と綴る。

僕は彼の作品にそれほど触発されたりする事はなかったものの、この一冊を通して、彼がどれほど支持されていたのか、どれほどの影響力を持っているのかを知ることが出来たような気がします。

迷いながら歩いていく、それでいいと思う。
乱れ、狂い、混乱…。
大人は随分と色々な表現で若い子たちを語ります。
だけど、僕達も随分と迷って今の年齢になりました。
そしてそうして迷いながら生きてきたことを、決して恥じない。

いつの時代でも、若者は迷って壁にぶつかりながら、成長していくものだから。
それが大切に思っている人の死でも、
ほらこんなに多くの人が立派にそれを乗り越えて見せたのだから―。


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まだらの紐/シャーロック・ホームズの冒険 The Adventure of the Speckled Band
シャーロック・ホームズシリーズの中でも人気の高い作品で、作者のコナン・ドイルにとってもお気に入りの作品の一つだった『まだらの紐』事件。
事件の雰囲気は『消えた花婿』事件に近い感じでした。

依頼人は義父と二人で暮らしている。
義父は元医者だが、依頼人の母親と結婚した後、その母親の死をきっかけにサリー州にある先祖代々の家へ、母親の連れ子二人(依頼人と、その双子の姉)を連れて引っ込んでしまう。
医者を廃業した彼の主な収入源は、亡くなった依頼人の母親の残した遺産で、二人の娘が存命中はその収入で一家を支え、娘が結婚するごとに一定の額を嫁に出た娘へ分ける…という遺言になっていた。

話は依頼人がベーカー街を訪れる二年前に遡る。
依頼人の姉が結婚を決め、あと二週間で閉塞的な暮らしから脱出し、幸福満ち溢れる新しい家庭を築く…そんな時に、その姉は謎の死を遂げてしまう。
最後に彼女が残した言葉は『まだらの紐』という奇妙な言葉。
しかし完全な密室であったことなどから、真相は判らないまま過ぎてしまった。

それから二年の月日が過ぎ、依頼人も結婚が決まった。
部屋の改修工事の為に亡くなった姉の部屋へ移動した彼女が聴いたのは、姉が死の直前に口にしていた謎の口笛。
恐れを感じた彼女はそのまま家を抜け出し、ホームズの助けを求めたのだった。

この事件、冒頭に妙な部分があります。

ある朝ふと目を覚ますと、きちんと身なりを整えたシャーロック・ホームズが私の寝台のそばに立っていた。

こわっ
何してるんだ、ホームズ。
依頼人の様子から奇怪な事件かもしれないと思ったホームズは、どうやら気を利かせてワトソンにも最初から立ち合わせてあげようと考えたようだが、人を起こす際はベッドの横に立つのではなく、声をかけるほうが効果的な気がする

起こしたことを詫びながら、ホームズは続ける。
『今朝はどうやらみんながこんなことになる運命らしい。まずハドソン夫人が叩き起こされ、彼女がそれに腹を立てて僕を叩き起こし、つづいて僕が君を起こしたというわけだ
ハドソン夫人が怒ってホームズを叩き起こすシーンは非常に興味深い。
最後の運命は一人の名探偵のちょっとした気遣いで避けられたような気がするが、ワトソンはそれを喜んでいるようなので二人の関係に口出しは無用だろうか。

また、依頼人が帰った後で娘を尾行して乗り込んできた義父が、自らの力を見せ付ける為に火掻き棒をへし曲げて帰ってしまった後、ホームズは何気にその火掻き棒をまっすぐに戻すという力技を披露している。

依頼人の家での調査では幾つか奇妙な点が見つかる。
天井にくくりつけているだけの状態になり、全く意味を成さない呼び鈴の紐、そして隣の義父の部屋と通じているだけで外気を取り込めない通気孔…。
これらの不可解な点が意味する真実とは…?
二年前、置き去りにされ、そして繰り返されようとしている悲劇の謎が名探偵の手によって明かされる。

ネタバレ等は続き以降で。
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テーマ:ミステリ - ジャンル:小説・文学


