本の虫、中毒日記

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Fujisaki

Author:Fujisaki

基本はシャーロッキアン。
でも雑食の本の虫。資格からマンガまでそこに文字がある限りっ。

紙魚、コナチャタテとはちょっと違う本の虫ですので、駆除はご容赦下さい。

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源氏物語『桐壺』/紫式部 (訳:与謝野晶子)
源氏物語の桐壺という言葉が意味するのは、全ての運命の始まりです。
桐壺とは後の光源氏の母親の事―この物語は光源氏の両親の物語なのです…。



 ある天皇が溺愛した更衣がいた。(注:更衣とは女官の役職。天皇の寝所に奉仕する仕事)
この女性は帝より深い愛を受けていたが、特に高い身分の出身というわけでもなく、強力な後ろ盾があるわけでもないために周囲の女性達から酷く嫌がらせなどを受け、その影響からか体調を崩して実家に事が多くなってしまったほどだった。
しかし帝の愛は深く、そうなれば殊更その女性への思いを募らせる。

こんな状態に、女性ばかりか周囲の高官たちも、この女性によって帝は狂い、国がどうにかなってしまうのではないかと懸念するようになってしまう程だった。



…もぅちょっと帝が空気が読める男だったら更衣もこれほど苦しまずに済んだのかもしれませんね



そして帝とこの更衣との間に子供が生まれる。
帝にとって第二皇子となるこの子供は非常に美しい養子をしていた。
世になく清らなる玉の男御子』と評されるこの皇子が生まれると、帝はますますこの母子を溺愛したので、第一皇子の母親は将来の帝の座が揺らぐのではない過渡期が気では無い。
廊下に仕掛けをして着物を引っ掛けるようにしたり、廊下の戸に鍵をかけたりと嫌がらせをした。



いつの時代もこんな人っているんですねぇ…。
愛されれば愛されるほど苦しくなっていく。現在のラブソングにあるようなロマンティックな意味ではなく、かなり直接的な意味で、本当に苦しくなっていく。それを帝が気遣えば気遣うほど、周囲の妬みなども膨らんでいく。もうどうしようもない悪循環に陥ってしまいます。
彼女はどんどんと追い詰められてしまう。



第二王子が三歳になった頃、既に彼は美貌だけではなくその聡明さでもその評判をあげていた。
しかし、心労が募った母親はついに倒れてしまう。
そして彼女は『限りとて別るる道の悲しきに いかまほしきは命なりけり』という有名な辞世の句を残して実家へ帰り、そのまま死んでしまうのでした…。


この詩には自らの死を悟りながらも、生きたいと願う気持ちがこめられています。
帝の深い愛、そして美しく聡明に育ちつつあるわが子。
さぞかし無念な死だった事でしょう。
そしてこの死は帝と彼女の母親に大きな心の傷を負わせる。



とにかく帝も故人の母も泣いて過ごしていました。
帝は夜に女性を迎えることもせずにさめざめと泣き、拝見する人までが湿っぽい心になるほど落ち込み、更に母親も喪失感に泣き、帝から手紙を届けられた際には『涙でこのごろは目も暗くなっております』と、すさまじい形容で悲しみを訴えています。
ちなみに帝はこの手紙に『宮城野の露吹きむすぶ風の音に小萩がもとを思ひこそやれ』と詠い、皇子を宮中へよこしてくれないかと求めていますが、このときでさえも『涙が妨げて明らかに拝見する事が出来なかった』そうで、相当泣きまくっています。
この様子を詠ったのが『鈴虫の声のかぎりを尽くしても長き夜あかずふる涙かな』。訳してみるまでも無く、悲しい状況が伝わってきます。



そういえば桐壺の母親は『あらき風ふせぎしかげの枯れしより小萩がうへぞ静心なき』と詠っています。小萩は帝が詩にしているのと同じく、第二皇子の事です。
母親が死んでしまったからこの子の事が不安だ…という意味合いの詩ですが、あらき風から子を守るのであれば父親でもある帝もいるので、結構ヤケになって書いた皮肉のようなものだったのかもしれませんね。



第二王子が六歳になる頃、その母親…彼にとっては祖母が死んでしまったために、彼は宮中でだけ暮らすようになります。その美貌も聡明さは変わらず、宮中に居た姫よりも美しく育った為に、後の元服の際に帝は髪を切ってしまう事を酷くもったいなく感じた程でした。

さてそんな宮中には『藤壺の宮』と呼ばれる女性が登場します。
この女性はかつて帝が溺愛した桐壺に酷似した容姿と雰囲気を持つ女性で、帝はこの女性といる事で不思議と過去の心の傷から立ち直る事が出来、息子を連れて藤壺の御殿を訪ねた。第二皇子も自分の母親に似ていると言われる美しい義母に興味津々だったのである…。

さてこの第二王子ですが、帝の死後に権力闘争に巻き込まれないようにと元服すると臣籍降下して源氏という姓を与えられた。
ここに子供の頃からの美貌、聡明さから生まれた『光の君』の呼称が合わさって出来たのが光源氏です。

彼は12歳で元服、大臣の娘と結婚した。
相手は大事に育てられた美しい貴族の娘―。
しかし彼は満たされなかった

その胸に居るのは最上の女性と思えた義母である藤壺だった。
改築された更衣の家を見ながら彼は思うのだった。
こんなに気に入った家に自分の理想どおりの妻と暮らす事が出来たら―。

源氏物語はこうして始まるのだった…。



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