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魔女狩り/森島 恒雄
世の中に起こる災害や悲劇。
それらの原因を魔女として、理不尽な裁判を行い断罪する。
現在では信じられないような裁判…魔女裁判が実際に古くより行われており、それは驚くほど近年まで行われ続けていました。

古くはジャンヌダルクの裁判さえ、魔女裁判に近しい形式で行われ、妖術によってフランスの大勝がもたらされたとされたように、事実を彎曲させた判決により魔女とされた多くの命が奪われ続けてきました。

この本では、そうした魔女裁判と魔女狩りの歴史が詳細に記されています。

ちなみ16世紀後半から確立された魔女の定義は、悪魔との結託(契約)によって何かしら不思議な能力や力を得ている人物…といった感じです。
2000年以上前のモーゼの魔女を生かしておいてはならないという大義名分を掲げ行われた裁判。
まず逮捕は魔女の罪の告発と立証、告発のみ(事件への関与は望まない)、世間の噂…この三つのパターンにより、そして殆どのケースは後者の二つがその理由でした。
そして逮捕された魔女は、身に覚えのない質問へ対して、読むだけでも苦々しく胸の苦しくなるような拷問が行われた上でYESの返答を導き出し、それが自供となり判決が下される。

著者は本の後半で以下のように語る。
およそ思い浮かべられる限りのあらゆる不義、悪徳が、むしろ正義、美徳として、なんのためらいもなく、確信に満ちて堂々と行われているのである

魔女裁判だ、異端だ、定義だ、判決だ…。
そんな言葉で正当化されてきた魔女裁判。

今の時代に魔女裁判なんてありえないでしょう。
しかし、新たな魔女の定義を作り出し、理不尽な裁判が行われてしまう危険性が全くなくなったわけではありません。
歴史を学ぶという事は、繰り返してはいけない過去を知ることでもあるんだな…と、そんな風に思わされた一冊でした。



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KEYWORD民法 Ver.1 民法用語辞典
法律を勉強する時に欠かせないのが六法全書。

だけど、六法全書に書いてる意味が判らないという絶望的なシチュエーションも多々起こりえます。
『俺にはこの国のルールさえも判らないのか…』としょげる前に、便利なのが用語辞典。
このKEYWORD民法もそうしたものの一つで、文字通り民法に出てくる用語の解説をしており、条文に出てくる言葉だけではなく民法を勉強する上で必要になる言葉を一通り網羅しているので、非常に便利です。
逆に用語から関連する条文を探したり、一つ一つの用語に対して多少ながら例を上げて解説しているので、この本を通しで読むだけでも充分に勉強が出来る構成になっています。

それにしても、こういうのを読んでいると法律の文言を判りやすくする作業は難しくても早急に進めていったほうがいいような気がします。
法律の内容に入る前に、(法律用語の)日本語のお勉強から入らないといけないなんて!


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鞆の浦殺人事件/内田康夫
IT'S SHOW TIME!!
それではどーぞっ、内田康夫ショー!…という作品です。

プロローグ、名前が明かされない二人の犯罪の匂いのする会話から一転、ホテルニューオータニで缶詰めになって執筆活動を続ける内田康夫さん。
何気に赤川次郎さんの誕生パーティーへ参加したエピソードも綴りつつ、自分の囲碁の実力を淡々と語る。
囲碁の別名は手談。
その通りなの通り、シャーロック・ホームズばりに囲碁の打ち方から、偶然知り合った老人の職業を推測してみたりする。

政治家だな―
その間宮という老人に高級料亭でご馳走になり、仕事へ戻る内田氏。
そこまでは良かったのだが、ここからどうしたものか事件へ巻き込まれていく。

『鞆の浦へ行きな』暗示的に呟かれた真夜中の電話。
そして翌朝、内田康夫さんの部屋を警察が訪ねる。間宮老人が行方不明になり、昨夜、高級料亭で食事をご馳走になっていた内田康夫さんに操作の目が向けられたというのだ。

まだ、浅見光彦は登場しない。

そしてようやく浅見光彦の登場。軽井沢のセンセからの電話を知らせる声で目覚めた。
軽井沢のセンセとは、作品中での内田康夫さんの通称。
家政婦の須美子からすると、浅見光彦をフリーライターへと導いた大罪を犯した人間へ対する蔑称であり、この朝も『いかにも不潔なものを吐き出すように』その名前を口にしていた。
余り表に出ることはないものの、浅見光彦シリーズというのは、シャーロック・ホームズシリーズ同様に、名探偵と伝記作家という役割で成り立っている…設定になっていたと思います。

内田康夫さんは警察に怯えて助けを求めて電話をかけたのだ。
警察にしょっぴかれたら、何もしてなくったって有罪だよ
ちなみにこの人はテレビドラマでも人気を博する信濃のコロンボシリーズの作者でもあります。

しかし、この出来事はうやむやに終わる。

そして浅見光彦は四日間、何事もなく過ごす。
四日後の朝、浅見光彦は執念の交渉によって夕飯のステーキを勝ち取る…と、そこへ一本の電話がかかる。
軽井沢のセンセからだ…。

広島で起こったある不審死。
その亡くなった船頭がホテルで囲碁を楽しんだ間宮老人だというのだ…。
そして事件の起こった地名、鞆町鞆…。
原稿の〆切がある内田康夫は、浅見光彦へ事件の調査を依頼する。
しかし、浅見光彦はその調査を断って電話を置く…が、その直後に鞆で再び殺人事件のニュースが入る。
浅見光彦は、夕飯のステーキを振り切った。

かつて福山の地に大いなる繁栄をもたらしたN鉄鋼。
当時、その推進力として高い能力を発揮していた常務川崎達雄。
彼の死と、先に不審死で発見された船頭との事件の関係は…?

事件が船頭丸山が川崎をかつての工場建設による土地買収によって人生を狂わされたことを恨みに思い、殺害後自殺…そう処理されそうになっている時、往年のコンビが蘇る。

時代は遡り、芸備線三次駅である殺人事件が起こった。
尾道から東京へ帰るはずの女性が、途中で死体で見つかったのである。
事件の調査は行き詰まっていた。
そして警察内部で上司と対立して捜査から外された野上刑事。
その調査の中で、八年前のある事件へ行き着く。
ある土砂崩れの事故で亡くなった、浅見祐子の事件だ―。
その過程でその被害者の兄と出会う。
兄の名前は浅見光彦。後に名探偵として日本中にその名を知られるようになる男である。
(後鳥羽伝説殺人事件)

この事件で知り合った野上と、再びコンビを組んで事件解決へ当たる浅見光彦。

旅情殺人らしく、ホテルや食事の記載も多彩。
本拠地となるホテルへ着いた際、愛くるしい若い娘に案内されて『いい。
ロビーでスリッパを出してくれた女性も若くて可憐―『いいぞ、いいぞ―』高まる期待。
部屋と食事の確認を取って報告しに来た最初の若い娘の健気な様子に、『むやみに嬉しくなって、旅の本来の目的を見失いそうだった
須美子がルポライターへ導いた軽井沢のセンセを嫌うのは、この辺りに理由がありそうな感じの一文でした。

広島の地で、再び浅見光彦が失われかけた事件の真相を暴く。
そして、内田康夫さんが遭遇した謎の出来事の真相とは?

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青いガーネット/シャーロック・ホームズの冒険 The Adventure of the Blue Carbuncle
この作品を始めて手に取ったのはまだ小学生の頃でした。
叔母に児童文学のシャーロック・ホームズ短編集を貰って、その中に収録されていたのがこの作品で、確かに今になって読み返しても、推理小説の醍醐味というよりは、意外性や後半の尋問といった面で凄く楽しめる作品だなぁと思います。

ワトソンが季節の挨拶の為にホームズの住むベーカー街を訪れたところ、ホームズは一つの帽子を調べていた。
この一つの帽子から、持ち主の特徴をまるで推理ゲームのように調べて見せるホームズ。
ところで、矛盾点ではないものの一つだけ納得のいかない推理があります。
頭がいい理由として、帽子のサイズから『これだけ大きな頭なら、中身も相当詰まっていると見ていいだろう』。
マジッすかっ。どれだけでかい頭なのかと思ったら、ホームズがかぶると鼻の上まですっぽり…相当でかいらしい。っていうか、このシーンのホームズがファニーだと思う。シドニー・パジェットのイラストで見てみたかった。
一見ありふれた帽子だが、これには何か恐ろしい因縁がまつわっているんだね?』ワトソンは息巻いて尋ねるのだが、ホームズは笑いながらそれを否定して、世の中には犯罪とは無関係でも奇怪な事件もあると諭す。
…ホームズも大人になったものです。

この帽子を拾ったのは、守衛のピータースン。
喧嘩の仲裁に入ったところ、制服姿で駆けつけたので皆慌てて逃げてしまった為、戦場を独占したピータースンは残された帽子とガチョウを手に入れる。
ところで大久保康雄さんの訳によるガチョウの持ち主の男の通称は『鷲鳥男』。
なんか、あれだ。
仮面ライダーに蹴っ飛ばされてそうな名前だ。

ガチョウの足には名前が記されているものの、四百万人という人々が暮らす都市でその一人を特定するのは非常に難しい…頭を悩ませたピータースンはホームズへこれらの戦利品を持ち込む。
ホームズは『僕がどんな些細な問題にも興味を持つのを知っているので』と、その理由を語るが、読者は、面白みがない問題なら興味がないという事実を知っている
しかしガチョウは悪くなってしまうものなので、戦いに勝利した(?)ピータースンに持ち帰ってもらう事になった…が、そこからこの奇妙な事件が幕を開ける。
もはや事態は犯罪とは関係のない推理ゲームから、重大な犯罪に関与する事件に発展したのである。

ガチョウが卵を産んだのだ。
それも、青いガーネットといった風変わりな卵を…。

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テーマ:ブックレビュー - ジャンル:小説・文学


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乗れるクルマ 乗ってはいけないクルマ /森 慶太
本が出版された当時(2000年)に現役モデルだった車を、乗れるクルマと乗ってはいけないクルマの二種類へ大別して解説する本です。

こういう本は、大御所から雑誌のライターまで、やはり書いている人の趣味が反映されるなぁという感じは否定できないものの、そこを割り切って読めばこういう本も面白いと思います。
森 慶太さんは主に実用面、車のバランス、生い立ち、オリジナリティといった要素を重視している感じで、サクッと批評していきます。

『乗ってはいけない』を見ていると、日産車の乗ってはいけない率が異常に高い気がする。
著者の好みもあるかもしれないけれど、1999年にルノー傘下へ、そして2001年にCEOとして名物社長のカルロス・ゴーンさんを迎え入れる直前の時期、暗黒時代とも評される日産の闇の時期だけに仕方なかったのでしょうか。
初代キューブに『マーチを土台によくぞここまでヒドイクルマを』と評したり、ルネッサを『このクルマだけは絶対買ってはいけない』と言ったり、批評は心地良く。
日産に限らずやられています。
商用車と乗用車の悪いところを集めるとこんなかたちになる』(ライトエース/タウンエース ノア)
要領のよさだけで作った、愛のない小型車』(ロゴ)
乗っている人をミジメな気持ちにさせるリアシート』(RVR)
…等々。
乗っている人から見れば大きなお世話ですけども。購入時の参考にはなるかもしれません。

掲載している100(乗れるクルマ、乗ってはいけないクルマ各50ずつ)台に加え、巻末で一言だけを沿えた簡単な批評が340台。個人的にはこの一言だけで一冊作ってくれれば満足でした。
まぁ、でも。
結局どういう本を読んでも結局は自分がいい!と思った車に乗ればいいみたいです。事前に知識を入れて納得して購入するならそれで充分。

ただ発行から7年が過ぎて読み返して驚くのが、乗れないに分類されているクルマの大半が、既に廃止か大型のFMCによってほぼ別の車に生まれ変わっているという事でしょうか…。
意外とこういう批評の本は時が過ぎて、実際の評価と比べてみると面白い。


テーマ:趣味と日記 - ジャンル:趣味・実用


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